デザイナーやディレクターがユーザビリティテストに前向きになるためにどうすればいいか
私の今の仕事は、主務でWebディレクターとしてサービス改善に取り組む一方で、兼務で200人くらいいる部署にUXを啓蒙・推進する仕事をしている。
今年はユーザビリティテストに重点を置き、作ったものの使い心地に問題がないかをチェックするプロセスを入れていくことを提案している。
そういう推進の立場であるためUXリサーチ全般について色々調べたり学んだりしている。日本でWebアプリケーション開発界隈でUXリサーチについて外に出て発信される方はあまり多くないないが、メルペイのみほぞのさんという方がUXリサーチに関するstand.fmを配信しているので聴き始めている。
この回のテーマは「UXリサーチャーから見るデザイナーに対する印象」について。
そこで一つ言及されていたのが「自分の作ったものに否定的なフィードバックが来たら傷つくと思うのに、それを積極的に取り入れるマインドはすごい」という点。これはユーザビリティテストに関することだと解釈したが、すごく共感した。自分も昔はテストされるのが怖いと思っていたから。
自分が考え抜いた渾身のワイヤーフレームやデザインなので、欠点が明らかになるのは結構プライドが傷つく。
あと単純に仕事が増える。もともとプロフェッショナルレビューと社内承認のみでリリースできていたのに、ユーザビリティテストを挟むとまた修正回数と承認回数が増える。つまり仕事量が追加したプロセス分純増する。短いスケジュールの中ギリギリで作っているから余裕はないし、手戻りのないスムーズな進行が求められる。
もちろん「良いサービス」を作りたいという思いはあれど、自分がいい仕事をしたかどうかは数字と上司が評価するし、やらなくても自分にとっての成果は変わらないと思っている人もいる。
なぜここまで強く抵抗する人にプロセス化を提案する必要があるのか。その理由は推進する立場としてきちんと意識しておかなければならない。
個人的な結論を言うと、ユーザビリティテストの価値に一度気づくと、体験が大きく変わるサービスを作る場合に、ユーザビリティテストなしには進められないからだ。ユーザビリティテストは、担当者が見えない「伝わりづらさ」のポイントを明らかにしてくれる。
ユーザビリティテストは「岡目八目」的存在だと思っている。将棋試合の当事者であるディレクターやデザイナーは誰よりも真剣にサービスについて考えているが、当事者すぎて客観視できなくなることもある。そこで第三者に評価してもらうことで気付きを得て、改善につなげることができるのだ。
この岡目の威力を肌で知るためには、自分のプロジェクトで体感してみる他ない。だから今は、啓蒙と合わせて積極的に体験の機会も増やすことを心がけている。
推進にあたっては、そもそも全部のサービス品質を自分だけで背負わなくていいし、ユーザーに良いものを提供するために今や標準的なプロセスですよ...という感じで、設計者のプライドに傷をつけないよう配慮していきたいと思う。
うーん、でもきっとプロセスにコミットできる立場にある人が嫌がっている理由はそこではなくて、「余計な仕事を増やしたくない」ということなんじゃないかと思う。余計な仕事、って思われているのは自分の活動の訴求力不足だからだと思うので、工夫しながらじわじわと浸透させていきたいと思う。
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