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シシャモ

昨日の夕飯時、「久しぶりにシシャモを食べたいね」という話を家族でしていた。こちらに来てから、スーパーでシシャモを見つけたことはなかった。息子に魚アレルギーがあるため、あまり魚コーナーを熱心に見ていないことも理由かもしれないが。ともあれ、イギリスに来てから一度もシシャモを食べても見てもいなかった。

一度も食べていなかったけれど、シシャモを食べたいと思うことも、実は一度もなかった。日本にいた頃は、冷凍のシシャモを買い置きしていて、もう一品欲しい時やお弁当のおかずに重宝していたけれど、日ごろ「シシャモを食べたい!」とあえて思うほど、大好きなものというわけではなかった。なので、ロンドンに来てシシャモを食べる機会がなくなっても、そんなに恋しく感じることはなかったのだ。

しかし、昨日の夜、なぜだかわからないが急にシシャモを食べたいと思ったのだ。私の頭の中を、干したシシャモの大群が急に勢いよく泳ぎ始めた。調べてみると、ロシア系スーパーへ行けば"カペリン"という名で売られているらしい。なんでもすぐに人差し指1本で調べられる現代って、本当に便利だ。なるほど、ロシア系スーパーか。近所にあったっけな?まぁ今度探してみよう、と思って昨日は終わった。

そして今日、米と味噌を買いに近所の日系スーパーへと向かった。途中、今まで工事中になっていた店舗の場所に、新しい店ができているのを発見した。どうやらロシア東欧系スーパーのようだ。新しいもの好きとしては、チェックしておかねばならない、と思い、日系スーパーへ行く前にその店に立ち寄った。その時点では、昨日のシシャモの話はすっかり忘れていた。ただ単に、新しいお店に何があるのか、興味本位で冷やかしに眺めるつもりだった。しかしそこで、まさかの"シシャモ"に遭遇したのである。おぉ、カペリン!シシャモ!昨日話題にしてたやつ!こんなにすぐに出会えるとは!と興奮する私。即座に店員さんに「カペリン10匹ちょうだい!」と伝える。10匹で2.3ポンド。値段もお手頃。

今日の夕飯は、既に昨日から夫がビーフシチューを仕込んでくれていたので、今日はシシャモを食べなかったが、明日か明後日には食べよう。小さな楽しみがあるって、嬉しいな。

1年ぶりにシシャモを食べたいと思った翌日に、ロンドンで初めてシシャモを見つけた。よく言う"引き寄せの法則"ってやつだ。その法則を信じたり信じなかったりしていたけれど、やっぱり信じよう、とシシャモが思わせてくれた。ありがとう、シシャモ。ありがとう、カペリン。