映画『バービー』 きっと何者かになれる
男女間の不均衡の問題を描きながらも、人が存在意義に苦しみ、他者と争うその根本的な問題を炙り出す。
理不尽で矛盾だらけの世界であることを認めつつ、その苦悩を解決する糸口は自己認識の解像度を高めることにあると指摘する。
そのうえで、ありのままでいいなどと耳障りの良い結論を安易に用意しないところが、とてもグレタ作品らしいと感じた。
そして映画の終盤には、被造物と創造主の間に横たわる断絶にもスポットライトが当たる。その描写には、消費されるキャラクターへの愛と、人間の窮屈な生への肯定