トレーニングにおける三原理五原則;五原則の本当の意味
『トレーニングの三原理・五原則』これはトレーニングを行う上で無くてはならない要素です。体を変化させるトレーニングプログラムを作成する際は、この三原理・五原則を元にして作成していくのが基本となります。
しかしながらこの三原理・五原則はもっと深く考える必要があり、個人的には『四原理・六原則』とも考えています。
今回のブログは『トレーニングの原理原則』を深く考察しています。是非最後までお読みいただけますと幸いです
※このブログでは五原則の内容を記事にしております
最初に理解しやすく解説するために、三原理と五原則を解説していきます。
と、その前に『原理と原則の違い』について把握しておきましょう
原理とは;
自然界に元々存在する法則で何故それが存在しているかは分からないが、それに則って働いている『力や法則』
例えば、『てこの原理』は重たいものを持ち上げる事が可能となるが、何故てこの原理が存在しているかは分かっていない。
実は筋肉も『可逆する』事が分かっているが、何故それが起こるのかは分かっていない。
原則とは;
人間が定めた『基本的なルール』の事です。あくまでも基本的なルールなので、そのルールから逸脱しても問題ない場合もあるのが原理との大きな違いです
トレーニングの五(六)原則
トレーニングの五(六)原則は上記の様に『基本的なルール』です。当然そのルールに当てはまらない場合もありますが、トレーニングを行う際にはまず基本のルールからプログラムを作成していきます。では、最初にこの五(六)原則を見ていきます
全面性の原則:
トレーニングプログラムは身体の全体的なバランスを考慮する必要があります。特定の部位だけでなく、全身の筋肉や能力をバランスよく鍛えることが重要です。
漸進性の原則:
トレーニングは徐々に進化させるべきです。身体は徐々に慣れていくため、負荷や強度を徐々に増やしていくことで、成果を最大化できます。
反復性の原則:
トレーニングは継続的に行われる必要があります。一度のトレーニングではなく、継続して行うことで身体が適応し、成果が現れます。
個別性の原則:
トレーニングプログラムは個々の人の能力や目標に合わせてカスタマイズされる必要があります。人々は体力やフィットネスレベルが異なるため、個別のニーズを考慮することが重要です。
意識性の原則:
トレーニングは意識的な取り組みが必要です。適切なフォームやテクニックを意識して行うことで、効果的なトレーニング効果を得ることができます。
専門性の原則:
トレーニングプログラムは、特定の目標やスポーツに適した専門性を持つことが重要です。例えば、競技選手や特定のスポーツを行う人々には、そのスポーツに必要な特別なトレーニングが必要です。
トレーニングの五原則の見方を変えてみる
ここからは重複する内容もありますが、トレーニングの五原則の見方を少し変えて考えてみます
適応の原則 (Principle of Adaptation): この原則は、身体がトレーニングに対して適応することを指します。つまり、身体はトレーニングにさらされると、そのストレスに適応しようとして、強さや耐久力を向上させます。しかし、同じトレーニングを繰り返し行うと、身体は適応してしまい、進歩が停滞する可能性があります。そのため、トレーニングプログラムは定期的に変更する必要があります。
過負荷の原則 (Principle of Overload): 過負荷の原則は、トレーニングに身体に対して十分な負荷をかける必要があるという考え方です。つまり、トレーニングの強度や量を増やし、身体を新たな挑戦にさらすことで、成長や進歩が生じるとされています。ただし、適切なバランスを保つことが重要であり、怪我を避けるために過度な負荷は避ける必要があります。
具体性の原則 (Principle of Specificity): この原則は、特定の目標に向けてトレーニングすることの重要性を示しています。つまり、身体が特定の能力やスキルに適応するためには、その能力やスキルに対するトレーニングを行う必要があります。例えば、筋力を向上させたい場合は、筋力トレーニングを重点的に行う必要があります。
反復の原則 (Principle of Repeatability): この原則は、トレーニングを継続的に行うことが重要であるという考え方です。週に何度かのトレーニングセッションを通じて、身体が適応し成長するためには、一度だけの努力では不十分です。定期的かつ継続的なトレーニングが必要です。
応用の原則 (Principle of Application): この原則は、トレーニングを計画し実行する際に、個々の人々や特定の状況に合わせた適切なアプローチを取る必要があるという考え方です。つまり、トレーニングプログラムは個々の目標や能力、制約に合わせて調整されるべきです。例えば、初心者と上級者ではトレーニングの内容や強度が異なるべきです。
トレーニングの五原則が当てはまらない例外パターン
トレーニングの五原則は、一般的に効果的なトレーニングプログラムを設計するための基本的な指針ですが、すべての状況や個人に当てはまるわけではありません。以下に、五原則に当てはまらないパターンをいくつか考えてみます
急激な負荷増加: 五原則の一つである「漸進性」は、トレーニングプログラムで徐々に負荷を増やしていくことを指します。しかし、時には急激な負荷増加が必要とされる場合もあります。例えば、スポーツイベントや競技会への急な参加が予定されている場合、適切なトレーニング期間がない場合などです。
異常な目標設定: 五原則の一つである「個別性」は、特定の目標に向けてトレーニングすることの重要性を強調しますが、時には個々の目標が不健康である場合があります。例えば、極端な体重減少や筋肉増強を追求する可能性がある場合です。この場合は極端な目標達成の為に漸進性させずに量を増やすパターンもあります
特定のトレーニング原則の優先度が異なる場合: 五原則の中で、一般的にはすべての原則が同じように重要であるとされていますが、特定の状況や目標によっては、一部の原則が他の原則よりも優先される場合があります。例えば、特定の競技のシーズン中は、全身性よりも特定の能力の向上が優先される場合があります。
特定のトレーニング方法が特殊な場合: 五原則は、一般的なトレーニングプログラムに適用される基本的な原則ですが、特定のトレーニング方法やスポーツには異なる原則が適用される場合があります。例えば、高度なアスレティックトレーニングや特殊なスポーツトレーニングでは、通常の原則とは異なるアプローチが必要な場合があります。例としては、水泳等の水中競技は五原則が当てはまりません。
これらは一般的な例であり、トレーニングプログラムは常に個々の目標や状況に応じて柔軟に調整される必要があります。
ここまでのまとめ
トレーニングの五原則はあくまでも『基本のルール』という認識を持って、その時々で柔軟性をもってトレーニングプログラムを構築しましょう。
70歳の高齢者には重りが使えないから『漸進性の原則』は本当に当てはまらないのか?
30歳の女性が細くなりたいから『持久系のトレーニング』が本当に正しいのか?
後半の記事では、そういった内容を記述しています
トレーニングの五原則を深く考え指導に役立てる
ここから先は、今までのトレーニングの五原則を更に細かく実践向きに解説しています。細かい内容となっておりますので、是非最後までお付き合いください
▶全面性の原則;全面性を具体的に考える
全面性の原則と言えば、『「全面性の原則」とは、身体の一部分ではなく、全身をまんべんなく鍛えることで効果がアップするというものです。 身体の一か所だけを鍛えると、関節や筋肉に負担がかかり、ケガの原因になってしまいます。 さらに全身の筋力バランスが崩れることで、身体が歪み、運動の効果が少なくなってしまうことも。それを防ぐためにも、『身体は全体を鍛えることが重要です』と紹介されている事が多いと思います。
果たしてこれが本当なのか?
全身を鍛えても体は歪む
これは事実であり、変えようの無い真実です。人間はそもそも左右対称にデザインされておらず『心臓は1個で左寄り』『腎臓は2個あるが右側の位置が低い』『肝臓は1個で1.5㎏あり右寄り』と基本的にアシンメトリーになっています。全身を鍛えようと歪みが発生する原因は存在しています。
つまり、『バランス良く鍛える事』=『全面性の原則』ではないという事です
本当の意味での全面性の原則
全面性とは【筋力・筋持久力・筋パワー・柔軟性・心肺機能・骨格アライメント】等の多岐にわたる要素を鍛える必要性があるという事です
少し例を考えてみましょう。
最大筋力の向上を目標とした時に、『神経系の適応と筋肥大のトレーニング』が必要となります。そうすると筋肥大を遂行するには『セット数・レップ数が必要』となります。しかしながらセット数・レップ数を稼げるだけの『体の体力レベル』が低ければ、中枢神経系からのストップが入り目標のトレーニングボリュームを遂行できなくなります。※体力については別記事
つまり必然的に体力レベルの向上が必要になります。『セット数・レップ数を稼げる体力レベル』に達しているだけの『筋持久力・柔軟性・骨格アライメント』が不足していれば、大きなケガを誘発してしまうだけでなく『トレーニングの効果・効率の低下』も引き起こします
そうならない為に『筋力・筋持久力・筋パワー・柔軟性・心肺機能』などの多岐に渡る要素を鍛えていく事が『全面性の原則』の本来の意味となります
▶漸進性の原則;漸進性の要素は何があるのか?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?