ドラマ・映画感想文(08)『マスカレード・ナイト』

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作品の面白さ:10点(/10点)
制作年:2021年
視聴方法:U-NEXT
公式サイト:https://masquerade-night.jp/
 
※以下、ネタバレは最小限に抑えて書いています。

木村拓哉さん主演、長澤まさみさん準主演のサスペンス。東野圭吾さん原作のマスカレードシリーズ映画化第2弾。
 
高級ホテルを舞台に繰り広げられるフーダニット(Who done it?)系の推理劇だが、殺人はホテル外で済んでおり、したがって刑事(又は探偵)が現場に居合わせて推理するというスタイルをとっていない点に、この作品の特色がある。
 
ホテルにやってくる、見えない仮面(マスカレード)をかぶった怪しい客たち。潜入捜査中の新田刑事(木村拓哉)はホテルマンに扮し、本物のスタッフである山岸(長澤まさみ)から有難迷惑な接客の心得を聞かされながら、客の中に潜む真犯人を割り出していく。
 
第1弾『マスカレード・ホテル』(2019年)の時に感じたことだが、ホテルのエントランスロビーが、なんと壮麗でリアリティのあることか。ディテールまでこだわりが詰まっており、これだけでも映画として十分な見応え。作品に自然と没入でき、非日常感を味わえる。
 
俳優陣が豪華。刑事役で渡部篤郎さん、小日向文世さん等。ホテルの社員・スタッフ役では石橋凌さんに石黒賢さん等。そしてホテル客としてやってくるゲスト俳優陣は麻生久美子さん、木村佳乃さん、沢村一樹さん、高岡早紀さん等。主演級が勢ぞろい。
 
ストーリーも文句なし。原作を読んでいないので、映画版との比較はできないが、ほぼ忠実なのだろう。謎解きサスペンスとして十分。若干複雑なため、理解するのに頭を使うが。同じ東野圭吾さんでいうと、『容疑者Xの献身』(2008年)もそうだったが、よほど先が読めてしまうような玄人ミステリファンでない限り、素直に楽しめるだろう。
 
ところで、木村拓哉さんは、「演技が上手いか下手か」的な二分論をよく見かけるが、どう見ても、下手ということはないだろう。「いつも同じ演技」とか「癖がある」などのような声もあるが、似た役柄なら似た演技になるのは仕方ないし(内藤剛志さん然り)、俳優誰しも癖はある。それを差し引いて虚心坦懐に演技を見つめる限り、役柄の感情はよく表現されていると思う。強いて言えば、少しオーバーなところがなくはないが(本作であれば、大きな花束を肩にかけて持つところ等)。
 
長澤まさみさんは、かなりハマり役ではないか。本作に限らず、ややアナウンサー調の発声でセリフが聞き取りやすい俳優だと思うが、本作のホテルコンシェルジュ役は、まさにその話し方がよく馴染んでいる。表情や所作も堂々としている感じ。『コンフィデンスマンJP』(2018年)のようなザ・コメディの役柄から、本作や『エルピス』(2022年)のようなシリアス系まで、なんでもできる。
 
余談になるが、木村拓哉さんと渡部篤郎さんといえば、『ビューティフルライフ』(2000年)での共演が思い起こされる。同作における渡部さんの三枚目なお兄さん役はよかった。
 
長澤まさみさんと小日向文世さんは、それこそ『コンフィデンスマンJP』シリーズ。同じく長澤まさみさんと麻生久美子さんは、映画『モテキ』(2011年)が懐かしい。
 
マスカレードシリーズ、第3弾を待ちたい。

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