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【最近の代表サッカーを知らない方へ】今の日本代表候補を主観で紹介

まえがき

もうそろそろW杯の時期が近づきつつあります。
今年は11/21(月)〜12/19(月)という変則日程。

この4年に1度の祭典に日本代表も出場を予定していますが…。

「正直日本代表はどんな人がいるのか知らない」
「本田圭佑の時代以降は見ていない」

そういった方々向けに代表候補となるメンバーを紹介するものを書ければと思っています。

筆者は細かい戦術の話等はあまり語れないため、各ポジション毎の展望という形で何人かの名前をピックアップしていく記事にします。
W杯までの予習の1つとしてこれを読んでくださると幸いです。よろしくお願いします。


【GK】川島一強時代に終わりを告げ、ポジション争いが激化

2010年大会より長らくゴールマウスを守り続けてきた川島永嗣(ストラスブール/フランス)の一強時代が終わりつつある。
川島は主にPKストップを得意とするセービング、海外の選手にもコーチングするために必要不可欠な語学力を兼ね備え、2000年代に続いていた川口・楢崎二強時代に終止符を打った。

そんな男の地位を脅かす存在として権田修一(清水エスパルス)、シュミット・ダニエル(シントトロイデン/ベルギー)らが台頭している。

2014年大会にも招集されていた権田は、安定感のあるシュートストップを武器に現在の森保監督体制下で正GKとして多く起用され続けている。
現在の日本代表メンバーとの連携面の慣れ具合も考えた場合、本戦でも彼が重用される可能性はある。

一方で、正GK争いに一石を投じる存在となるのがシュミット。
元々、足元の技術の高さと197cmの身長を生かしたハイボール処理には一定の評価を貰えていたが、先日のエクアドルとの親善試合では負傷していた権田に代わってゴールを守り、全体的に質の高いプレーを見せつけて大いにアピールした。

川島も豊富な経験値やその熱い性格をベンチに反映させないのは勿体ない存在であるため、順当に行けば権田とシュミットの正GK争いに3番手として川島が控えるという形に落ち着くのかもしれない。
しかしながら、権田もシュミットも現在負傷中であるため、コンディション的に選出されるかが危うくなっている。
GKの台所事情に黄信号が灯っている日本代表。両名の早急な快復が望まれる。

その他のところでいくと東京五輪に選出されていた谷晃生(湘南ベルマーレ)、大迫敬介(サンフレッチェ広島)、鈴木彩艶(浦和レッズ)と言った面々もメンバーに食い込んでくるかもしれない。


【CB】クオリティの高さは歴代屈指か

2014年大会、2018年大会共に欧州でプレーするCBは吉田麻也(シャルケ/ドイツ)だけであった。
もちろん一概に欧州でプレーしていなければ駄目と決めつけるつもりも無いが、現代サッカーに於いて欧州のクラブからお声がかかるというのが1つのステータスであることもまた事実である。
そういう点では、4大リーグでプレーするCBを4人揃えられそうな状況にある現在のCB事情はまさしく歴代最高の選手層を誇ると言って良いかもしれない。

一番手として多くの人が真っ先に名前をあげるであろう選手が冨安健洋(アーセナル/イングランド)。
スピード、パワー共に日本人離れのものを持っており、サッカーIQも年齢の割には秀でている。
最高峰の舞台であるプレミアリーグ、それもビッグ6の一角に数えられる名門クラブで守備的サイドバックとして貴重な戦力になっている男が日本代表の守備に何をもたらしてくれるのか。期待して止まないファンも多いだろう。

前回大会時点では冨安と同様プレミアリーグでプレーしていた経験値を持つ吉田だが、年齢的にも若くない故に状況次第ではレギュラー落ちもあり得るかもしれない。
森保監督の下ではキャプテンマークを巻き続けてきたが、果たして本戦ではどう起用されるのか。いずれにせよ、その経験値の高さとセットプレー時の空中戦の強さを遺憾無く発揮して欲しいところだ。

この数年で著しい成長をしている有望株がCBに2人いる。

1人は板倉滉(ボルシアMG/ドイツ)。東京五輪が開催される数年前に突如としてマンチェスター・シティから引き抜かれる形で欧州に飛び出し、武者修行を地道に積んできた。
オランダ1部のフローニンゲン時代にクラブ最優秀選手に選ばれ、当時ドイツ2部のシャルケではクラブの1部昇格に貢献。
マンCへの復帰は難しいものの、現在はドイツ1部のボルシアMGに所属と文句の無い経歴を歩んでいる。
元々空中戦の強さと足元の技術には光る物があったが、欧州に飛び出したこの数年で対人守備の粘り強さをより向上させたように感じる。
彼の粘り強さを象徴する出来事として、バイエルン・ミュンヘン戦でのレロイ・サネに対する意地のスライディングシュートブロックのシーン等はSNSでもちょっとした話題になっていた。
現在、負傷離脱中でリハビリを重ねているところ。果たしてW杯に間に合い、コンディションを整えることはできるのか。早急な復帰が待たれる。

もう1人は伊藤洋輝(シュツットガルト/ドイツ)。
当時J2だったジュビロ磐田からドイツ1部のクラブへの移籍が発表された際は、トップチームより下のカテゴリーでのプレーを予定しての移籍という報道がされていた。
しかしながら、首脳陣へのアピールに成功したためにその予定を覆して早々にトップチームデビュー。
2部への降格圏ギリギリの戦いを強いられていた試合で残留を決定付けるアシストをするなど(ちなみにゴールは同胞の遠藤航)、現地からも受け入れられる働きぶりを成し遂げ、日本代表デビューも果たした。
左足から繰り出すキックの精度に強みを見出しており、日本代表に選出された試合では左SBでもテストされていた。
守備面では冨安板倉の両者に比べると決して特別秀でている訳ではないが、188cmと申し分のないサイズは兼ね備えており、ドイツ1部でスタメン起用されるだけの水準にいることは紛れもない事実。
プレースタイル的にも4バックの左や3バックの左、左SBと守備面に於いて左側の大部分をカバーすることが可能。代表クラスで左利きの守備的選手が台頭しているということはそれだけの貴重さがあると言って良い。

その他にも海外組ではロシアW杯にも帯同していた植田直通(ニーム/フランス)や東京五輪世代の瀬古歩夢(グラスホッパー/スイス)らが選択肢になり得る。
Jリーグからだと昨年優勝クラブの屋台骨を支える谷口彰悟(川崎フロンターレ)や森保政権下で直近の招集がある中谷進之介(名古屋グランパス)、森保監督のかつての教え子である佐々木翔(サンフレッチェ広島)辺りが候補だろう。


【SB】過去のW杯経験者と台頭してきたニューフェイスの一騎打ち

2012年に日本代表デビューの右SB酒井宏樹(浦和レッズ)と2008年に日本代表デビューの左SB長友佑都(FC東京)らは、前時代のW杯経験組として今回も招集の可能性が高い。

酒井の最大の売りは何と言ってもその屈強な守備。かつてフランス1部のオリンピック・マルセイユに所属していた頃はネイマールやキリアン・エムバペと言った世界的スター選手やフランス特有の荒々しいプレイヤーを相手に闘っていた。
日本人離れした強度とスピードで簡単に相手の侵入を許さず、攻撃面でも時折鋭いクロスを供給する等の躍動を見せつける。
年齢も30代に差し掛かったため、純粋な身体能力の面はピーク時の酒井自身と比べると落ちるところは否めない。
しかし、日本サッカーの身体能力的基準で見た場合はまだまだ欠かせない水準にいるであろう上、身体能力以外の部分以外での守備能力は歳を重ねるごとに円熟味を増すと言われがち。
サッカー選手として円熟味を増す段階に差し掛かった酒井が、果たして他国の優れたサイドアタッカーたちを抑え込むことが出来るのか。
そこのマッチアップは一つの見所となり得る。

右SBで酒井の対抗馬となりそうなのがCBの項目にて触れた谷口と同クラブ所属の山根視来(川崎フロンターレ)。
2021年に日本代表に初選出され、勢いそのままに初ゴールを記録。以後、酒井が出場しない際の日本代表の右SBとして定着している。
彼のプレースタイルは、味方とのコンビネーションを利用して相手の懐へと侵入するプレーを得意とする典型的な攻撃型SB。
W杯行きを決めた最終予選のオーストラリア戦では彼の攻撃的な動きが起点となり、決勝点が生まれた。
インナーラップ、オーバーラップのどらちでも高い突発力を発揮できる攻撃は魅力的な反面、守備面を含めた全体的な安定感はやはりまだ酒井に分があると言える。(山根も守備力が無いわけでは無いが。)
試合の局面と相手の特徴・出方によってどちらを起用するのか。悩ましいところではあるが、最適解を出す采配をしてくれることを願うしかないばかりだ。

一応、今回の記事の名目が「本田圭佑の時代以降の日本代表を知らない方への主観的解説」というものであるため、その名目に沿うなら左SBの長友の説明はもはや不要かもしれない。
かつて、CL優勝直後のイタリア1部名門インテル・ミラノに招かれて移籍を勝ち取ったほどの高いポテンシャルで2010年大会から3大会に渡って左SBの位置を不動のものにしてきた。
90分間上下動し続けることのできる豊富なスタミナと縦への鋭い突破を可能とする瞬発力、相手に簡単に当たり負けしない体幹の強さ等を武器としてきたが、そんな彼も今年で36歳。
直近の日本代表の試合でも途中交代で下がる場面が度々見受けられ、サッカーファンからは世代交代を望む声が少なからずあがった。
実際、彼の年齢とコンディションから来るパフォーマンスの具合というのは無視できない問題であり、本戦では慎重にならざるを得ないかもしれない。

そんな長友の代わりとして名前が多くあがりがちなのが中山雄太(ハダースフィールド/イングランド)。
基本はCBを主戦場とする選手であり、現状イングランド2部のハダースフィールドでも3バックの左として起用されている。
ただ、日本代表では左SBとしての起用がメインとなっており、調子が良い際は堅実さのある守備力と味方にピンポイントで合わせることのできる良質なクロスを武器にしている。
反面、こちらも試合によってパフォーマンスへの評価が分かれがちな選手であり、外野からの評価をそのままに受け取るならば好不調の波がある選手と言える。

右SBが相手の特徴や試合の局面によって選手を使い分ける必要がありそうなのに対し、左SBは選手個々人のコンディションを見極めて使い分ける必要がありそうなところ。

それ以外の候補になり得る選手としては、右SBは東京五輪代表から惜しくも落選している菅原由勢(AZ/オランダ)、先ほどCBとして紹介した冨安等。
左SBは冨安同様CBの項目にて触れている伊藤や佐々木等。
その先のW杯も見据えた場合、最も新世代の台頭が望まれているポジションと言っても良いかもしれない。


【DMF】バランサー3名の起用が手堅く…柴崎の起用はどうなるのか

ダブルボランチとなる可能性が高そうな日本代表において、最も確実な予想が遠藤航(シュツットガルト/ドイツ)と守田英正(スポルティング/ポルトガル)のコンビだろう。

遠藤は2018年大会にも帯同していたが、その大会では出場機会が0。
大会後の森保新体制よりボランチのレギュラーとして定着し、現在に至るまで日本の中盤を支え続けている。
所属するブンデスリーガではフィジカル的水準が優れている海外の選手ら相手に果敢に対人勝負を挑み、デュエル勝利数でリーグトップに立つ程までに成長。
強靭なフィジカルを生かした守備力に焦点が当てられがちではあるが、ドリブルで持ち上がる推進力や縦パスを放り込むセンスも一定のものを兼ね備えており、かつて日本代表を支え続けていた長谷部誠以来のバランサー的役割に期待が持てる。

守田は直近で序列を急激に上げ、クラブの方でもポルトガルの強豪であるスポルティングCPに移籍を果たす等ノリに乗っている選手。
元々川崎フロンターレ所属時にはボールを刈り取るプレーを得意としていたが、欧州に飛び出してからは攻撃面でも著しく成長。
本来持ち合わせていた守備センスを劣化させることなく前線への飛び出しにも磨きをかけ、攻守のダイナモ的存在を確立。
遠藤同様パス供給にも自信を持ち合わせており、こちらもバランサーとしての役割に期待がかかる。

日本代表が4-3-3という中盤にMFを3枚並べるフォーメーションを組む際、上記2人と並んで起用されがちだったのが田中碧(デュッセルドルフ/ドイツ)。
プレースタイルのオールラウンダーぶりは恐らく東京五輪世代の中だと一、二を争うだろう。
遠藤守田のコンビが守備的な動きにより一層の強みを見せるため、日本代表に於ける彼の動きは攻撃的な位置でのタスクが多いように見受けられる。
W杯最終予選のオーストラリア戦では堅実なトラップからの鋭いキックを放ち、ゴールネットを揺らして一躍脚光を浴びた。
一方、クラブに於いて試練の日々を送りつつあることは否めないが、そのポテンシャルを最大限に発揮すれば遠藤守田と併せて中盤に厚みをもたらすことを可能とするだろう。

柴崎岳(レガネス/スペイン)の存在は日本代表の展望を予想する人を悩ませることだろう。
直前の監督交代があった2018年大会では土壇場でレギュラーとして大抜擢され、日本代表の司令塔として大暴れ。
中盤の底から繰り出す長短のパスが大いにハマり、強豪国を大いに惑わせた。
日本代表がダブルボランチ制を組む時、伝統的な傾向として「1人はゲームメイカー、1人はバランサー」という風潮がある。
柴崎もその例に漏れず、2018年大会ではバランサーの長谷部を相方にし、それ以後の森保新体制では同様にバランサーの遠藤と組むという形でレギュラーに定着し続けた。
しかしながら、ここ最近は守田や田中のように遠藤以外のバランサータイプが複数名突出してきたことにより、違うタイプでダブルボランチを形成するという伝統が節目を変える予感に。
フィジカル面での強度に不安が残る彼の序列は不安定なものになりつつある。
とは言え、そのパスセンスが飛び道具となり得ることもまた事実。
多少の強度を犠牲にしてでもその創造性に勝負を賭けたい時はきっと訪れることだろう。

このポジションは上記4人の起用で堅いようには思えるが、他に候補がいない訳ではない。
旗手怜央(セルティック/スコットランド)や橋本拳人(ウエスカ/スペイン)、川辺駿(グラスホッパー/スイス)も捨てがたく、既に紹介済みのDFの項目に目を向けても冨安や板倉、伊藤に中山とボランチ経験がある選手が豊富にいる。
手堅い起用で行くのがセオリーではあるが、ここの起用で博打に出るのもまた一興かもしれない。


【SH】突出したストロングポイントを活かせるかが鍵となる選手たち

今大会、日本代表の攻撃の鍵を握るのは紛れもなくこのポジションではないだろうか。
世界とも戦える可能性のある強みを持っている選手らが名を連ねており、その強みが勝負の命運を握る。

本戦でエース格の働きを期待されている伊東純也(スタッド・ランス/フランス)はスピードを売りにする右ウインガー。
アマチュア時代は世代別代表の経験も無く、森保新体制になってから本格的に起用されるようになった遅咲き。
右サイドでボールを貰ってから対面の相手DFにスピード勝負を挑み、縦のスペースを突破していくプレーは大きな見所。
もちろん対戦各国も日頃クラブに於いてスピード自慢のサイドアタッカーを相手にしているDFが並ぶことが予想されるため、容易くプレーさせてもらえる保証は無い。
ただ、何回か生まれてくるであろうチャンスを物にして彼がスペースへの突破に成功した瞬間。日本代表の得点チャンスは確実に発生してくる。
彼自身、味方にクロスを上げるプレーも自分でフィニッシュに持ち込むプレーも両方謙遜無く選択できる選手のため、まずスペースへの突破を期待せずにはいられない。

三笘薫(ブライトン/イングランド)は、本来東京五輪が開催されるはずだった2020年に突如として現れた新星ドリブラー。
大学を経てユース時代を過ごした川崎フロンターレに加入し、相手を手玉に取る独特のリズムを有したドリブルで川崎一強時代をJリーグにもたらした。
そこから瞬く間に欧州移籍を勝ち取り、現在はイングランドプレミアリーグにて日々ドリブルを仕掛けている。
現状、日本代表では純粋な出場機会自体が特段多い訳ではないが、大事な場面で力を発揮する勝負師の印象が強い。
東京五輪の3位決定戦では試合に負けたものの、彼自身は途中出場から果敢なドリブルを仕掛けてメキシコ代表相手にチーム唯一の得点を記録。
W杯最終予選のオーストラリア戦でも同様に途中出場から2得点を記録し、日本代表を7大会連続の本戦出場に導いた。
こういった状況からジョーカーとしての起用が最適解という印象が付き纏っているような気がするが、個人的には先発出場でももっと見たいと思える選手。
特にSBに今までの日本代表と違って守備的な選手が並びやすそうな可能性を考えた場合、三笘と伊東の2名にはサイドハーフの位置から大外を突破する選択肢を取ることも求められるのではないだろうか。

かつて、日本サッカー界の神童として名を馳せてきた久保建英(ソシエダ/スペイン)も初のW杯出場が現実味を帯びてきた。
サッカーIQの高さとドリブルテクニックの高さは同世代の日本人の中で頭ひとつ抜けており、バルセロナのカンテラ出身としての強みを見せつけてくれる。
バルセロナ仕込みのドリブルスキルは伊達ではなく、細かいボールタッチと安定したスピードで相手陣営に切り込み、ラストパス等で味方のお膳立てをする。
サッカーIQの高さに裏打ちされた判断力を活かしてその場その場での適切な選択肢を選ぶ能力に優れていると言っても過言ではない。
時にフリーキックを任されるほどのキック精度も持ち合わせており、得点に直結する最後の仕上げ仕事が高い水準でこなせる選手だ。
クラブでは2トップの一角を任されており、現在リーグでスペイン3強に次ぐ4位に位置する健闘ぶりに少なくない貢献をしている。(11試合終了時点)
東京五輪ではあともう少しのところでメダル獲得を逃し、人目も憚らず悔し涙を流した久保。
果たしてその涙が如何にしてW杯に繋がっているのか。選出され、大暴れしてくれることに期待したい。

そんな久保と共に東京五輪に出場し、日本代表の未来を背負う存在になりつつあるのが堂安律(フライブルク/ドイツ)。
左足でのシュートを得意としており、切れ味鋭いカットインから力のこもったシュートを放つことのできるフィニッシュ能力には一見の価値がある。
同世代の日本人と比べると比較的早い段階で欧州に飛び出して揉まれている選手故か物怖じしないメンタリティも彼の魅力の一つ。
東京五輪では久保と共に攻撃的なポジションで出場し、度々息の合った連携プレーを見せつけてくれた。
一定水準の守備意識とフィジカルも兼ね備えているため、個人的には中盤で起用しても面白いのではないかと感じる。
森保新体制当初は新BIG3と評される程に右SHのレギュラーとして重用され続けてきたが、直近の機会では伊東の出場機会の方が増えつつある。
ただ、所属しているフライブルクがブンデスリーガで3位に位置し、そんなチームで一定数の出場機会を貰っているだけあるので日本代表に選ばれるだけの素養は十分にあると思う。
上手くハマれば本領を発揮してくれる可能性は大いにあるスター候補生。その勇姿を目に焼き付けたいところだ。

もしかするとこのポジションの人選が一番読み難いかもしれない。
他の候補としては後述にて紹介する原口、南野、鎌田、古橋辺りか。
DMFの項目にて言及した旗手も左SHとしての起用があり得るかもしれない。
東京五輪出場選手では相馬勇紀(名古屋グランパス)が選択肢に上がるだろう。
同様に東京五輪メンバーの三好康児(アントワープ/ベルギー)は今秋、長期離脱を強いられる怪我を負ってしまったために悔しくもW杯出場は絶望的。
堂安同様、森保新体制発足時に新BIG3と評され、10番を背負い続けていた日本屈指のドリブラーこと中島翔哉(アンタルヤスポル/トルコ)も直近での招集が無いため、望みは薄い。
いわゆる二列目のポジションが競争必死になりそうな点は以前の日本代表と変わらずか。


【OMF】明暗分かれる2選手…原口は様々な意味合いで選出の可能性有りか

トップ下というポジションはチームが組むフォーメーション次第で消える可能性があるため、状況によっては彼らの起用はサイドだったり中盤だったり、或いはCFとなるのかもしれない。
今回は一旦トップ下という区分の上で書かせて頂こうかと思う。

鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)と南野拓実(モナコ/フランス)の両者は似たような起用をされる者同士として現状明暗が分かれている気がしてならない。

元々、相手のタックルをかわすボディバランスを兼ね備えたドリブルとパス精度、ゴール前での冷静な判断力を売りにしている鎌田は現在ドイツの地で躍動中。
彼のような典型的なトップ下タイプが生きづらくなっている現代サッカーにも上手く溶け込み、クラブに必要不可欠な存在になろうとしている。
昨シーズンはフランクフルト2回目のEL制覇に貢献し、今シーズンも全公式戦を合わせると既にシーズン2桁ゴールを達成している。(10月27日時点)
日本代表でもコンスタントに結果を残しており、直近だとFIFAランキング上は格上のアメリカ代表相手に得点を記録した場面が印象強い。
今シーズンはボランチ起用にも活動の幅を広げ、守備面のパフォーマンス向上にも余念がない。
典型的なトップ下タイプとは言ったものの、そういった部分では順応性の高さも兼ね備えているのだろう。
彼をW杯のキーマンに上げる有識者も多く、間違いなく攻撃の中心として期待する声が最も多いと言える。
彼が得点やアシストで直接スコアに関与する働きをするか否かで日本代表の命運は決まるのかもしれない。

そんな鎌田とは対照的に、今最も大きな壁に直面しているであろうのが南野。
今シーズンはおよそ2年間在籍していたイングランドの名門リバプールを離れ、モナコに新天地を移した。
ボールを受けてからの切れ味鋭いターンや日本人としてはズバ抜けている得点感覚、リバプールに於いて最低限必要とされる守備面での献身性等が彼の武器。
彼の今までの経歴や期待値を考えた時、現状のモナコと日本代表でのパフォーマンスは物足りないと判断されるのも致し方ないところ。
なんとかリーグ戦での初ゴールは記録したものの、直近では出場機会の少なさが目立つ。
日本代表でも先日の親善試合ではスタメン出場した試合で一向に振るわず、コンディションの良さを見せつけた鎌田とは対照的な結果に終わってしまった。
昨年は(主にカップ戦中心ではあったが)リバプールでもシーズン2桁のゴールを記録し、日本代表でもW杯2次予選で7試合連続ゴールを記録するなど輝いていた。
結果を残せる相手のレベルを選ぶという訳でもないことは、過去に彼がCLで当時の前年王者であるリバプール相手に1ゴール1アシストを記録し、移籍を勝ち取ったことからも見て取れる。
それだけに現状の不甲斐なさには歯痒さを感じるファンも少なくないことだろう。
あまつさえ日本代表代表メンバーからも落選してしまうのではと予想する記者もいるが、個人的には本大会でここ最近の鬱憤を晴らす大爆発を見せて欲しいとひたすら願う。

原口元気(ウニオンベルリン/ドイツ)が2018年大会で世界最強クラスのベルギー代表相手に衝撃のゴールを決めた記憶が根強く残っているサッカーファンは多いだろう。
若手時代からサイドを切り裂くドリブラーとして名を馳せており、その自信を引っ提げて欧州の扉を叩いた。
上記のベルギー戦でのゴールも柴崎のスルーパスに抜け出し、右サイドを切り裂いての鮮やかなプレーだった。
そんな原口も今年で31歳。闇雲にサイドで勝負を仕掛けることを求められるウイング寄りのポジションから主戦場を真ん中に変えていき、プレースタイルも周りを見てバランスを取り、献身的に走り回る動きにフォルムチェンジをしつつある。
本人も「サイドアタッカーとしての挑戦に上限が見えた。監督から中央でのプレーを勧められた。」と語っており、かつてのドリブル小僧は新境地開拓に踏み切った。
昨シーズンはウニオンベルリンで主力として試合に出場し続け、リーグ戦5位フィニッシュとクラブ初のEL出場権獲得に貢献。
今季はクラブが更に好調で、現時点でリーグ首位に立っている(10月27日時点)中でなかなか出場機会に恵まれていない。
ただ、森保監督に依然として招集され続けているのは彼自身が日本代表としての長い経験を下の世代に伝え、チームに還元する役割を期待されるようになったからだろう。
もちろん伝道者としてだけではなく、試合に出場することがあればその時はかつてのドリブル小僧の姿から一転して周りのためにバランス良くハードに動く彼の姿を拝めることだろう。

トップ下を採用するフォーメーションになった場合、彼ら以外の候補として考えられるのは既に名前が出ている久保、田中、柴崎辺りだろうか。
ただ、トップ下を使うのならば彼ら3人のみの起用が濃厚となるのではないかというのが個人的な予想だ。


【CF】プレースタイルの偏りが激しい傾向、大迫の後継者が待たれる

近年、日本代表のCF候補として台頭してきている面々は全員プレースタイルが似通っている。

古橋亨梧(セルティック/スコットランド)は元々持ち合わせていたスピードと献身性に加え、ヴィッセル神戸時代にイニエスタやビジャとプレーすることで身につけた裏抜けセンスを武器にセルティック加入直後はスコットランドでストライカーとして大暴れ。
その勢いのまま日本代表でもW杯2次予選でゴールを決め、代表のストライカーとして貴重な選択肢になり得る可能性を示唆した。
反面、今シーズンは思うように行かない状況が度々見受けられるようになっている。
CLではプレー内容に対して現地メディアから厳しい評価を下され、9月に入ってからはリーグ戦でも得点が停滞。
そもそもCLは同組に前年王者のレアル・マドリードがいることを考えた場合、あまり過度な結果を求めるのも酷な話ではあるが。
とは言え、今大会日本代表が戦うことが決まっている国はドイツ、スペイン、コスタリカという難敵ばかり。
ストライカーとして格上相手にも立ち向かえる素養が見えてこないとするならば、その点には不安が残る。
イニエスタも認めるポテンシャルがあるだけに、W杯本戦に出場できるようならばそれを機に一皮剥ける姿を見たいところだ。

前田大然(セルティック/スコットランド)も古橋と同じチームでFWとしてプレーしている。
トップスピードに乗った時の速度と相手へのプレスの圧力は凄まじく、前線から走ってプレッシャーをかけることができるタイプのFW。
ブラジル代表との親善試合でも相手GKのアリソンに果敢にプレスをかけていたため、本戦でも彼の激しいプレスから敵陣営の連携が乱れることを狙うのも一つの手と言える。
ただ、得点感覚についてはまだまだ向上の余地がある。
Jリーグ時代には得点王を獲得してはいるものの、日本代表では要所要所の場面で決定機を逸している印象が強く、そこが課題であることは本人も自覚しているだろう。
ただ、決定機を逸しているということは裏を返せばそれだけ多くの決定機を作る動きが出来ているということかもしれない。
得点感覚は1試合2試合で急に付くものでもないため、決定機を創出できる動き出しをたくさん行なってたくさんシュートを放つ他無いだろう。
今大会のジョーカーとなり得るのは前田かもしれない。

上田綺世(サークル・ブルッヘ/ベルギー)は今シーズンより欧州に飛び出し、日々研鑽を積んでいる。
比較的万能型のストライカーではあるが、その中でも裏抜けセンスとキック力が彼の大きな武器と言える。
2019年には当時大学生ながらコパ・アメリカに臨む日本代表に選出されたことからも期待値の高さが窺える。
そのコパ・アメリカでは前田同様決定機を多く作りながらも点を決めきれないという苦い経験を味わい、自身の課題を浮き彫りにさせることとなった。
その後は鹿島アントラーズに加入し、プロの世界に日々揉まれ続けて能力の向上に尽力。
多くの決定機創出や力強いキック力に加えて空中戦やポストプレーも一定の水準でパフォーマンスを発揮し、サポーターを大いに沸かせた。
ベルギーに飛び出してからも移籍直後は苦しんでいるようだったが、最近では段々と順応してきたのか活躍する場面も増えている。
彼が万能型CFとしてもっと伸びてくれば日本代表にとっても面白い存在となり得る。
まずは今大会でメンバー入りし、ポテンシャルを存分に見せつけてきて欲しいところ。
そうすることでゆくゆくは次回大会、クラブでも次の移籍先に繋がっていくだろう。

今紹介した3人はいずれも裏抜けのプレーを主に得意とするタイプだが、大迫勇也(ヴィッセル神戸)のようなポストプレーを最も強みとするCFの後継者も欲しいところ。
大迫はボールコントロールの巧さと海外の選手にも当たり負けしない体幹の強さを武器にポストプレータイプのCFとして日本代表に定着し、2018年大会では得点も決めた。
その実力に疑いはないが、やはり年齢的なものを含めて考えると2018年大会から能力が下降線に入りつつあるのは否めない。
そもそも大迫自身が歴代の日本におけるポストプレーヤーの中でもトップクラス級の選手であるため、彼の後継者がそう容易く見つかる訳が無いのは致し方ないところ。
とは言え、今後の日本代表事情と攻撃の選択肢を広げる必要があることの2点を考えた場合、彼の後継者となる逸材の台頭が望まれる。
今大会は彼の選出の可能性があるため、他の2018年大会出場経験組と共に経験者としての強みを発揮してほしい。

その他、候補となる選手は多くないが複数いる。
空中戦に強いオナイウ阿道(トゥールーズ/フランス)、献身性と泥臭さが売りの林大地(シントトロイデン/ベルギー)。
スピードを売りにする浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)は怪我の影響でW杯に間に合うか危険信号の状態。
町野修斗(湘南ベルマーレ)は体を張れる大型のCFとして期待されており、直近で招集経験があるがまだまだ荒削り。
このポジションに様々なタイプがいればそれだけ戦術の幅も広がるため、是非激しい競争を期待したいところだ。


あとがき

今回は筆者の主観で日本代表候補となり得る選手を複数紹介させていただきましたが、今回紹介しきれなかった選手の中からメンバーないしはニューヒーローが誕生するかもしれません。


運命の代表メンバー発表は11/1(火)の午後2時からです。放送は以下を参照ください。

また、W杯各情報についても記載していきます。

☆W杯本戦の日本代表試合日程

☆W杯番組表



この記事が少しでも多くの方にとってのW杯観戦ガイドになれば幸いです!
開幕まで1ヶ月程度、今年も是非楽しみましょう!

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