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新プロジェクトの成否をわけた3つの要素

一言でいうと

新しいことをチームで学ぶ際には、
・メンバーが尊重され
・プロジェクトのポジティブな意義が明確
であることが重要。

活用シーン

組織マネジメント、心理的安全性、学習する組織

内容

エイミー・C・エドモンドソンの研究
低侵襲心臓手術(MICS)という新しい手術の導入というチャレンジについて16の病院の心臓外科部門をリサーチした。内4病院の内容を以下に記す。

4つの病院の内2つはMICSを上手く導入できたが、2つは最終的に断念した。
成功と失敗を分けたのは、経営サイドの支援でも、資源でも、プロジェクトリーダーの地位でも、専門知識でもなかった。
大学病院かどうかや、イノベーションに対するこれまでの取り組み方にも関係がなかった。

インタビューの結果、その成否には以下の三つの特徴が明らかになった。
●リーダーの役割
MICS導入に成功した病院のリーダーはメンバーと相互依存していることをハッキリ述べており、リーダーも間違う場合があるため他人の意見を必要としている、という考え方を明らかにしていた。
●チームメンバーの役割
年功序列や専門性の壁を作ることなく、メンバー全員が自由に発言し、彼らも非常に重要な立場であることが認識されていた。
●プロジェクトの目的
このプロジェクトが果たす目的や意義、顧客や従業員や社会にもたらす価値が周知されていること。失敗したチームはどちらかと言えば競争相手に対する恐れといったネガティブな目的が支配的だった。

『チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』
エイミー・C・エドモンドソン (著)

これまで胸を開いて行っていた心臓手術。
これを小さな切開で行うMICSという新たな術式を導入する際の観察です。

そもそも今までの手術とは根本的に方法が違うため、外科チームは今までの経験値だけでは乗り切ることが難しいと考えられるプロジェクト。
一方、外科医というのは日本だけでなく海外でなくても、わりとプライドの高いワンマンプレイヤータイプが多いようです。

しかし、未知の事へのチャレンジにおいては、こういったワンマンプレイヤーのばあいなかなかうまくいかないことも多いようです。上記のMICSの導入に関しては、外科医の能力よりむしろ、リーダーである外科医が自分の能力の限界を自覚し、メンバーに意見を求めて多くの視点を持つこと。そして、メンバーを尊重し、メンバーに最大限の能力を発揮してもらうこと。そんなことがとても重要と考えられそうです。

私がよく使う表現に、「ワンマン経営者+秘書」という言い方があります。
中小企業の経営者は往々にしてワンマン経営者。
そして社員は、経営者の指示がなければ動けない(下手に動くと叱られる)秘書というか小間使いになっている組織はけっこう多いと思います。

ええ、私も意識しなければそうなってます(苦笑)

ここで出てくるチームは、新しい未知のプロジェクトに携わることで、「チーム学習」を行っている、と言えます。従業員教育と言えば、講師を雇って講義に参加させるイメージがありますが、仕事の中で学び、成長することは可能なようです。ただし、その土壌を作るには、それなりの苦労はあるのでしょうが。


ところで、ここでご紹介した事例はかなり要約しています。
もし、リーダー的立場におられる方がこのコラムを読まれて、関心を持たれたら、ぜひ原著をご一読されることを強くお勧めします。

『チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』
エイミー・C・エドモンドソン (著)


で、これとは関係ないですが、私も本を書いてます(^^)/

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