大惨事の際に生き残る人の習慣

一言でいうと

正常性バイアスを抜け出す方法

活用シーン

非常事態の生き残り

内容

1977年カナリヤ諸島に属するテネリフェ島で、二機の巨大な旅客機が衝突した。
パンナムのジェット機は496名の乗員乗客を乗せて、濃霧の中、滑走路を地上滑走していた。同じころ、オランダのKLM機は248名の乗員乗客を乗せて、同じ滑走路で離陸許可を求めていた。

KLM機は管制塔の指示を勘違いし、パンナム機に向かって速度を上げた。管制官は警告しようとしたが、雑音で声がよく聞こえなかった。KLM機の機長が前方の濃霧の先のパンナム機に気付き、尾部が滑走路をこするほどの急角度で機首を挙げたが、離陸することはできず、KLMの機体の半分が時速160マイル(約260キロ)でパンナム機に突っ込んだ。

パンナム機にぶつかった勢いで、KLM機は500フィート(約150メートル)ほど空中に跳ね上がり、地面にたたきつけられた。ジェット燃料が大爆発を起こし、乗員乗客は全員死亡。

救助班が飛び出したが、生存者のいるパンナム機の存在に気付かず、彼らは全員が死亡したKLM機に向かった。その間にパンナム機には火が回り、燃料タンクが爆発。脱出した70名以外は全員死亡した。

この時、最初の衝突を生き延びた人々は火に呑まれるまでの一分間の猶予があった。その一分間に、脱出できたはずの数十名が行動を起こさず、麻痺状態から我に帰ることができなかったという。助かった人の証言を聞くと、彼らが急いで脱出口を探しているとき、他の乗客はただじっと座っていただけでなく、そばを走り抜けていっても立ち上がろうとさえしなかったという。

ランカスター大学の心理学者ジョン・リーチ
破滅的な事件のとき、あるいは生命の危機が迫っているとき、およそ75%の人は頭が働かなくなる。鐘型曲線(ベルカーブ)の両端、それぞれ15%ほどの人々は、思考力は損なわれず、意識が研ぎ澄まされて対応できるか、あるいは逆に完全に度を失ってパニックを起こす

彼はさらに言う。
「生き残るタイプの人は、最悪の事態を想定して以前から備えていた人たちである。そういう人々は、そのための下調べをしたり、シェルターを建設したり、避難訓練をしたりする。非常口を確かめ、いざという時にどうするか考える。こういう人々は、大惨事の際にじっくり考えたりしない。じっくり考えるのはすでに済ませてしまっているからだ

『思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方』
デイヴィッド・マクレイニー (著),

最近、台風の襲来などで、メディアなどで「正常性バイアス」という言葉がだいぶ一般化してきたように思います。正常性バイアスというのは、自分は大丈夫という思い込み。たとえば、台風が来て、非難が必要な状況に陥っているのに、それを冷静に判断することができず、なんとなく大丈夫な気がする、と特段の手を打たないケース。火事においては、台湾だったかの地下鉄火災事故では、火の手が上がり、煙が周囲を取り囲むのに、平然とスマホ画面を見ている人たちの画像が公開されて衝撃を与えました。

自分だけは大丈夫、この地だけは大丈夫、このタイミングなら大丈夫・・・
こういった思い込みは、犠牲者を増やしてしまいます。

さて、今回の衝撃的な事例。
飛行機で大事故が起こっている(外が見えなくとも、墜落・衝突となれば大音響でわからないはずがない)時に、何もせずボンヤリとシートに座っていた乗客がけっこういた、という話。

これは例えば、道を歩いていていきなり襟首をつかまれ、「オンどりゃ!」なんてガンをつけられたときのことをイメージするとわかりやすいかもしれません。即座に対応できる人は少数派で、普通は何が起こったのか理解できず、アワアワと口をぱくつかせるだけで終わってしまうのではないでしょうか。たぶん私ならそうです。

こういう時に対処できるのは、日頃からケンカ慣れしてる人ではないでしょうか。オンどりゃ!と言われれば、ナンじゃコラ!と返す。
そういうシミュレーションができてるか、経験をしているか、なんですね。


だから、災害のときは、避難訓練とか、諸々の訓練やそれを想定した確認とかは割と大事なのかもしれません。「こんなことやっても・・・」と思えることでも、一度脳が思考をしたことのある内容だと、それを再現するのは初めての人とは確実に違います。

事前の「心の準備」が、生死を分けるのかもしれません。



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