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僕のNHK退職物語④

おはこんばんにちは。劇団らふの橋本です。
約1ヶ月ぶりの更新となってしまいました。
忙しいとなかなか筆も進みませんね、、、!
このご時世、忙しく出来ている事が何よりなのですが。

さて、1ヶ月ぶりなので何をどこまで書いていたのか、ほとんど忘れてしまったのですが、、、笑
確か地方局でのはじめての仕事を書いていたと思います。
今回は地方局で丸4年何をしていたのか、
そこで考えていたことや得た事
など書いてみたいと思います。
※あくまで一個人の感想です!

退職物語というか、NHK就業体験記になりつつあるので、
これから就職を考えている人の参考になったりしたらいいなぁ、、、!

基本、なんでもやる

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NHKの地方新人ディレクターは、
専門的にジャンルを絞って番組を制作することは殆どありません。
前述の情報番組のニュースリポートにはじまり、
提案さえ通す事が出来れば、ドキュメンタリーからバラエティ、
歌番組、ドラマまでありとあらゆる様々な番組が作れます。

大体3年目くらいに、東京への移動に備え、
自分が将来どんな分野の番組を制作したいのかをハッキリさせていく
のですが、
それまでは出来るだけ幅広く経験を積む事が良しとされます。

僕は元々ミュージカルに通ずるドラマや歌番組を制作したいと主張してNHKに入りましたが、地方ではドキュメンタリーからスポーツ中継、選挙特番まで、出来るだけ幅広く制作しました。
映像制作のノウハウを可能な限り仕入れたかったので、
その仕事を通じてどんなことが得られるかできるだけ具体的にビジョンを描きながら、
自分の得意な分野✖️未経験ジャンルという提案を心がけていました。

結果、地域発ドラマやラジオドラマ、バラエティ、歌番組、マジック番組、謎解き番組の制作まで経験できました。

AD期間がない

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上記のように、地方では様々な番組をディレクターとして制作していましたが、
NHKではAD期間が明確に設けられない(一年目からディレクターとして働く)ので、
実際の制作を通じてイチから学んでいくことになります。

民放の多くは固定番組(レギュラー番組)のADからキャリアをスタートさせていくことが多いです。20代はAD、30代くらいから優秀な順番に演出としてディレクターの仕事をこなしていくイメージでしょうか。
そんな中でも、若手で才能がある方は、激戦の中提案を通し、早くして総合演出をされていますね。(ゴッドタンの佐久間宣行さんしかり、水曜日のダウンタウンの藤井健太郎さんしかり)。

この、AD期間のあるなしについては良し悪しがあります。

NHKのように、いきなりディレクターになったら、どれだけ経験がなくても提案さえ通れば演出として番組制作ができます。
プロデューサーやデスクの力を存分に借りながらも、取材からポスプロ、放送まで最後まで演出として責任を持って制作します。
半自動的に、ジャンルを超えた制作スキルを身につけることもできます。
ただし、ジャンルが絞られない分、
経験が蓄積されないことが多く、専門性も磨かれにくいです。

自分はこのジャンルが作りたい!
という意思が入局当時から揺るがない人は、
一年目からADとしてそのジャンルのスキルを磨いた方が良いと僕個人は思います。
20代の4〜5年を費やすことになる(ここの時間は非常に価値が高いはず)ので、
自らのビジョンと違う選択をする事はリスキーです。
まだ行く末の希望が決まりきっていない、という場合は色々な経験ができるわけですから、とてもプラスですよね。

僕が考えるに、NHKの核は報道と教育番組(Eテレ)で、特に教育番組は幅広いジャンルの番組制作能力が求められるため、
いきなりディレクター制度が採用されているのだと思います。

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ローカル特番をいかに作るか

NHKの地方局には、大体月に2〜4本ほど、
その地方でしか放送されない25分〜30分間のローカル特番枠があります。

大抵、その県にまつわる事であればなんだって作っていいスタンスなので
(勿論意味があって面白いことが大前提ですが)、
番組名もフワッとしてることが多いです。
〜スペシャル、とか、県名や地域をもじっていたり。

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この枠で如何に面白い番組を作るかが、新人ディレクターに課される仕事。
僕がいた局は提案制で、ブレスト会議で上司に引っ掛かると、制作できるシステムでした。
制作期間は大体2〜3ヶ月です。

僕の場合は、上司が非常にクレバーな方だったので、少しでも提案すると、それだったらこうしたらいいんじゃない?
という明確なアドバイスをしてくれました。
なので、最終的に上司が考えたとも言えてしまう番組も沢山ありましたが、
ブレストをできるだけ行い、積極的に番組制作に取り組みました。(NHKの地域局において優秀な上司との出会いは何にも変え難く貴重!なぜなら優秀な人ほど東京が欲しがるので!)

結局プロデューサーである上司のゴーサインがでるかでないかが最終決定なので、
僕は自分の番組を作るために、さりげなく上司の情報収集をしていました。
最近面白いと感じたことや興味のあることはなにか。
そういった情報を雑談や飲み会の中でちょくちょくと仕入れておく。
それに僕のやりたいことを紐付けで提案することで、企画に対する反応はかなり変わったと思います。

自由に発想して番組を制作することは、苦しい分楽しかった印象が強いです。
とにかく映像について学びたかった自分にとって環境としてNHKの地方局は最高だったと思います。
海外ロケにも行かせてもらいましたし。
(NHKにいた5年間で三回も海外に行くことができました。結構レア!)

地方にいながら東京でも番組制作をする

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上記のようなローカル特番はあるものの、基本的に、NHKの番組はほぼ東京で制作されています。
東京以外の地域を題材にしていたとしても、
そのほとんどを東京の人間が作っています。
さすがは日本の中心、首都TOKYO 。

ただ、年に数度、東京以外の人間が、
東京で制作される番組の提案をかける募集があります。
全国放送を全中、とか言ったりするのですが。
全国で放送する価値があると思われる地方の話題を集めるような感じです。
そこで提案が採択されると、東京で番組制作を行うことになります。

地方局だと上司や同僚が限られるので、東京の制作の現場では普段と違った環境で、より洗練されたスキルを学ぶ機会を得ることができます。
僕は気分転換も含め、定期的に東京で番組を作れるように提案を出していました。
年に1〜2回のペースで地方以外の番組を作ってましたかね、、、!地元にも帰れるし、そういう意味でもよかった。

最終的には東京で決まった番組の制作をするより地方で自由にする方が、自由度が高く楽しかったですが、スキル習得という意味では毎回刺激的な経験を得ることができました。

地域重視なのか否か

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地方のNHKを語る上で外せないのが、地域重視。これはNHKの永遠の課題。
公共放送機関であり、全国に放送局をもつNHK。
地域に密着した情報を届けることが必要だ!と経営陣が旗をふれば、地域局の人材が増え、地域で作る番組も多くなります。
逆に東京重視だ!となれば、どんどん東京一極集中、都市型の制作現場が増えていきます。
僕が入局した時は、ちょうど地域職員の削減が終わろうとしている頃でした。

そして、数年経つと、"やっぱりもっと地域に根ざした番組を作ろう"、という風潮が広がり、地域発の番組(前述のローカル特番など)が増える流れになっていきました。

それでも昔とくらべ、だいぶ地方で作る番組は減ってしまっていましたね。
また、地域局にいる職員も若手が多く、
いきなり特番を作れと言われてもそうはいきません。脂ののった職員(20代後半〜30代前半)は東京でバリバリに働いています。
そんな中で、地域サービスの拡充、と言われても限界があったことは確かです。

さらに、その地方には、長年ずっとその地域で番組を作ってきた民放さんがいます。
やっぱりその地域に住んで2〜3年の若手ディレクターと、地元出身者では差があります。
NHKが地方民放と違う価値を生み出すには、
それ相応の努力と時間、画期的なアイデアが必要です。
ローカル番組制作を通して、そういった課題と4〜5年向き合う、ということが地方に配属された新人ディレクターの仕事ですかね。

まとめ

とまぁかなりの分量書いてしまいました。
改めて様々な経験をしていた事が認識できます。
次は何を書こうかしら。
そろそろNHKの良かった点とか、改善点とかをまとめていったほうが読みやすいかもしれませんね。
また時間を見つけて書いていきたいと思います。
ではまた!!!


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