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僕のNHK退職物語③

おはこんばんにちは。劇団らふの橋本です。
湿気がエグい、、、エグすぎる、、、
春と秋みたいな天気が続けばいいのに。
まだ5月ですやん。一体どうなっちまうんだ。夏。

さて、先日に引き続き退職物語を記して行きたいと思います。
なんか、退職物語っていうよりも、
NHKで過ごした記憶を思い出す日記みたいになってますね。
無意識のうちに多少美化されたり誇張されたりしているかも、、、?
まぁ、それでもいいやという感じなので、
全部が全部そのとおりかというと微妙かもしれません。

地方局での仕事


GW明け、西日本の地方局に配属された僕
そこで待っていたのは、またもや研修。
ディレクターだけでなく、技術、営業、編成、記者など様々な職種の同期と一緒に、その地方で働くために知っておくべきことを学んで行きます。
この研修の中で一番キツかったのが、「公金意識研修」なるもの。
受信料を一般の方から頂き、そのおかげで仕事が出来るという前提をしっかりと学ぶため、実際に住宅に足を運び、受信料の支払いをお願いする、という研修です。2〜3日あったかな。

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暑い中、自転車に乗りながら一軒一軒お家を訪問し、ご挨拶していくのですが、もちろん簡単にお支払い頂ける訳もなく。玄関先で2時間近くお叱りを受けたこともありました。
まぁ、皆さんそれぞれ受信料について思うことはありますもんね。
僕の友達も、家にテレビない人も多く、払ってないっていうことも沢山聞きます。
NHKの人間ではなくなった今、僕自身受信料を払うことに抵抗がないかと言われたら嘘になります。
そのお金がどの様に使われているのか、自分の働いていた範疇だけでも分かるので、、、。

ちなみにNHKでは確か10年に1回くらいのペースで
この「公金意識研修」を行う感じだったと思います。
よくネットなどで動画とかに出されているのは
NHKの職員ではなく、下請けのスタッフさんで有ることが多いのも
事実だと思います。
NHKが発注している先のスタッフさんなので、
その態度に問題があればそれはNHKの責任でもある
のですが
(これは今の政治にも強くいいたい)
なかなかすべてに目を通すことが難しいのも事実です。

とまぁそんな研修をこなしつつ、
6月くらいに、本格的に"ディレクター"として働いていくことになります。

初めての仕事

NHKのディレクターの初仕事。
それは、大半がニュースリポートの制作です。

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NHKでは、だいたい18時くらいから夕方のニュースがあります。
実は、その放送は県ごとに違う(全国のNHK地方放送局がそれぞれにニュース番組を放送している)のです。
これ、東京や関東圏、大阪以外の出身の人にとっては割と常識らしいのですが、横浜出身の僕にとっては知らない世界でした。
そのニュース番組の中で放送される5分前後のリポートを制作するのが初めての仕事なんです。
局によってはそれぞれがバラエティコーナーなどをもっていることもあったりして、中継をしたり、スタジオに地元のゲストを招いてトークをしたりもします。
そういった「ニュース番組内での企画」を考え、制作することが新人ディレクターデビューにつながります。

地獄のネタ探し

上司に、「1週間後にネタだしの打ち合わせするのでそれまでにネタを探しておいて」と言われ、地獄のネタ探しの時間が始まります。
ニュースリポートで取り扱いたいネタを探す、ということがいわゆるネタ探しなのですが、
これが思ったよりもなかなか難しい。
し、ここで手を抜くと後々後悔することになります。

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まず、NHKなので、企業アピールのようなことはまずNG。
そして、今なぜ公共の電波を使ってその内容を取り扱うのか、
という明確な理由がないといけない。

このご時世、ネットで調べたら色々出てくるんじゃないか?
と思いきや…地方では全然そんなことはなく。
実際にその土地に足を運んだり電話をしたり、話を聞きかないと、今どこで何が起こっているのか、わからない。
ネットで引っかかってくる情報なんて、ごくわずかな若者向けのものくらいしかない。
高齢化が進む地方のコアな情報は、まだまだのっていない。

というか、そもそも初めて住んだ土地で、
どんな人がどんなところでどんな生活を送っているのか全くわからない状況。

”地方での暮らし”がどんなものなのか、そこに潜む問題や面白いことは何か”。まずはそれを知らなければいけないんです。

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電車は1時間に1本。
スイカなどicカードが使えず
基本的に現金でやりとり。
車をもっていない家などほぼ存在しない。
すべてのコンビニに駐車場がついている。
どこの野球チームが人気なのか。
地元の人がよく食べるものはなにか。
方言やよく使う言葉。

新聞や過去の映像を掘り返したり、
タウン誌などを図書館で読み漁ったり、
役所や商工会議所の方にお話をきいたり。
たまたま飲みに入ったお店のマスターから耳寄り情報を仕入れたり。
そうやって少しずつその土地に慣れていく。
本当に情報アンテナをはるのが大変でした。

ネタから見えるストーリー

そんなこんなしていると、
ぽつぽつと、これは面白いかも!という情報が手に入っていきます。

次の問題は、ただ面白い、というだけではダメだということ。
5分間のリポートの中で魅力的な起承転結を作らなければいけないので、ストーリーづくりができるかも非常に重要な要素になってきます。

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これ以外にも色々と方法や考え方はありますが、
僕の場合は簡単にまとめると以下のような考え方をしていました。

起:何かしら問題がある
承:それを解決するような取り組みが始まった
転:取り組みにより、変化が生まれた
結:今後の課題

最初に情報として、こういう問題がありますよね、と共感もしくは驚いてもらい、そんな中、こんな事が始まったんです!という新情報で惹きつけ、その効果や意味を伝える。そして、それだけに留まらず、最後は今後の行き先や豊富などをつけて、あくまでつづく、という形にしておわります。
どんなコンテンツでも、to be continued って大切なんですよね。

流石にこの起承転結は簡単すぎるので、
そこにさらにエモい要素(共感できる経験談やパーソナルな情報)を入れて肉付けしていくわけです。

ミュージカルもそうですが、物語の登場人物には何かしら葛藤や問題があって、作品には描きたいテーマがある。

なので、このストーリーの作り方(起承転結)は、
色んなコンテンツ作りに反映できるというか、根幹の部分なのかなぁと思います。起承転結って言葉、改めてすごい笑

そして、このストーリーがいかに面白く作れるかによって
コンテンツの質が決まっていきます。
最終的には、テーマや内容がよければ、映像演出は微妙でも見れてしまうものです。
(よく、音さえ取れていれば成り立つ、と言われます)
インタビューでも、「この言葉を言ってもらえた!」という感覚が
最終的にその日のロケがOKだったかどうかを判断する材料になります。

その上で、本当に起承転結が作れるのか、魅力的な言葉を話してもらえるか。
ここを蔑ろにしたままなんとなくで制作を始めると、
後々ロケや編集・ポスプロで後悔することになります
なので、ネタ探しの手を抜いてはいけない。
どこまでも詰める必要がある。故に地獄なのです。

今回はこの辺で。
主にネタ探しについて書きましたが、
これは物語を書く上での題材ぎめみたいなもので、
どんなコンテンツづくりにも共通する超重要ポイントでした。
続いては初仕事をもう少し具体的に紹介しつつ、お話をすすめていきます。

ではまた!


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