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効果的な学習法を学習通信で生徒に発信したら…

平成27年度、私は勤めていた中学校において生徒たちの学力向上を願い、
脳科学者である池谷裕二氏
教育経済学者である中室牧子氏
ベネディクト・キャリー氏
の著書などを参考に、
エビデンスに基づいた効果的な学習法
学習通信にまとめて情報発信しました。

・記憶の種類
・検索力と保存力
・記憶に適した時間帯
・睡眠と記憶の関係
・反復練習の仕方
・インプットとアウトプット
・脳波について
・勉強量と成績アップの関係性
・やる気のメカニズム

など、様々な情報を具体例とともに提示し、
自分に合った方法を見つけて、家庭での学習を促進し、
学力向上の一助となることを期待しました。

しかも、ただ学習通信を配布するだけでは
生徒全員が読まない可能性もあるので、
朝や帰りの学活時に学習通信の内容を細かく解説することで理解を深め、
家庭学習に対する意識改革ができるよう、
熱意をもって生徒たちに伝えました。

さらに授業参観後の学級懇談会では、
保護者の方々にも学習に対する考え方を刷新してもらえるよう
学習通信の内容をダイジェスト的にまとめて説明し、
家庭学習には保護者の方のサポートが不可欠であることを伝え、
協力をお願いしました。

学習通信の効果は?

私としては、かなり精力的に情報発信したつもりだったので、
生徒たちの学力は劇的に変化するだろうと予測していましたが、
学習通信のおかげで学力が向上するという現象は
全く起こりませんでした。

学習通信を配布して説明しているとき、
生徒たちは興味をもって前向きに聞いていましたが、

「知ること」
    と
「やること」は別
のようで、

実際、行動に移している生徒は
ほとんどいなかったというのが現実です。
※  私「昨日紹介した学習法を試してみたかな?どうだった?」
  生徒「してない」
    「今までやってきたやり方のほうがやりやすいので」
    「やろうと思ったけど、やり方がいまいち、よくわからなかった」

第1段階 効果的かつ効率的な学習法を知る(学習通信)
  ↓
第2段階 学習法を実践する(生徒個人の実践)

家庭学習において、第1段階から第2段階への移行はどうしても
生徒たちの意志、自主性に委ねざるを得ないので、
特に勉強が苦手な生徒にとっては、かなりハードルが高かったようです。

”やれば効果がある”とわかっていても、
実際にやってみようとすれば
精神的に負荷がかかって二の足を踏んでしまうようで、
学習通信を配布していなかったそれまでの状況と
さほど変わりませんでした。

第1段階から第2段階へ移行しなければ意味がないので、
学習通信の発行は学力向上に対して
かなりコスパが悪い方法であったといえます。

また、下の令和4年度全国学力学習・状況調査、学校質問クロス集計結果
からもわかるように

情報発信するだけでは、
ほとんど学力に影響を与えていないことが読み取れます。

この結果は、先生方や保護者の方が子どもたちに
「勉強しなさい」
「こんな感じで勉強したらどう?」
「私が学生のころ、こんな感じで勉強していたから、
 同じようにやってみたら?」
などと、アドバイスするだけ、口で指摘するだけでは
子どもたちの学力に影響を与えにくいということにも
つながると考えられます。

そこで私は、
学習通信で紹介した学習法のうち
学校の授業で行えるものはどんどん取り入れるようにして、
具体的な学習法を生徒自身が体験するとともに
その効果を実感できるようサポートしました。
そのおかげなのかはわかりませんが、
第2段階に対するハードルが少し下がり、
家庭学習の改善が見られる生徒が増えたように感じました。

まとめ

情報発信だけして、後は生徒本人の自主性に委ねるだけでは
学力は身につきません。

やってみせて
言って聞かせて
させてみて
ほめてやらねば
人は動かじ。

山本五十六氏の名言のように
保護者の方や先生方がサポートして
生徒本人が自ら行うようにしむけなければ、
第2段階へはなかなか進まないということです。


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