今はもう消えてしまった京都の本屋のはなし・5
まだ続きます、京都の消えた本屋の話(トップ写真には河合季信氏のものを使わせていただいております。多謝)。
今までの記事はこちらにまとめました。
実は初めた当初は自分でもこんなに続くと思っていませんでした。
書いているとどんどん、「ああ、あそこも」「そういえばあんな店も」と次々記憶が甦ってくるのです。
本日はここ、三省堂書店。
もしかすると「えっ、京都にも三省堂あったの!?」て反応の人も多いのではないでしょうか。
あったんですよ、三省堂。
ちょっとふしぎな場所にありました。
京都駅ビルにはThe Cubeという専門店街がありまして、その一角にあったのですね。
その場所が、お土産屋さんの奥。
こう、お店が横に長い長方形だとするじゃないですか、その下辺の左右端と中心の三箇所が出入り口なのですね。
で、中央&右の入り口は1階の中央改札からエスカレーターで降りるor地下中央改札出たとこから見えてるんですが、左の入り口は、観光客狙いのお漬物屋&お酒屋さんの間を突っ切っていくのです。
お土産狙いの観光客の方々は、伊勢丹の地下から流れてきて、漬物屋の奥に本屋があるというシュールな光景に驚かれたのではないでしょうか。店内にもそこはかとなく漂う漬物の美味しそげな匂い。
2003年にオープンした時は、大変嬉しかったものです。
何せ「三省堂書店」が初めてでした。東京の本屋さんです。都会の香りがします。
店内は明るい照明を白い棚が更に明るくしていて、とても気持ちの良い場所でした。
2016年に初めての本、『雨音は、過去からの手紙』が出た時、それが「書店の棚に並ぶ光景」を最初に見たのは確かこの店でした。
それがあんまり売れなくて(笑)、2冊目、『世界の端から、歩き出す』の出版が決まった際に、次こそは、と思っていたら、お店の方が2018年の6月に閉店してしまった(本は18年の12月に出ました)。悲しかったものです。
やっぱり、駅の改札出て1分、て立地の本屋に置かれるのは嬉しかったので。
ここは立地もあってそれなりにお客さんがいたのですが、この辺り一帯のCube空間が全部伊勢丹にお買い上げられて改装されることとなり、閉店となってしまいました。無念でした。
京都駅の地下街・ポルタにはくまざわ書店があるけれど、駅直結とは言い難い。
とは言えあんまり用事が無かったお土産物&お漬物屋さんズがなくなって、伊勢丹セレクトのお菓子屋さんが増えるのは実はちょっぴり、イヤかなり嬉しい。
複雑な心境です。
そんな訳で改装が始まり、今まで和菓子セレクトショップがあった一角に本屋が入ることを知る。
えっ、嬉しい、どこだろう。
と思っていたら意外や大垣書店でした。いや本屋が入ってくれたこと自体はとても嬉しいのですが、こんなにも京都駅まわりにお店を増やしてしまって大丈夫なんでしょうか大垣。何だか、広めの道路に向かい合って同じコンビニが入っている様を連想します。
新しくできた大垣書店はだいぶ小さめ。
そしていかにも駅前小型書店らしく、観光・雑誌が強く、一般書籍やコミックは控えめ。
戦略上は致し方のないことですが、そうなってあらためて、「ああ、三省堂の品揃えのポイントの効き具合はスゴかったのだな」と思い知りました。観光客・地元客の双方のアンテナの一番おいしいところをバチっととらえている、と言いますか。
ただ入ってきた本を並べてハイどうぞ、ではなく、コレがいいんですよお客さん! と「売るぞ」という意気込みがバリバリに感じられる店でした。
だからそんな店がなくなってしまったことがとてもさみしかった。
そういえばここもよく、待ち合わせに利用しました。
街中にただ点のようにある店舗、ではなくて、ランドマーク的な、単なるお店以上のものをもった何か、がある本屋さんがこれからもたくさんこの街にあるといいな。
日本中の多くの本屋さん好きの人々が、きっとそんな風に思っているんじゃないでしょうか。
こちらの取り組み、どうかご一読ください。
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