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【はがきサイズの短編】笑ったもん勝ちゲーム テーマ:期待 真実 恋の宣言

こんにちは!そして遅くなりました。高木梢です⚘

今回は!!なんとなんとフォロワー様からお題をいただきました!

「恋の宣言・真実・期待」です!
花言葉からお題を出していただけるなんて、なんてロマンチック!かつエレガント!(スパイファミリーの某先生です笑)

三つの言葉のうちどれかひとつでも、と仰ってくださったのですが、嬉しすぎて三つの言葉を全部選んでしまいました!

真実とは、うそいつわりのないこと。期待とは、望みをかけてまちうけること。だそうです。

ああ、やっぱり誰かのために物語をつくらせていただくって最高に幸せなことですね!本当に、ありがとうございます。

(お題にちゃんと答えられているのか、毎回心配になりますが・・・)

少しでも、みなさまに幸せな記憶を届けられますように。


――――――――――――――――――――――――――――――――――

  おれは、花枝さんのことが好きだ。

 黒髪のショートヘアも、切れ長の凛とした目も、白い肌も、細い肩もすげえかわいいと思う。
 花枝さんは同じ高1で、美術部に入っていて、クラスでは全く喋らないし笑ったところも見たことがない。あんなやつどこがいいのってサッカー部の連中にはあきれられるけど、別に理由なんてなくていいじゃねえかっていうのがおれの持論だ。ひとめぼれだしな。

 そして今、二人きりの美術室で花枝さんが絵を描いているのを隣で眺めている。

 ここ一年、おれよくがんばったよなあって思う。サッカー部の練習がない日、花枝さん目的で美術室に入り浸っていたけど、最初は話しかけても無視。返事はあっても「うん」とか「そう」だけだったっけ。

 それが2月に入って、ようやく!まともに会話ができるようになったのだ。

 でも、花枝さんが絵を描いているのをただ見ているのもいいなと思う。結局、一緒にいられればどっちでもいいのだ。

 とは思うんだけど、やっぱり、彼女の笑った顔が見たいとか、付き合いたいとか考えてしまう。気づいたんだけど、花枝さんは相当ピュアだ。だから最近、おれの汚い欲に付き合わせちゃだめだって思うようになったんだけど、どこかでいつも期待しちゃうんだよなあ。

 「花枝さん、何描いてんの?花壇見てるけど、花とか咲いてなくね?」

 「春に咲きそうなお花。これがアネモネ、水仙、チューリップ・・・。誰が植えたのか知らないけど、こんな風に咲いたらいいなって想像して描くのが好きなの。」

 花枝さんのスケッチブックには、色とりどりの花がうわあって光を放って咲いていた。寒そうな外の花壇には、土しかないように見える。想像力、すげえって思った。もちろん、言った。

「そんなことないよ、私なんか・・・ありがとう。春野くんは、なんていうか・・・いい人だよね。すごく。私、話すのも笑うのも、緊張しちゃって全然できないから・・・美術部も、ひとりしかいないし。」

 いい人ねえ。おれはいい人って言われるよりも、花枝さんの笑った顔の方が嬉しいや。ほんとはすげえ人なのに、なんとかしてあげたいな。

 そのとき、おれは幼稚園児の妹が最近覚えてきた遊びを思い出した。

 「よし、花枝さん。ゲームしよう。」

 「ゲーム?」

 「おう。最初に笑ったもん勝ちゲーム。」

 「笑ったら負けるんじゃなくて?」

 「そう、勝ち。相手を褒め合って、笑わせんの。妹とこれやると、あいつ速攻で泣き止むから。愛想笑いなしね。」

 「それ、私負けじゃない?」

 「いや、絶対そんなことないから大丈夫。じゃあ、花枝さんからね。」

 花枝さんは少し考えて、呟くように言った。

 「春野くんは・・・いつも話しかけてくれて、サッカー部の人たちといつもクラスを明るくしてくれていて・・・妹さんの世話もちゃんとしていて・・・うん、すごく、優しいと思う。」

 あかん、にやけそう。妹グッジョブ。ちなみに、花枝さんはここまでずっと無表情です。でも、嬉しい。

 おれはつい調子に乗ってぺらぺらとまくし立ててしまった。

 「花枝さんは、絵超うまいのにめっちゃ勉強してるし、掃除ちゃんとやってるし、声も目もきれいだし、やさしいし、まじでかわいいと思ってる。ほんとさ、花枝さんのことはずっと好きでいつづける自信ある。」

 言い終わってから気づいた。言い過ぎた。絶対キモイと思われた。

 でも、花枝さんのほっぺたは朝顔が咲くようにゆるゆるっとほどけて、白い肌が一気に華やいだ。
 ぱっと小さな手で真っ赤な顔を覆ってふふふっと声を上げた後、とろんとした目向けて、照れたように、

 「勝っちゃった。」

 とくすくすした。

 おれは呆気にとられて、

 「え、好き。」

 と心の声を漏らしてしまった。あわてて「あ、ちがう、負け。」と言い直したけど、

「もう遅いよ。」

 と花枝さんはにこっと笑った。本当の笑顔だった。

 この後おれたちがどうなったのかは、花枝さんが描いたアネモネ、水仙、チューリップだけが知っている。


Fin


ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
素敵なお題、画像をお借りしました。

心の底から、感謝しています♪これからもよろしくお願いします。




米粒サイズの字だったので、思い切って2枚に分けてみました。


こっそり追記

超超今更ですが、少しだけインスピレーションを受けた曲があります!
Airの「青空」という曲です。(公式リンクがなかった)
本当は早く追記しようと思っていたのですが、失念しておりました(´・ω・`)嘘じゃないです…

すみませんが、よろしくお願いします。


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