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【読書】 6月に読んだ本 8冊

6月が終わって下半期がスタートしてしまった。今年はあまりペースを落とすことなく本を読めている。このまま行くと100冊超えるペースなんだって。1年100冊はわたし史上初めて!とはいえ1冊でも多く心に残る本を読むこと(見つけること)が目的なので、目指しているのは冊数ではないのだった。

では6月に読んだ本のまとめです。



ホットプレートと震度四 / 井上荒野

まずタイトルが秀逸。表紙の写真と相まって、思わず手に取りたくなる洒落感がある。内容は食にまつわる道具をテーマにした短編集。1本20ページくらいの短いお話の中に、人間の悲喜交々がしっとりと描かれていて、寒い冬に薪ストーブの前で、焚き火を見ながら読んでみたりしたら最高だと思う。一気読みというより、少しずつ読みたい本。
同時期に発売された、不穏な雰囲気の「錠剤F」はまだ読めていない。こっちも気になっている。


あなたのゼイ肉、落とします / 垣谷美雨

風邪を引いていてエナジーがゼロだったので楽しくて元気になれる本が読みたくて積んでいたこれを。
「あなたのゼイ肉、落とします」というダイエット本を出版している大庭小萬里が導く、体と心のダイエット。小萬里がセレブで美人で痩せている……わけではないことに、ギョッとしてがっかりする登場人物たちが、小萬里の指導を受けて人生を軌道修正していく。
これ系のお話によくある「劇的に人生が好転する」わけじゃないのがいい。ダイエットも人生も長い目で見るのが必要ってことよね。


言い寄る / 田辺聖子

今月のいちばん。もうちょっと若い頃に読んでたら心酔したかもしれないな。久しぶりに熱くなって感想文も書いた。


スワン / 呉勝浩

無差別殺傷事件の生き残りである女子高生のいずみは、同級生の小梢から、犯人に次の殺人を支持したと告発され、被害者から一変、世間から大バッシングを受ける側になってしまう。事実の裏にある、あのとき本当に起こったこととは一体何かに迫っていくミステリ。
面白くて一気読み!
命を脅かす何かが起こったとき、一番に自分を守るのは当然だし、そのときにしなければならなかった咄嗟の判断を後々責められるのは辛すぎる。誰もが聖人君子じゃないし、完璧になんて生きられないよ。生身の人間を無責任に責め立てる現在の世の中への警鐘かなとも思った。


八月の銀の雪 / 伊与原新

理系作家の伊予原新さん。はじめて読んだ。
社会や人との関わりに疲れた人たちが、海や野生動物、地球そのものの神秘に癒されていく短編集。ぜんぶやさしくて前向きな終わり方でとてもよかった。どのお話も登場人物のその後が知りたくなるような余韻がいい。特に好きだったのは表題作の「八月の銀の雪」と「海へ還る日」。人が人に疲れて人に癒される話はよくあるけど、その対象が科学というのもいいな。
↓これは文庫版だけど、単行本の表紙のほうが好き。


母という呪縛 娘という牢獄 / 齋藤彩

壮絶な教育虐待の末、母親を殺害してしまった娘。ふたりの歴史が娘の手記をもとに明らかになるドキュメンタリー。
母親に虐げられてきた娘は自尊心を傷つけられ、どれだけ家出してもあらゆる方法で追ってくる母から逃れられず、最後はもう誰かを信じるという術がなくなってしまっていたのが悲しい。母は母で孤独で、娘に執着するしか生きる術がなかったのかもしれない。 自分の人生に満足しておらず、自分を娘に投影させることで勝ち組になろうとする母と、まるで存在感のない父というアンバランスな力関係も、その家庭の複雑さを象徴していた。


読書会入門 / 山本多津也

読書会やりたいなーとずーっと思っているので読んでみた。「人に必要なのは薄い繋がり」というのがなるほどと腹落ち。深い絆がある人にほど言えないことってあるよね。


御社のチャラ男 / 絲山秋子

これはめちゃくちゃ大好きな系統の本。とても面白かった。
大して能力があるわけでもなく、言ってることもペラペラなチャラ男を多面的に描き、どんどんチャラ男の生態が明らかになっていく。チャラ男はどこの会社にも現れる量産型で、乙女。男男社会では爪弾きにされ、女にも嫌われ、友達もいない。悲しきチャラ男……。周りの人はそんな風にチャラ男を蔑むけれど、飄々と要領よく世を渡っていくチャラ男に嫉妬もしているのだった。
チャラ男を軸に仕事とは、働くとは、を問う新しいお仕事小説。


7月に続く。

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