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もし日本にギャップイヤーがあったなら

今夏大学を卒業したイングランドに住む姪が、ギャップイヤーを満喫中のようで、先日はストックホルムから写真が送られてきました。
ちなみに姪は秋には日本にも来る予定です。

ギャップイヤー。
日本では耳馴染みのないことばですよね。
大学入学の権利を得た学生や、大学を卒業した学生が旅に出たり、就労体験ができたりする期間のことです。
高校生にとっては大学入学を1年待ってもらえるし、新卒という概念がないため大学生にとっては何者でもない期間を堂々と楽しめる、夢の制度。

夫は高校卒業後1年間のギャップイヤーを取っていました。
その間、友人とヨーロッパをヒッチハイクで旅したり、フランスのアルプスにあるスキーリゾートのロッジで働きながら、大好きなスノボを満喫したりしたそう。
大学卒業後もアルバイトで貯めたお金を握りしめカナダへ渡り、6ヶ月くらい滞在し、またもやスノボを満喫。
夫にとってこの2年間の経験は、とても大きなものだったようで、いまだにその当時のことを楽しそうに話してくれます。
また、夫の親友は高校卒業後、なんと2年間も世界中を旅して周り、その後大学に入学したのだとか。

日本ではいわゆる履歴書に空白の期間があると、それが不利になることがありますよね。
だからこんなふうに何者でもない時間を過ごすことができないし、就職活動に乗り遅れたり失敗したら新卒で採用してもらえる会社もなくなる。
新卒で入社したいがために留年する人がいるのが日本社会。

でもイギリスではギャップイヤーが社会に浸透していて、若者がギャップイヤーで経験したことが社会経験としてちゃんと認知されているのです。

もちろん資金がないと難しいことだけど、多少の蓄えを手にどこか行けるところへ行くのだって十分アドベンチャー。
そういう旅ができるのも若いうちだからかもしれないし、無茶ができるのも若さゆえ。
その若さゆえの何のしがらみもないひとときを有意義に過ごすことが、ちゃんと認められているって、正直めちゃくちゃ羨ましいです。


もし入学が決まった大学が1年間猶予をくれていたら。わたしが就活していた、いわゆる就職氷河期真っ只中のあのときに、もしこういう制度があれば。
果たしてわたしはどうしていたでしょう。
昔のことすぎて考えるのも馬鹿らしいけれど、人生の中で、一度くらい何者でもない時間を堂々と過ごせる期間があってもいいよね、とは思います。
学生でも社会人でもない時間、今わたしは社会経験を積んでいる、と胸を張って言える期間、そしてそれを社会が認める環境。

ずっと不思議だったのだけど、新卒ってそんな価値があるものなの?
大学を出てすぐ就職して働き始めるから、現実とのギャップに対応できなくて離職率が高くなるってのもあるんじゃないのかな。

世界は広い。知らないことのほうが多いことを知る。
目に見えない経験がちゃんと財産であるということを、もっと認められる世の中になればいいのに。

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