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ちょっと遠出してクスクスを

シチリア島の州都、パレルモからの発信。 ボンジョルノ。

日本は梅雨真っ只中の雨続きのようですね。 ジメジメして、洗濯物にも自分の体にもカビが生えそうな日本の梅雨、4年前に久し振りに経験しましたが独特の季節。 体調を崩す方も多いかと思います。 一方シチリアは暑くなってきて、昨日は30度を超えました。 湿度が60%に達しないので、日陰にいれば過ごしやすいです。

昨日はロックダウン解禁後の初めてのちょっと遠出。 自宅から約100Km離れたトラパニという街までランチへ行ってきました。

随分前に一度noteに書いたことがあるのですが、シチリア島の西部に位置するトラパニ県では、クスクスが有名です。 9世紀から200年以上にわたってアラブ人支配下にあったシチリア、食文化にもアラブの影響がきちんと残っています。 本家本元のチュニジア、モロッコなどでは宗教上の理由で鶏肉、羊肉もしくは野菜のみで作られるクスクスですが、そのアラブ郷土料理とシチリアの魚がドッキングして生まれたのがトラパニの「魚のクスクス」。 しかも単に「根付いた外国の料理」ではなく、トラパニ地方の郷土料理として存在するのです。 前に書いた事の繰り返しになりますが、郷土料理とは日曜日にマンマが家族の為に腕をふるう料理、母から子へ、そして子から孫へと受け継がれていく料理。 それぞれの家庭の味が存在する料理なのです。 毎年9月にはこの街で「国際クスクスフェスティバル」が行われ、大賑わい。 イスラエル、アフリカ諸国、時にはフランスやアメリカからも参加し、その年のクスクス決定戦が行われます。

そもそもクスクスとはパスタに使用されるのと同じセモリナ粉から作られ、言って見れば一番小さいパスタとも言えますね。 パレルモでもクスクスを食べられるレストランはいくつもありますが、ここトラパニの物とは違いがはっきり。 パレルモではほとんどの店が「インスタント物」を使用するのですが、トラパニではセモリナ粉からきちんと作ります。 出来上がりの食感が全く違います。

私の行きつけの店は2軒、その1つに友人夫妻とその娘(12歳)と5人で行ってきました。

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じゃーん、こちらがお目当の一品。 ここのはかなり豪華で、具沢山。 店によっては上の具がほとんどない物もあります。 それも美味しいのですよ。 決め手は勿論魚介の出汁。 クスクス自体に魚の出汁が染み込んでいて、具なしでも満足感たっぷり。 パスタで言えば、トマト自体が美味しければシンプルなトマトソースのスパゲッティが美味しいのと同じでですね。

トラパニ以外の場所では、肉のクスクス、野菜のクスクスも同じクスクスを使用します。 つまり、どの具と合わせても良いようにセモリナ粉自体に味を付けないのです。 だから味を付ける為に出来上がったところに出汁を一杯かけて食べる事になります。 出汁が美味しければそれなりになりますが、味のない白米に後から味を付けるのと、具と一緒に炊き込む「炊き込み御飯」との違いと言えば分かりやすいでしょうかね。 いつもの店、いつもの味。

たまたまロックダウンに入る1週間くらい前に食べに来ているので、それ以来です。

そして大人4人、全員同じ物を食べました。 これ又恐ろしくイタリアのスタイルです。 日本だったらいくらお目当がクスクスでも他にも気になる物はあるわけで、4人で違う物をとってシェアという形になるのでしょう。 でもここイタリアでは違います。 ピッツァを1人1枚オーダーするように、たとえ他の人と重なろうと関係ない、自分の食べたい物は独り占め精神です。

クスクスは結構お腹が張るので、前菜なしでいきなりこれを食べました。 全員勿論完食です。 その後にもう少しだけ何かを・・・という事になり、

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フリットミストを分け分け。 1人1皿は無理なので、仲良く分けました。 この店はフリットも捨て難いのです。 先日自分でも作りましたが、人様に揚げて頂いて、熱々を食べる方が断然良いですね。

魚を食べない友人の娘、メニューが魚オンリーだったのでどうしようかと思いましたが、魚中心のレストランでも簡単な肉料理は作ってくれます。 

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これさえあれば皆んなニコニコ、子供達が大好きなカツレツとフレンチフライ。 彼女はチキンで作ってもらいましたが、今までの人生で一番美味しいカツレツだと! 確かに通常もっと叩いて薄く伸ばして作るのに対し、この店のは厚みがあります。 彼女、ご機嫌。

年に数回わざわざこれだけを食べに行く価値のある料理、大満足のランチでした。

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