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暇すぎて月に20冊以上本を読んだ末の話

仕事は週に3日。残り4日は休日の主婦です。子供もおらず健康体で、長野に友人がいないため毎日暇にしております。朝起きてスーパーに行くか図書館に行くか考えて、気の向くままに暮らしています。生活はギリギリなので贅沢はできません。
そのため時間がありすぎて1ヶ月で20冊は読んでいる計算になりました。都会では考えられない時間のゆとり。。いやいや、長野でもかなり時間を持て余している方だと思います。
お金はあまり使えないので、スーパーで食材を買うのが楽しみ。そんな老後のような暮らしをしている私にとって読書は大切な趣味なのです。

図書館とAmazonのKindle unlimitedを使って読書をしています。Kindleに慣れてきたけど紙の本を読むのが好き。最新刊はあまり読まなくなってきましたが、気になる本は月に数冊買うこともあります。一時期ミニマリストを目指し本を2冊まで減らしましたが、それでも欲しいなと思う本は買うことにしました。長野に来て暮らしの見直しも同時にしています。

そんななか最近買った本が夏目漱石の「草枕」。
今まで文学なんて全然興味がなかったのに、突然、夏目漱石の魅力に惹かれました。本が好きな人にとっては何を今更、と思うかもしれませんが、国語が苦手な人間にとったらそれは重大なターニングポイントなのです。
きっかけは熊本県の公募でした。夏目漱石の本の続きを書いてみよう!という募集がされていて、読んだこともないなとなんとなく手に取ったのが草枕でした。
「智に働けば角が立つ。情に棹せば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。」という有名なフレーズを読んだときに、これは買うぞと決めました。36年間の私の嘆きをすでに100年前に本にしていたなんて…素敵!漱石先生!
「世に住むこと二十年にして、住むに甲斐ある世と知った。二十五年にして明暗は表裏の如く、日のあたる所には屹度影が差すと悟った。」
…そうそう、そうなのだ!

そして言葉遊びが機知に富んでいてとてもおしゃれなのです。
「枝繁き山桜の葉も花も、深い空から落ちたままなる雨の塊まりを、しっぽりと宿していたが、この時わたる風に足をすくわれて、居たたまれずに、仮の居を、さらさらと転げ落ちる。」
読めば読むほどに草枕の虜になっています。

とても当たり前ですが、人間がずっと昔からいいよと受け継がれているものは、あらゆるジャンルにおいていいものです。音楽しかり詩しかり文学や建築しかり。そんな当たり前のことに気付きました。
そしてみんながいいというものに多く触れて生きていこうとも思い、人間の叡智の素晴らしさを改めて知りました。芸術って暮らしに欠かせないものだったのですね。

最近、神戸の友人とこんな話をしました。通勤バッグに使っているブランドバッグについて。山に囲まれた長野では物を運搬できればどんなカバンでもいいけれど、都会では通勤のカバンは自分を鼓舞したり社会と戦うツールでもあるのです。それはとてもよく分かります。そして同時に自分が鎧を脱いで長野で暮らしているかも知りました。
「腹の足しにもならぬ、月給の補いにもならぬこの景色が景色としてのみ、余が心を楽しませつつあるから苦労も心配も伴わぬのだろう。自然の力はここに於いて尊い。」
…今の暮らしができている長野に感謝!

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