『阪急電車』【わたしの本棚①】

本を読むのが好きだと言っていると、おすすめの本を紹介する機会が増えてくる。家族でも友達でも「何かおすすめある?」と、お店にふらりと立ち寄るように聞いてくれるのはとても嬉しいもので、いつも今までに読んだ本の記憶を総動員しておすすめを考える。

「どんなジャンルがいい?」「どんなことが好き?」。そのひとにぴったりの一冊を選びたくて、根掘り葉掘り尋ねてしまう。家にいれば自分の部屋の本棚の前に立って、あれがいいかな、これがいいかな、と実際に本を手に取りながら考えるのだけれど、最初に手に取る一冊はいつも決まっている。 

有川浩の『阪急電車』。

この本を、きっと私はこれから何度も読み返す。

最初に読んだときにそう思ったことを、手に取るたびに懐かしく思い出す。当時私はまだ高校生で、本は買うものではなくて図書館で借りて読むものだった。それでもこの本はどうしても手元に置いておきたくて、地元の小さな本屋さんで買ったのだ。「ブックカバー付けてください」のひとことを伝えるのに緊張した。お小遣いで買った、初めての本だった。

それ以来、最初の直感の通り、本当に何度も、何度も何度も読んでいる。背表紙の角がちょっぴり丸くなって、巻き込み部分が擦り切れて帯が外れてしまうほどに。

いま、部屋の本棚に二冊の『阪急電車』がある。一冊は文庫本で、もう一冊は単行本。普段は二冊買うことなんてないのだけれど、この本は特別なのだ。

私の本棚の、「はじまりの本」なのだから。

「わたしの本棚」はじめます!

note公式お題の「#読書の秋2020」にさそわれて、いつか書こうと思っていたお気に入りの本を紹介するシリーズをはじめようと思います。
私も好きです、という本があればお声がけいただけると、折星が喜びます。
不定期の投稿になりますが、よろしければお付き合いください!

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