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自民・長島昭久議員のとんでも憲法解釈ツイート

【最新記事】デマッター・長島昭久(自民)を当選させてはいけないわけ(2021/10/29)もご覧ください。

日本国憲法憲法第一章には、「男系男子」継承に係る「天皇」が明記されており、これは憲法14条の明示的な例外規定とされているのです。これが憲法解釈の基礎の基礎です。(長島昭久Twitter:2021-09-08-17:38)

長島昭久議員(自民)のツイートである。
端的にいって、このツイートはデマ、少なくとも悪質なミスリードである。

憲法2条の「解釈の基礎の基礎」は…

天皇の継承について定めた憲法の条文は、下に示す第2条である。

第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

皇位は、世襲のものであればよく、それ以上については、皇室典範に委ねる、というだけである。男系男子の「男」の字もないのが、憲法である。
皇室典範は、戦前、大日本帝国憲法と並んで、最高法規性を有していた。しかし、戦後、日本国憲法のみを最高法規とし、皇室典範は名前こそ残しつつ、いったんは廃止された形となり、内容もさまざま変更され、憲法の下位規範=民法や刑法などと同じ「ただの法律」となった。

憲法2条の読み方としては、「皇位(天皇)は世襲でないといけないけど、あとは国会で変えられる皇室典範に任せた!」というだけである。
現行の皇室典範では、

第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。

として、男系男子を定めている。つまり、現在天皇が、男系男子継承になっているのは、憲法ではなく、「ただの法律」である皇室典範が男系男子を定めているから、というだけである。であるから、例えば、「男系の男子」を、「長子」にしたり、極端な話、「女系の女子」にすることも、憲法上の制約は受けず、何ら問題ない。これが、憲法2条の解釈の「基礎の基礎」である。

皇室典範は憲法と同等???

さて、このようなことをTwitterで指摘した後、長島議員からのリプライが以下である。

皇室典範は、憲法の付属法です。その中でも、憲法同等の法規範です。(長島昭久Twitter:2021-09-08-20:13)

繰り返しになるが、皇室典範は、「憲法同等の法規範」というのは、完全なるデマ、ウソである。(戦前なら正しいが…)

第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

憲法98条である。憲法は、「国の最高法規」と定めている。そして、日本の憲法は硬性憲法ということもあり、その改正手続きには、他の法律と異なった手続きが必要である(特に重要なのが国民投票)。それに対して、皇室典範は、国会の議決のみで改正することが可能であり、その手続きは他の法律と変わるところはない。
ちなみに、戦前は、旧皇室典範が(大日本帝国)憲法と対等な立場とされ、その改正も議会によらない特殊なものであった。ただ、この旧皇室典範は戦後廃止され、現行皇室典範は、名前こそ残しつつ、その性質は大きく変わることとなったのである。

皇室典範は、「憲法と同等の法規範」ではなく、(一般の)「法律と同等の法規範」(というか一般法そのもの)である。

憲法に名前が出てると憲法と同等????

ちなみに、少なくとも著名な学説に「皇室典範は憲法と同等の法規範である」とするものもなく、基本的に完全な誤りである、といえるのであるが、そこで屈しない?のが長島議員である。私に対するリプライである。

日本国憲法第2条に明記されているように、皇位は、(「皇統に属する男系の男子」たる皇族が継承すると規定する)「皇室典範の定めるところにより、これを継承する」のでありまーす。(長島昭久Twitter:2021-09-08-21:03)

はっきりいうと、意味不明である。
一つ目のツイートの文末の「ありまーす」ももちろん意味不明というか、馬鹿にしていて腹立たしいが、それ以上に「だからなに?」である。

枝葉末節ではなく本質論でいきましょう。

憲法に皇室典範と明記されている意味の重要性をお考えください。他に、個別の法律名が書かれた憲法条文はありません。(長島昭久Twitter:2021-09-08-21:09)

こちらはずっと本質論をしているのに、「ありまーす」とかなぞに馬鹿にしてくる長島議員には、心底呆れる。

憲法に皇室典範という名があるかどうかは、全く本質ではない。名称があろうがなかろうが、皇室典範は「ただの法律」であり、それ以上でもそれ以下でもない。単に皇室典範という名を(当時の保守層が)残した以上、○○法という名でないから「法律の定めるところにより」というのは微妙だった、とせいぜいその程度であろう。
たしかに、人によっては、「皇室典範」は他の法律とは違って特別だ、という「思い」はあるかもしれないが、それは所詮ただの「思い」であり、実体的にも形式的にも皇室典範は、「ただの法律」である。
憲法に名称があるから特別だ、という解釈論、学説はあるのだろうか。あるのなら、ぜひ知りたい。

司法試験の問題:皇室典範を改正して女帝を認めることは可能である

皇室典範を改正して女帝を認めることは可能である(旧司40-2・旧司47-1)。
これは、旧司法試験に出題された問題である。正解は、○である。長島昭久議員いうように、男系男子継承が憲法の解釈の基本ならば、当然これは×になるはずである。長島議員がこの問題を答えたら、不正解だろう。
長島議員が何をいおうと、間違いである。

これ以上でもこれ以下でもない。

はじめてではない長島議員のデマ

長島昭久議員は、これまでも、学術会議について完全なデマをいいふらし、拡散し、ろくに訂正もしていない。このときに記したのが、以下である。

【過去の長島議員によるデマツイートの記事】
ウソであってもデマではないのか~学術会議をめぐるデマを認めぬ長島昭久議員の問題
・長島昭久議員ツイートの問題~日本学術会議任命拒否から
長島昭久議員の繰り返されるデマツイート~日本学術会議をめぐって

もはや、今回も訂正、謝罪はする気がないのだろう。しかし、間違いを認めず、むちゃくちゃな論理で突き進むほど、傷は深くなる。特に、憲法は、議員を縛るものでもある。それを理解しないどころか、頓珍漢な主張をしていることは、危険である。
これが衆議院議員である。

どうか、もう政治家からは身を引いてほしい。


最後に、一連のツイートのスクリーンショットをのせておく。

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