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ウソであってもデマではないのか~学術会議をめぐるデマを認めぬ長島昭久議員の問題

訂正を要すようなデマは一つもありませんでしたが、表現が舌足らずでミスリーディングを認めおわびしました。(長島昭久議員Twitter 2020/10/16 14:54)

長島昭久議員(自民)の「学術会議からかなりの比率で学士院へ上がっている」とするツイート。そのツイートがデマであるにも関わらず、それを何度か指摘し、ようやく来たリプライがこれだ。

ミスリード・デマとは

まず、長島議員は自身のツイートがミスリード(ミスリーディング)であったとしている。が、ミスリードとは、「①誤った方向に人を導くこと。②新聞・雑誌などで、見出しと記事の内容が著しく異なっていること。」(大辞林 第三版)とされる。
つまり、ミスリードは、内容が虚偽とはいえないが、その記述等によって誤解を導くものである。ミスリードは、内容が虚偽とは必ずしも限らない。

他方、デマとは「〔デマゴギーの略〕①政治的効果をねらって、意図的に流される虚偽の情報。悪宣伝。②根拠・確証のないうわさ話。流言蜚語りゆうげんひご。」(同)とされる。
つまり、デマは、内容が虚偽であり、かつそれでご認識を生ませるものである。

ミスリードとデマの大きな違いは、内容が虚偽であるかいなか、という点にある。

長島議員のツイートはミスリードなのか、デマなのか

さて、本題はここからだ。
長島議員は日本学術会議をめぐり、問題のツイートを複数回にわたりしている。

問題ツイートその①と謝罪

問題のツイートのはじまりがこれだ。

日本学術会議問題は、政府から明快な説明責任が果たされるべきであることは勿論、首相直轄の内閣府組織として年間10億円の税金が投じられる日本学術会議の実態や、そのOBが所属する日本学士院へ年間6億円も支出されその2/3を財源に終身年金が給付されていること等も国民が知る良い機会にして貰いたい。(長島昭久議員Twitter 2020/10/03 10:00

このツイートで、学術会議の任命拒否問題からの論点のすり替えを行っているが、その点はおいておいても、(学術会議の)「OBが所属する日本学士院」からはじまるくだりはミスリードだ。
この文面だけで言えば、日本学士院は日本学術会議のOB組織とでも読めてしまうため、デマとしてもよいが、学士院会員のなかには学術会議のOBも含まれるため、日本語としてどっちとも読め、ミスリードととりあえずしておく。

そして、このツイートは細野豪志議員が「日本学術会議OBの年金のことは知らなかった」と引用リツイート(後に削除)したこともあり、大きな批判を受けた。それをふまえ、以下のような一応の謝罪はしている。

…私のツイートでも、学術会議と学士院を混同させ、学士院会員の終身年金にまで言及し、批判の矛先を逸らす結果を招いたことを反省し改めてお詫びします。今後、学術会議をめぐる議論が我が国の科学振興に資する建設的なものとなるよう努めて参ります。(長島昭久議員Twitter 2020/10/06 13:08)

問題ツイートその②と開き直り

しかし、反省したかのように思えたものの、長島議員は別稿で述べたように、さらに悪質なツイートをしている。それがこれだ。

…学士院会員は終身ですので、亡くなられた後任の方は毎年12月に補充されます。ちなみに国会調査室の調べによると、その後任は過去3年間で、平成29年は2/5人が、30年は6/9人が、令和元年は6/7人が学術会議会員及び連携会員から補充されました。学術会議からかなりの比率で学士院へ上がってます。(長島昭久議員Twitter 2020/10/11 12:47)

このツイートは、学術会議会員と学術会議連携会員をいっしょくたにしていたり、この数字は学術会議から学士院にいっている割合ではないなど、そもそもかなり悪質である(「長島昭久議員の繰り返されるデマツイート~日本学術会議をめぐって」参照)。が、とりあえず数字を出すところまでは、かなり悪質性が高いものの、虚偽の情報というより、本来関係ないものを示し誤解を招く、「ミスリード」といえなくはない。
しかし、結論として述べている「学術会議からかなりの比率で学士院へ上がっています」というのは、紛れもないウソ・デマである
別稿で述べているように、学術会議会員および学術会議連携会員から学士院へ行ける割合は、1~2%程度である。また「上がっています」という言葉は、学術会議と学士院が連続していることを前提とするものだが、それ自体間違っている。

もちろん、長島議員が「1~2%程度でもかなりの比率でかつ、上がるというのは連続を意味しない」といってしまえばそれまでだが、日本語の「かなり」や「上がる」の用法としてそれは無理筋だろう。

そして、そのことを指摘した私のツイートに対するリプライが冒頭のものだ。

訂正を要すようなデマは一つもありませんでしたが、表現が舌足らずでミスリーディングを認めおわびしました。(長島昭久議員Twitter 2020/10/16 14:54)

長島議員はデマを認め、謝罪するべき

まず、長島議員は問題ツイートその②については、一切謝罪をしていない。そして、なによりその内容が問題があるにもかかわらず、訂正をしようとする気すらない。

このようなデマをツイートすること自体問題ではあるが、何よりそれを放置し、開き直ることが問題だ。誤りを認め、訂正し、謝罪する。これなできない政治家は、政治家としての資質を欠くのではなかろうか。

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