見出し画像

長島昭久議員の繰り返されるデマツイート~日本学術会議をめぐって

ここから述べることは、もっぱら長島議員(自民党)の日本学術会議をめぐるデマについてである。別稿でも長島議員の学術会議をめぐる別のツイートを扱ったが、長島議員のツイートは質が悪い。そして、そもそも任命拒否問題を日本学術会議問題にすり替えている点にも問題があるが、あえてそこは無視して、デマについてのみ述べる。

学士院会員は終身ですので、亡くなられた後任の方は毎年12月に補充されます。ちなみに国会調査室の調べによると、その後任は過去3年間で、平成29年は2/5人が、30年は6/9人が、令和元年は6/7人が学術会議会員及び連携会員から補充されました。学術会議からかなりの比率で学士院へ上がってます。(2020/10/11 12:27 長島昭久議員のTwitterより)

このツイートを見れば、最後に書かれているように、「学術会議からかなりの比率で学士院へ上がっている」と思える。
しかし、このツイートは数字を極めて不適切に用いた悪質なミスリード、というよりもはやデマである。(そもそも学術会議と学士院は全く別組織であることは平井文夫氏に関する記事でのべた通り)

学術会議からかなりの比率で学士院へは上がっていない

結論からのべると、学術会議からかなりの比率で学士院へは上がっていないのだ。後で述べるように、学術会議会員・連携会員から学士院に上がっているのは、過去三年間では約1%程度にすぎない。

長島議員が用いた2/5、6/9、6/7という数字は、学士院新規会員のうち、学術会議・連携会員出身者がどれだけいるか、という話であり、学術会議出身者のうち、どれだけ学士院会員になっているか、という話ではないのだ。

わかりやすくいえば、ノーベル賞受賞者のうち、大学院修了者はかなりの比率を占めるが、大学院修了者だからといってノーベル賞受賞者になる比率は高くない、というのと同様だ。
長島議員のツイートでは、大学院修了者のかなりの比率がノーベル賞受賞者になっている、といっているようなものだ

また、この長島議員のツイート、「連携会員」とさらっと書いているが、学術会議会員が210人に対して、連携会員は2000人もおり、学術会議の話から大きく飛躍し、もはや都合のいい数字を使っているとしか思えない。

学術会議と学士院が連続しているというなら「学術会議OB/OGのうちどれだけの割合が学士院にいっているか」を示すべき

仮に日本学術会議が日本学士院と連続している、といいたいのならば、「学術会議OB/OGのうちどれだけの割合が学士院にいっているか」を示すべきである。これで、学術会議OB/OGの例えば8割以上が学士院にいっているのなら、連続しているといえよう。

日本学術会議から日本学士院に行けるのは1%程度

しかし、具体的な数字はわからないが、学術会議会員になれば、そのほとんどが学士院会員になることはあり得ない。

というのも、長島議員曰く、過去三年の学士院の新会員は合計21人。対して、学術会議は3年毎に105名のOB/OGが生まれる。連携会員で言えば、3年間で実に約1000名のOB/OGが生まれる。

そして、過去三年間の統計を見れば、学術会議と連携会員のOB/OGの中で学士院に入れたのは、およそ1100人中14人である。つまり、学術会議から学士院に上がれる割合は1%ちょっとである。
(※学術会議出身者のなかで学士院会員になった方でも、学術会議任期終了直後に学士院会員になるわけではないが、どちらも会員数に変化はないため、基本的に時間のギャップは割合に影響を及ぼさない)

もちろん時代によって多少割合は変わるだろうが、1%をかなりの比率という屁理屈をこねなければ、「学術会議からかなりの比率で学士院へ上がってますというのはデマ、フェイクである。

優秀な学者が一定程度被るのは当然

この学術会議と学士院、そもそも全く異なる組織であることは別稿に述べた通りだ。そして(すなわち)、学術会議に入ったからといって学士院に行けるとは言えないというのも、述べた通りだ。

そして、学士院会員のうち、学術会議出身者が一定の割合を占めるのは当たり前なのである。
というのも、学術会議も学士院も数いる優秀な学者でも、その中から選ばれた学者である。つまるところ、超優秀な学者である。そして、学士院は学術会議とは会員数が異なるので、そこまでではないが、優秀とされ、特別の職につける学者がある程度被るのは当然である。

ノーベル賞受賞者が多くの賞をすでに受賞しているのと同じように、学士院会員が学術会議を経験していることは何らおかしくないのである。

長島議員はこうしたツイートをやめるべき

何度も述べているように、長島議員のツイートはミスリードというより、もはやデマである。国会議員であり、影響力も強い。
こうしたデマやミスリードは、ゆくゆくは長島議員自身への信用性だけでなく、政治家への信用性の問題になる。

ただちに、誤りを認め、その旨ツイートなり何らかの発表をすべきだ。

それが最後に残されている長島議員の信用を維持するためのものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?