創業220年。浅草「駒形どぜう」を、今こそ食べに行こう
1801年、徳川11代将軍・家斉公の時代に創業した「駒形どぜう」にどぜう鍋を食べに行きました。江戸を代表する庶民の味は、長い年月を経た店の雰囲気と相まって、なんだかしみじみ感動させてくれました。
いざ220年の老舗へ。おすすめは1階の入れ込み座敷
駒形どぜうに初めて行ったのは数年前の義父の誕生日。茅ヶ崎に住む義父に「じぃじ、誕生日に何が食べたい?」と聞いたら、「そうだねぇ、駒形のどじょうはもう1回食べたいなぁ」と。
まだ新型コロナの影響なんてなく、平日もわりと混んでると聞いたので、電話で予約してから伺いました。じぃじと行く旨を伝えると、「お父さまと!ありがとうございます。お二階に椅子席の大広間がございますが、そちらになさいますか?」と親切でとても感じのよい「さすが老舗」の対応。でもここは、じぃじが「あのねぇ、1階のねぇ、入れ込み座敷がいいんだよ。風情があってねぇ」としみじみ話していたので、1Fをお願いしました。
「ねぎがね、うまいんだよ、どばーっとね」
どぜう鍋は、どじょうを丸ごと煮込んだ下町グルメとして江戸時代に人気を博しました。当時から人気のある有名店だった「駒形どぜう」では、今も当時と変わらない調理法を守っています。
生きたどぜうにお酒をかけて酔っ払ったところで甘味噌仕立てのみそ汁に入れて煮込む。で、煮込んで火の通ったどぜうが鉄鍋に並んだ状態で出てきます。
「ねぎがね、うまいんだよ。どばーっとね、いっぱい入れんだよ」とうれしそうなじぃじがねぎをたっっぷり投入してくれたので、肝心のどぜうがあまり見えていませんね(笑)。
こちら↓、お店のHPのスクショです。ふっくらおいしそうなどぜう、これならわかりますかね?^^
ぐつぐつ煮えてるどぜう鍋。割り下とともに火鉢でさらに煮込みながら、小皿でちびりちびりといただきます。じぃじがやってくれたように、ねぎをたっぷりのせるのが昔からの味わい方だそうで、木箱に入った刻みねぎを好きなだけかけていただきましょう。
鯉のあらいも注文しました。
じぃじが「ここのはうまいよ」というので、初めて食べました。鯉は泥くさいイメージがあったので敬遠していたのですが、やっぱりちゃんと処理するとおいしいんですね〜。熱燗とともに。
あらかじめ開いて割り下で煮たどじょうにささがきごぼうを加え、ふんわりと卵でとじる「柳川鍋」も人気です。ちなみに柳川は天保年間の初め頃に誕生したそうで、現在の日本橋にあった「柳川屋」は売り出して人気になったそうです。
これはもう日本の宝です。食べに行くしかないでしょ
さて。
「老舗」という言葉に明確な定義はありませんが、一つの基準は「100年以上、三代にわたって同業で継続している」企業や組織のことです。
世界の長寿企業ランキングの中でも日本は「長生き」で、100年以上続く老舗は世界の総数のうち40%以上を占めるといいます。200年以上となるとその割合はさらに高まり、なんと世界の「200歳超え企業」の65%を日本が占めているのだそう。
「駒形どぜう」もその中のひとつ。現在、なんと七代目!世界的に見てもどれだけ希少で貴重な存在であるかは疑う余地もないですね。
200年以上もの長きにわたって、何の困難もなく順調にここまで来たわけではないでょう。よく知られた「歴史的事件」でいえば、関東大震災や第二次世界大戦で店が全焼したといいますし、ほかにも数え切れないほどの困難に直面しては乗り切ってきたはずです。
「どぜう」という表記にも、そうした厄難を乗り越えた経験が活かされているのだそう。以下、お店のHPより。
ここ数年は、コロナ禍で創業100年以上の歴史ある企業が多数閉業しています。駒形どぜうのFBにも「今年で221年目の当店も、長い歴史の中でも経験したことのない状況が続いています。」というコメントを見かけました。
200年以上も続く老舗。これはもう、日本国民全体で守り、300年先も400年先も「江戸の味」を伝えていくべきではないでしょうか!
とりあえず、1回食べに行っときましょう。なにしろおいしいですから♥︎
おじいちゃま、おばあちゃまのお客さんがやはり多かったけど、ひとり客の若い人もたくさん見かけました。そもそも「庶民の味」ですからね、老舗とはいえ、敷居が高いわけではありません。
ひとりでも子連れでも、じぃじやばぁばと一緒でも。
どぜう食べに、行ってみてください。
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