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【妄想劇場】電車の由来〜電車は何を運ぶのか〜
※はじめに※
本シリーズは、何でも検索できるこの時代に、「あえて妄想爆発してみた」記事であり、多少の事実はありつつも、基本的にはフィクションです。
ガタンゴトン。ガタンゴトン。
電車が線路を通過して行く。
電車は、電気の車と書きますが、その由来は実は車ではなく、江戸時代に遡ります。その昔は「伝者(でんじゃ)」と言いまして、職業…というと少し語弊があるのですが、飛脚にはできない役割を果たす人達のことを差しました。
江戸時代にあった職業「飛脚」は、現代の郵便屋さんで、手紙を人の脚で届けました。東京〜大阪まで3日で届いたと言いますから、その名の通り、飛ぶような早さですね。
対して「伝者」は、飛脚では扱えないモノを届けました。それは手紙に出来ぬ「想い」です。
江戸時代は、まだ誰もが読み書き出来る時代ではありませんでした。飛脚に頼もうにも手紙を書けない人がたくさんいて、そんな人々が遠方の家族や恋人に想いを伝えられるよう、伝言を預かる者が「伝者」なのです。
ちなみに、この時代は原則として、人々は自由に旅をすることは出来ません(移動の禁止)。会いに行くという手段も合法には難しかった時代です。
ところで先ほど、伝者は職業ではないと書きました。では何者なのかというと、演者なのです。今でいう地方巡業をする演芸一座。人々の移動は禁じられていたので、これも違法ではあるのですが、娯楽に乏しかった庶民の楽しみとして黙認されていたようです。
伝者は演技に長けていますから、言葉だけではなく「想い」を預かることができます。伝言を依頼する者はまず名前と相手を伝え、それから、感情を込めて伝者に話しかけます。身振り、手振り、声色、抑揚…伝者は「その人」の特徴ごと覚えて、相手に伝えたと言います。
伝者の演技は素晴らしく、伝言を受け取る際には涙を流す人も多かったそうです。好きな人に想いを伝える際、伝者に頼むと成就するという評判まで広まりまして、いつしか伝者が行き来する道は「縁路」と呼ばれ、心待ちに縁路を眺める者もいたとか。
時代は流れ、明治には鉄道が誕生します。直接会うことが叶わなかった人々を、ついに運べる日がやって来ました。
最初に電車を走らせたのは民営企業だったのですが、その創始者は劇団も経営していたと言われ、その社訓の最後は「我々ハ、心ヲ運ブ者デアル」と締められていたそうです。
「電車」が「伝者」である…というのは、実際には証拠もなく、諸説のひとつに過ぎません。
ですが、当時叶わなかった人々の「想い」を載せて走っていることは、間違いのない事実なのです。
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