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文章作りに役立つ『思考の整理学』

以前どこかで「文字書きは読むべき!」とおすすめされていた本の一つをやっとこさ読みました。

思考の整理学
(外山滋比古著/2017.1/筑摩書房)

朝飯前の時間が大切、忘却の効用、収斂的思考と拡散的読書…。アイディアを軽やかに離陸させ、思考をのびのびと飛行させる方法を、広い視野とシャープな論理で知られる著者が明快に提示する。読みやすいワイド版。(honto商品説明より引用)

正直読み始める前は「これ本当に文字書きの本?」とタイトル見て首傾げていたんですが、読み始めてすぐに納得。

その昔、中国に欧陽修という人が、文章を作るときに、すぐれた考えがよく浮かぶ三つの場所として、馬上、枕上(ちんじょう)、厠上(しじょう)を上げた。これが三上である。(p.37)
“見つめるナベは煮えない”ということわざがある。早く煮えないか、早く煮えないか、とたえずナベのフタをとっていては、いつまで経っても煮えない。あまり注意しすぎては、かえって結果がよろしくない。しばらくは放っておく時間が必要だということを教えたものである。(p.38)
ABCDEの順ではまるでおもしろくないことが、EDCBAとしたら、一変しておもしろくなるということがある。ECDABとすれば、また別の見え方をするであろう。もっともよき順序に並んだときにもっとも大きな意味を生み出す。(p.52)
一読即座にノートをとらない。たとえば、見開き二ページをまず読む。そして、ふりかえって、大切なところを抜き書きする。あるいは、一章なら一章、一節なら一節の、内容の区切りのいいところまで読んで、また後戻りして、ノートをとるようにすれば、本を全部引き写してしまうという愚は回避できる。(p.89)
無我夢中、散歩中、入浴中がいい考えの浮ぶいい状態であると考えられる。いずれも、「最中」である。そう言えば、三上にしても、最中でないことはない。(p.177)

などなど、アイデアの出し方やネタを寝かせることの大切さ、編集の力について、引用の賢いやり方など、文章書きに必要な基礎から応用までとても明瞭に説明してくれています。他にも「セレンディピティ」「額縁物語」「リフレッシメンツ」など、創作のヒントや勉強になる単語も盛りだくさんで大変勉強になりました。

というかこの本、想像以上に読みやすいです。

読みやすすぎてびっくりしました。まず、専門書にありがちな漢字のパレードは一切ないのがすごい。むしろつい漢字を使いそうなところもひらがなで書いてあって、字面が大変とっつきやすく読みやすいです。それに加えて、私の読んだワイド版だとだいたい一項目が六ページくらいに収まっていて、学びたいことが頭の中に残りやすいです。更に、これは引用していて気づいたんですが、「ここは大切そう」と思って文章を抜き出すと、基本140文字以内に収まります。ツイッターなら一ツイートです。

「大切なことをわかりやすく書いて読みやすい長さでまとめました!!」というのが随所で何気なく行われていて、技術の高さに舌を巻きました。内容が内容なので難しいことも話しているんですが、それにしたって読みやすい。思考の整理をした方が書く文章ってこんなにも読みやすいんだなと理解させられます。

「思考の整理学」

絵を描くこと違って、文章作りは頭の中での作業がほとんど。つまり、製造ラインは自分の思考です。その思考をどのように使い、アイデアを育て、創造的行為を行っていくのかを大変わかりやすくまとめてくれている本でした。この手の勉強の本で「めっちゃおもしろーい!」と思いながら読む経験ってなかなかないので新鮮でしたね。おすすめです。

ワイド版は紙のみですが、文庫版は電子書籍も出ているので、電子書籍派の方はそちらをどうぞ!

それでは今日はこの辺で。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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