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読書感想文『月のケーキ』

こんにちは、神崎翼です。

この間ひさびさに、ひっさびさに図書館に行きました!!

やっぱり図書館楽しいですね。私が主に本を探す場所として活用していた返却コーナーが撤去されているのだけは残念でしたが、展示コーナーやピックアップ本のコーナーなど、自分では見つけられない本との出会いができるよう工夫されたスペースはいつも通りありました。

感染対策のせいで仕事が増えているかたわら通常業務をこなし、利用者が楽しめるよう常に創意工夫されている図書館の皆様方にはいつも感謝しています。

『月のケーキ』(ジョーン・エイキン著/三辺律子訳/2020.04)は完全にタイトルで選びました。書架から何気なく選んできたので、思ったより最近出版された本だったことにあとでびっくりました。

祖父の住む村を訪ねた少年の
不思議な体験をえがく表題作他全13編を収録
月のケーキの材料は、桃にブランデイにクリーム。
タツノオトシゴの粉、グリーングラスツリー・カタツムリ・・・・・・
ガーディアン賞、エドガー賞受賞の名手が贈る、
ちょっぴり不気味で幻想的な短編集

現代を主に舞台としながら、妖精郷と隣接している、或いは混ざっているような、不思議で奇妙なバランスの上に成り立つ世界観の中で紡がれる短編集です。本当に何も考えずに選んできたので、子ども向けの本だったことにも気付かず読み始めました。でも、大人が読んでも全く遜色ない不思議で何かが心に残る英国ファンタジーです。小学校の頃、図書館の片隅でハードカバーの児童書を手繰った頃の気持ちを思い出しました。まあ、実際にはマクドでしたけど。

作中に散りばめられた魔法の材料や、実体のないバームキン、ドラゴンのたまご、ティターニアの土地、キャメロットを冠したラジオなど。何かしらのファンタジー小説で一度は触れたことのあるフレーズがたくさんでてきます。それが現代を舞台にしているものだから、イギリスには実際行ったことないんですけど「もしかしたらイギリスって今もこういう世界なのかしら」と、想像の翼を羽ばたかせたくなります。また、歴史的な語調で語られる物語もあり、短編集ながらどれも重厚な世界観を感じます。

個人的には、結構な頻度で『魔女』が出て来て、それが生活の一部だったり、物語のキーパーソンだったりすることにも英国みを感じました。主人公を手助けしたり、悪い権力者を懲らしめたり、はたまた誰かをそそのかしたり。明確に不思議な力を使えたり、ただの悪者のおばあさんだったり、改めて魔女のレパートリーの広さを感じます。

ちなみに、琴線に触れた一文はこれ。

プディングを蒸しているあいだ、家の中に漂う香りが深くて濃厚で豊かなので、空気をスプーンですくって食べられそうな気がした。(p.179)

はらぺこ人間なんです。ごめんなさい。クリスマスプディングって食べたことないんですけど、日本でも買えますかね……。冬になって覚えていたら、通販を探してみよう……。

久々に紙の本を手繰りましたけどやっぱり楽しい。しかも物語。出版年が本当に最近なので、本屋さんに行っても並んでいるんじゃないですかね。一応Amazonのページ貼っておきます。

お読みいただきありがとうございました!

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