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【離職防止】入社3か月が勝負!あの手この手で違和感を察知する離職防止ツール

「せっかく採用したのに、すぐに辞めて。また募集しないといけない・・・ほんと、最近の子はいい加減だ(# ゚Д゚)」

『早期離職』への顧客の「こまったー」のイラだちや諦めをホントよく聞きます。30年前に天王寺界隈の採用支援営業を行っている頃からずっと聞き続けていますし、「新卒の離職3年以内で30%」の通説は実は30年以上変わらないことはデータでも明らかになっています。

でもこの原因は、働く側の意識の問題が100%なんでしょうか?実はその前からふつふつとサインが出続けていて、そこを検知できていないから早期離職が発生し続けているのではないでしょうか?

職場の仲間や上司も、新しいスタッフは気にかけてフォローしているはず。なのにこれだけ起こり続けるということは、その原因を「人間の勘・感覚」ではとらえきれないような気もしており、こう案件こそテクノロジーの力を頼るのが最適解かと思います。

実際、早期離職を防止するアラートツールを入れたことで、水面下で起こっていたトラブル予備軍を発見することができ、1年以内離職率を数10%改善した職場の事例もあります。

ここでは『早期離職』を防止するためのテクノロジーツールをいくつかの切り口で紹介します。実は最もジャンルや解決手法の切り口が多く、採用領域に次いで多くのツールが存在します。(あわせると100ブランド近く存在するかも)ので、代表的なサービスをベースに「特徴」「導入の利点」「導入のケアポイント」「私が気になるサービス」を順に紹介していきます。


離職防止ツールとは

離職防止ツールの特徴

離職防止ツールは、端的に言えば従業員の離職を防止するための対策ツールで、経営インパクトの大きい早期離職の防止を行うツールが多いです。

サービスの特徴は幅広いですが主に以下の5つが標準機能としてセットされています。

・調査の作成から分析
・レポート、可視化(ダッシュボード)
・対策の実施支援(示唆やコンサルティング)
・遊び要素(ゲーミフィケーション)
・インセンティブ

特に4つ目のゲーミフィケーション要素、5つ目のインセンティブは重要です。ほかのテクノロジーツールと違って、職場で働く全員に協力してもらわないといけないので、彼らがめんどくさくなくやってもらうことが大切です。義務感のハードルを下げる手法としてよくつかわれています。

離職防止ツールの導入の利点

冒頭でもお話ししましたが、早期離職のアラートサインを見つけるのはテクノロジーツールが有効です。人間の勘と経験では無理だからという端的な理由ではなく、ここには明確な理由と利点が3つあります。

・ダイレクトに繋がれることで職場のブラックボックスをこじ開けられる
「突然辞めたいといって、、、」という報告を現場責任者から上がってくるケースはよくあります。本当に気が付いていないケースもありますが、現場責任者がバイアスをかけて報告をしている可能性も否定できません。

現場で起こった小さい問題をいちいち報告していれば「頼りないと思われやしないか」と現場責任者は思うはず。そのため、どうしても初期段階での報告は怠りがち、そして忙しいことも重なるとマイナス感情が大きくなってから発覚しがちになり、そして取り返しがつかない状態になります。

離職防止ツールには、新入社員が発するアラートサインを現場だけでなく本部スタッフも確認できる機能が備わっており、職場のブラックボックスをこじ開けることができることが利点です。

・職場の心理的安全性を構築できる
職場の責任者が現場の不満に蓋をできないことは、現場のスタッフがイキイキ働ける環境を作る事にもつながります。

どんなに頑張っている人も、意見したり、改善をお願いしたりを上司につぶされると、やる気をそがれるものです。離職防止ツールで本部とのホットラインができることで、安心して働く環境が構築されることは、離職防止にとどまらず、職場の成長や会社の成長にも大きく寄与します。

・若手の成長を多方面から支援できる
「ほめられて伸びるタイプなんです!」と15年前に自分の部下に言われて驚いたことがありますが、特に今の若者はSNSで「いいね」「スキ」「wow」とほめられていることが日常なので「ほめ」は重要な要素です。

また、忙しくて直接指導が行き届かないときにも、タバコ部屋(昔はあったんですよね)で隣の部署のマネージャーがフォローしてくれたり、アドバイスしてくれたり。飲みにケーションで鼓舞されたり。そういうところで成長が応援される環境が、思い起こせば昔はあったのです。

リモートが進んだり、働き方改革で談笑すら憚られる環境になったせいで職場コミュニケーションも少なくなってきていますが、社内SNS的な機能を使って第三者から「いいね」「ありがとう」という声援や応援、ちょっとしたアドバイスを送りあうこともでき、彼らの成長を支援することができます。

離職防止ツールの種類と導入に当たってのケアポイント

離職防止ツールは、採用領域に次ぐほど多種多様なツールがあります。なのでまず「何を軸において導入したいか」を考えることが必要。これによって選ぶべきツールが変わってきます。

離職防止ツールの三大系統

少し乱暴かもしれませんが、大きくは以下の系統があると考えています。

2024年2月 @WaGaGoToプランニング

・コンディションケア系
主に分析やチェックに軸足を置いているツールです。まず組織全体を見ながら個人を考えるものと、個人のケアから入って組織の状態を考えるものと、大きく2つの分類があると考えています。
いずれにしても、短期間での反復質問(パルスサーベイ)や日々のコンディションチェックから情報を入手するので、全員が参加が必須になります。

・モチベーションアップ系
モチベーションを上げるための手法は大きく3つの分類があると考えます。
「報連相」「コミュニケーション」のやり取りを軸にするもの「ありがとう」「いいね」といった賞賛やピアボーナス(賞賛+少額報酬)を軸にするもの、「施策浸透」「目的浸透」など伝える事を目的にするものの3つ。

LINEのようなスタンプでメッセージしたり、賞賛を送ったり貰ったりするとバッジが獲得できたり、継続でポイントがもらえたり、全員参加が必要なのでちょっとしたゲーム要素を入れることで飽きさせない工夫もされています。

・オンボード系
おもに中途入社の人に向けて、早期の職場合流を支援する系統のツールです。数は少ないですが、教育研修・育成支援といった項目が紐づいており、教育研修テックのジャンルに入っているものもあります。

導入に当たっての5つのケアポイント

・現場の使い勝手を重視する
従業員の協力や賛同をえられないとデータ収集ができないので、とにかくストレスを極小にして使ってもらうことが最優先です。

ガラケーでも使えるか、ログインが面倒くさくないか、直観的に操作ができるか、入力事項が多くないか、途中で飽きたり嫌になったりしないか、などなど。職場のスタッフの二津城と照らし合わせて、こういった点にも注意することがポイント。

小さく始めてそこから賛同の輪を広げる事も大切です。
私が導入支援した時は、テスト環境として一番使ってくれなさそうな部署と人をピックアップしてもらい、その人たちと会話しながらスモールスタートしました。

癖があって斜に構えてやってくれない人は必ずいます。でも彼らがやってくれると、周りもついてきてくれます。「ちゃんとやれよー」と応援者にもなってくれました。やらなきゃモードが全体に波及して参加スピードがあがりました。

・フィードバックを必ず行う
欲しい数字や情報が取れたから、現場への報告をそれっきりにしてしまうと、スタッフはただ作業をしているだけになり、この作業が何につながっているのかわからなくなるため、すぐ廃れます。面倒ですが、時間をとって必ずフィードバックを行ってください。

これをやらない会社や職場が本当に多いので要注意です。ここでつまづくと「仕事のための仕事が増えた」と思って適当に回答し始めたり、二度と協力してくれなくなります。基本的に離職防止テックは「面倒くさいもの」です。経営者や上長の自己満足でやるくらいならやらないほうがましです。

・コストは初年度、二年目以降で分けて考える。
初期費用〇〇万円、利用人数×〇円という形態が多いです。初期費用が重たくて二年目以降のランニングが安くなるもの、初期費用はないがランニングがそれなりの金額のもの、両方がありますので、初年度と二年目以降で見積もりを取って、長い目でみた比較検討をおこないましょう。

・効果を発揮する最低期間がどれくらいかを確認する
離職防止ツールは入れてすぐに効果がみられるものは少なく、一定期間の実施が必要です。データをもとに「仮説」を立て、「施策」を投入し、「検証」ことが大切だからです。

季節によって繁閑がある場合は、季節要因(外的影響)との因果関係も同時に調べる必要があります。新卒の場合は「初年度はデータ取得」「2年目は施策投下影響の検証」「3年目は施策浸透の検証」といったように最低でも3年は入れるなど決めて導入することが必要だったりもします。

効果がないものを入れ続けるのは無駄ですが、効果発揮ができない期間だけ使って見切りで辞めてしまうのはもっと無駄です。効果発揮に必要な期間を最初にしっかりと確認して、「○ヵ月/○年やって効果がなければ辞める」という辞め時を考えながら導入を考えることが重要です。

・導入時期のフォロー体制
上記の通り、全員参加できる環境を構築することが非常に大切。操作は楽だが、習慣化にパワーがかかるツールでもあります。ほとんどのツールが初期導入支援、カスタマーサクセスの支援をうたっていますが、初期導入にどこまで寄り添ってくれるのか?どれくらいの基幹を初期導入期間と考えているのか?サポートはチャットだけなのか、オンライン会議か、現場にまで来てくれるのか?
フォロー期間やフォローの手厚さなども判断の基準になります。

気になるサービスの紹介

数あるツールの中から、私が気になっているものをいくつかご紹介します。メジャーなものは有名すぎてご存じの方も多いのでマイナーなものを中心に紹介します。

・ミキワメ ウエルビーイング(コンディションケア×組織)
比較的有名どころです。自社の組織崩壊の原因とその後のV字回復の要因を振り返って、体系化し、同じことが起こらない社会を作るために作り上げたツール。リアルな実体験がベースになっているため非常に使いやすく、適性検査ともつながっているので採用活動時から使える数少ないツール。

・テガラみる(コンディションケア×個人)
いろんなところで紹介していますが、退社時に今日の気分を6段階のお天気で入力し一言コメントをする。この内容を上長や人事が確認して、次の日の朝に振り返って課題を解消する。この単純なやり取りで入社初期離職防止を進める数少ないコンディションチェックツール。入力が苦手な人でも扱えるシンプルなUIもポイントです。

・Skinnbox(モチベーションアップ×コミュニケーション)
直属の上司ではない「メンター」社員が、若手社員の想いをききながらポジティブにアドバイスできる仕組み。AIがレコメンドした目標を若手社員が自分で設定し、それに対して「できた」「できていない」を入力。先輩社員が確認してスタンプで承認しアドバイスする仕掛け。Z世代を辞めさせないツールというキャッチフレーズ。

・ユニクル(モチベーションアップ×ピアボーナス)
学生時代からの取り組んできたことをインタビューで掘り起こし言語化。その人を構成する要素とスキルをスコア化し入社時点のキャラクターを決定。入社後の経験や学び、周囲からのアドバイスや賞賛を「経験値」として加算して、自分の強みと弱みを可視化しながら、ろーろプレイングゲーム感覚で「経験値」を貯めてレベルアップする自分を実感するスタートアップしたばかりのツール。

・Hirame-ku(モチベーションアップ×理念浸透)
職場の「アイディアコンテスト」を安心・安全に楽しく参加できるようにしたツール。「募集」→「投稿」→「閲覧」→「審査」→「リアクション」→「実行」までの一連の流れを行える機能を搭載。楽しくアイディアを出す仕掛け通じて、従業員の職場や仕事への興味関心の醸成や経営参加を促し、離職を防止する。

・HaKaSe Onbord(オンボーディング)
新入社員と配属先候補部署の相性をスコア化し最適な配属先をアドバイス、職場の先輩へ円滑なコミュニケーションを行うためのポイントをアドバイス、定期的な評価診断から足りないスキルを可視化して最適な導入プログラムを構築する。この一連の流れをAIが行うという、まさにAI時代のオンボーディングツール。


終わりに

最後にひとつだけデータを紹介。入社1年以内に辞めたことがある新入社員に「いつ辞めたか」を聞いたデータがありました。退職時期は半年後が一番多かったのですが、入社3か月を過ぎると割合は半分以下に激減しています。ようは、最初の3カ月にどれだけうまく会社に溶け込んでもらうかがポイントなのではないかと考えます。

2023年3月 AlbaLink社調べ(n=333人)


生産労働人口は1990年→2030年の40年で20%減少。2040年には1,000万人の担い手不足が発生するという調査結果もあります。
「辞めたらまた採ればいい」という乱暴すぎる組織運営ができたのはバブル期まで。これからはいかにして「辞めない職場」を作るかが「新規採用」に次ぐ経営課題と考えます。

多種多様なサービスをひとつに括って紹介するには多少乱暴すぎかと思ってはおりますが、あらゆる方法があり、それをうまく活用することで「辞めない職場」を作ってもらうための紹介とご容赦いただけると幸いです。

最後にご紹介した個別の面白いトピックス的ツールは、おいおい個別でご紹介していきたいと思います。

おまけ

現在、投稿しているnoteの内容をまとめ、ITが苦手な人でも採用~離職防止までの活動を便利に進める入門書籍を作成しようと進めております。順不同の五月雨でどんどん投稿してまいりますので、応援をよろしくお願いいたします。

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