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「韓非子」説林下【完成版・一気読み】

「韓非子」説林下 1) 【原文】 伯樂敎二人相踶馬。相與之簡子廏觀馬。一人擧踶馬。其一人從後而循之。三撫其尻而馬不踶。此自以爲失相。其一人曰。子非失相也。此其爲馬也。踒肩而腫膝。夫踶馬也者。擧後而任前。腫膝不可任也。故後不擧。子巧於相踶馬。而拙於任腫膝。夫事有所必歸。而以有所腫膝而不任。智者之所獨知也。惠子曰。置猿於柙中。則與豚同。故勢不便。非所以逞能也。 【書き下し文】 伯楽(※1) 二人に踶馬(ていば)を相(そう)するを教ふ。 相ひ与(とも)に簡子(※2)の厩に之(ゆ

    • 「韓非子」説林下 (37)

      「韓非子」説林下 (37) 【書き下し文】 鄭人 一子有り。将(まさ)に宦せんとす。 其の家に謂ひて曰く、必ず壊れたる牆(かき)を築け。是れ不善の人 将(まさ)に窃(ぬす)まんとす、と。 其の巷人(こうじん)亦た云へり。 時をもて築かずして、人果たして之を窃(ぬす)めり。 其の子を以て智と為し、巷人の告ぐるを以て盗と為せり。 【現代語訳】 鄭の人に息子がいて、官職に就こうとしていた。 その父に言った。「家の垣根の壊れているところを補修すべきです。悪人が盗みに入ってしまいま

      • 「韓非子」説林下 (36)

        「韓非子」説林下 (36) 【書き下し文】 闔盧(こうりょ)郢(えい)(※1)を攻む。戦ひて三たび勝つ。 子胥に問ひて曰く、以て退く可きか、と。 子胥対(こた)へて曰く、人を溺らす者、一飲にして止まば、則ち溺るる無けん。其の休まざるを以てするなり。之に乗じて以て之を沈むるに如かず、と。 【現代語訳】 呉王闔盧が郢を攻めた。戦って三度勝った。 伍子胥に問うた。「これで引きあげるべきか」と。 伍子胥は答えて言った。「人を溺れさせようとするとき、水をひと飲み飲ませたところで止め

        • 「韓非子」説林下 (35)

          「韓非子」説林下 (35) 【書き下し文】 荊王の弟(※1) 秦に在り。秦 出(いだ)さず。 中射の士(※2)曰く、臣に百金を資せば、臣 能く之を出さん、と。 因(よ)りて百金を載せて晋に之(ゆ)き、叔向(しゅくきょう)(※3)を見て曰く、荊王の弟 秦に在り。秦 出さず。請ふ百金を以て叔向に委せん、と。 叔向 金を受け、以て之れ晋の平公を見て曰く、以て壺丘に城(きず)く可し、と。 平公曰く、何ぞや、と。 対(こた)へて曰く、荊王の弟 秦に在り。秦 出さず。是れ秦 荊に悪しき

        「韓非子」説林下【完成版・一気読み】

          「韓非子」説林下 (34)

          「韓非子」説林下 (34) 【書き下し文】 靖郭君(※1) 将(まさ)に薛(せつ)に城(きず)かんとす。 客(※2) 以て諫むる者多し。 靖郭君 謁者に謂ひて曰く、客の為に通ずる毋(なか)れ、と。 斉人の見(まみ)えんと請ふ者有り。曰く臣請ふ三言(※3)にして已(や)まん。三言を過ぎば臣請ふ烹(に)られん、と。 靖郭君 因(よ)りて之を見る。客趨(はし)り進みて曰く、海大魚、と。因(よ)りて反(かへ)り走る。 靖郭君曰く、請ふ其の説を聞かん、と。客曰く、臣 敢へて死を以て戯

          「韓非子」説林下 (34)

          「韓非子」説林下 (33)

          「韓非子」説林下 (33) 【書き下し文】 韓咎(かんきゅう)(※1)立ちて君と為る。 未だ定まらざりしとき、弟 周に在り。 周 之を重んぜんと欲す。而して韓の(※2)立てざるを恐る。 綦母恢(きぶかい)曰く、車百乗を以て之を送るに若(し)かず。立つを得ば因(よ)りて戒を為すと曰へ、立てずんば則ち来たりて賊を効(いた)すと曰へ、と。 【現代語訳】 韓咎が立って君主となった。 まだ君主に決まる前、弟が周にいた。周は彼を重い地位につけたいと思ったが、韓が彼を立てない場合のこと

          「韓非子」説林下 (33)

          「韓非子」説林下 (32)

          「韓非子」説林下 (32) 【書き下し文】 斉 魯を伐ちて讒鼎(ざんてい)を索(もと)む。 魯人 其の鴈(がん)(※2)を以て往かしむ。斉人曰く、鴈なり、と。魯人曰く、真なり、と。 斉曰く、楽正子春(がくせいししゅん)(※3)をして来たらしめよ。吾れ将(まさ)に子に聴かんとす、と。 魯君 楽正子春に請ふ。楽正子春曰く、胡(なん)ぞ其の真を以て往かざるや、と。君曰く、我れ之を愛(をし)む、と。答へて曰く、臣も亦た臣の信を愛(をし)む、と。 【現代語訳】 斉が魯を伐って讒鼎と

          「韓非子」説林下 (32)

          「韓非子」説林下 (31)

          「韓非子」説林下 (31) 【書き下し文】 韓趙相ひ与(とも)に難を為す。 韓子 兵を魏に索(もと)めて曰く、願はくは師を借りて以て趙を伐たん、と。魏文侯曰く、寡人 趙と兄弟たり。以て従ふ可からず、と。 趙 又た兵を索(もと)めて韓を攻めんとす。文侯曰く、寡人 韓と兄弟たり。敢へて従はず、と。 二国 兵を得ず。怒りて反(かへ)る。已にして乃ち文侯の以て己を構するを知り、乃ち皆な魏に朝す。 【現代語訳】 韓と趙が争った。 韓は魏に援軍を求めて言った。「軍をお借りして趙を伐ち

          「韓非子」説林下 (31)

          「韓非子」説林下 (30)

          「韓非子」説林下 (30) 【書き下し文】 荊 陳を伐つ。呉 之を救ふ。 軍間三十里。雨ふる 十日。夜 星みゆ。 左史倚相(いそう) 子期に謂ひて曰く、雨ふる 十日。甲輯(あつま)り兵聚(あつま)る。呉人必ず至らん。之に備ふるに如かず、と。 乃ち陳(じん)を為す。陳未だ成らずして呉人至り、荊の陳せるを見て反(かえ)る。 左史曰く、呉 反覆六十里。其れ君子は必ず休(いこ)ひ、小人は必ず食はん。我行く三十里。之を撃たば必ず敗る可きなり、と。 乃ち之を従(お)ふ。遂に呉軍を破る。

          「韓非子」説林下 (30)

          「韓非子」説林下 (29)

          「韓非子」説林下 (29) 【書き下し文】 越 已に呉に勝つ。又た卒を荊に索(もと)めて晋を攻む。 左史(※1)倚相(いそう) 荊王に謂ふ。曰く夫(そ)れ越 呉を破る。豪士死し、鋭卒尽き 大甲(※2)傷(きずつ)く。今又た卒を索(もと)めて以て晋を攻む。我に病(つか)れざるを示すなり。師を起こして以て呉を分かたんには如かず、と。 荊王曰く、善し、と。因(よ)りて師を起こして越に従ふ。 越王怒り、将(まさ)に之を撃たんとす。 大夫種(しょう)曰く、不可。吾が豪士尽き、大甲傷(

          「韓非子」説林下 (29)

          「韓非子」説林下 (28)

          「韓非子」説林下 (28) 【書き下し文】 智伯 将(まさ)に仇由(きゅうゆう)を伐たんとす。而れども道 難にして通ぜず。 乃ち大鐘を鋳て、仇由の君に遣る。仇由の君 大いに説(よろこ)び、道を除して将(まさ)に之を内(い)れんとす。(※1) 赤章曼枝(せきしょうまんし)曰く、不可。此れ小の大に事(つか)ふる所以なり。而るに今や大以て来たる。卒必ず之に隨はん。内(い)る可からざるなり、と。 仇由の君聴かず。遂に之を内(い)る。 赤章曼枝 因(よ)りて轂(こく)を断ちて駆る。斉

          「韓非子」説林下 (28)

          「韓非子」説林下 (27)

          「韓非子」説林下 (27) 【書き下し文】 荊王 呉を伐つ。 呉 沮衛蹷融(しょえいけつゆう)をして荊師(※1)を犒(ねぎら)はしむ。 荊の将軍曰く、之を縛せよ。殺して以て鼓に釁(ちぬ)(※2)らん、と。 之に問ひて曰く、汝来(きた)るとき卜(ぼく)せしか、と。 答へて曰く、卜せり、と。 卜 吉なりしか、と。 曰く、吉なりき、と。 荊人曰く、今 荊 将(まさ)に女(なんぢ)を欲(ころ)して鼓に釁(ちぬ)らんとす。其れ何ぞや、と。 答へて曰く、是れ故(もと)より其の吉なる所以

          「韓非子」説林下 (27)

          「韓非子」説林下 (26)

          「韓非子」説林下 (26) 【書き下し文】 管仲鮑叔 相ひ謂ひて曰く、君(※1)の乱甚(はなはだ)し。必ず国を失はん。斉国の諸公子、其の輔(たす)く可き者は、公子糾に非ずんば則ち小白(※2)なり。子と人(ひとびと)一人に事(つか)へん。先づ達する者は相ひ収めん、と。 管仲乃ち公子糾に従ひ、鮑叔小白に従ふ。 国人果たして君を弑す。 小白先づ入りて君と為る。 魯人 管仲を拘して之を効(いた)す。鮑叔言ひて之を相とす。 故に諺に曰く、巫咸(ふかん)善く祝すと雖も、自ら祓ふ能はず。

          「韓非子」説林下 (26)

          「韓非子」説林下 (25)

          「韓非子」説林下 (25) 【書き下し文】 白圭 宋令尹(※1)に謂ふ。曰く君長せば自ら政を知らん。公 事無けん。今 君は少主なり。而して名を務む。荊をして君の孝を賀せしむるに如かざるなり。則ち君 公の位を奪はずして、大いに公を敬重せん。則ち公 常に宋に用ひられん、と。 【現代語訳】 白圭が宋の大尹に言った。「宋の君が成長すれば自ら政治を行うようになるでしょう。そうなるとあなたは実権を失うでしょう。今、君主は若く、名声を得たがっています。そこで楚に主君の孝行ぶりを褒めても

          「韓非子」説林下 (25)

          「韓非子」説林下 (24)

          「韓非子」説林下 (24) 【書き下し文】 周趮(しゅうそう)(※1) 宮他(きゅうた)(※2)に謂ひて曰く、我が為に斉王に謂ひて曰へ。斉を以て我を魏に資せば、請ふ 魏を以て王に事(つか)へしめん、と。 宮他曰く、不可。是れ之に魏無きを示すなり。斉王必ず魏無き者に資して、以て魏有る者を怨ましめざらん。公 王の欲する所を以てせよ。臣請ふ 魏を以て王に聴かしめんと曰ふに如かず。斉王必ず以て公を魏有りと為し、必ず公に因(よ)らん。是れ公 斉有るなり。因(よ)りて以て斉魏有らん、と

          「韓非子」説林下 (24)

          「韓非子」説林下 (23)

          「韓非子」説林下 (23) 【書き下し文】 晋の中行文子(※1) 出亡して、県邑に過(よ)ぎる。 従者曰く、此の嗇夫(しょくふ)(※2)は公の故人なり。公 奚(なん)ぞ休舎して且(しばら)く後車を待たざる、と。 文子曰く、吾れ嘗て音を好む。此の人 我に鳴琴を遣れり。吾れ珮(はい)を好む。此の人 我に玉環を遣れり。是れ我が過(あやまち)を振(すく)はざる者なり。以て容を我に求むる者なり。吾れ其の我を以て容を人に求めんを恐る、と。 乃ち之を去る。 果(はた)して文子の後車二乗を

          「韓非子」説林下 (23)