見出し画像

「韓非子」説林下 (30)

「韓非子」説林下 (30)

【書き下し文】
荊 陳を伐つ。呉 之を救ふ。
軍間三十里。雨ふる 十日。夜 星みゆ。
左史倚相(いそう) 子期に謂ひて曰く、雨ふる 十日。甲輯(あつま)り兵聚(あつま)る。呉人必ず至らん。之に備ふるに如かず、と。
乃ち陳(じん)を為す。陳未だ成らずして呉人至り、荊の陳せるを見て反(かえ)る。
左史曰く、呉 反覆六十里。其れ君子は必ず休(いこ)ひ、小人は必ず食はん。我行く三十里。之を撃たば必ず敗る可きなり、と。
乃ち之を従(お)ふ。遂に呉軍を破る。


【現代語訳】
楚が陳を伐ち、呉が陳を救おうとした。
楚と呉の両軍の間は三十里であった。雨が降ること十日目、晴れて星が出た。
楚の左史倚相が将軍の子期に言った。「雨が十日降る間に、敵軍は集結しました。必ずや呉軍はやってくるでしょう。備えなさいませ」と。
そこで陣を構えたが、陣ができあがる前に呉軍が到着したが、楚の陣容を見て引き返した。左史倚相が言った。「呉軍は往復六十里を行軍します。将軍は休息し、兵卒は食事をとるでしょう。こちらは三十里を行くだけです。追撃すれば必ず勝てましょう」と。
そこで楚軍は追撃した。そして呉軍を撃ち破った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?