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「韓非子」説林下 (37)

「韓非子」説林下 (37)

【書き下し文】
鄭人 一子有り。将(まさ)に宦せんとす。
其の家に謂ひて曰く、必ず壊れたる牆(かき)を築け。是れ不善の人 将(まさ)に窃(ぬす)まんとす、と。
其の巷人(こうじん)亦た云へり。
時をもて築かずして、人果たして之を窃(ぬす)めり。
其の子を以て智と為し、巷人の告ぐるを以て盗と為せり。


【現代語訳】
鄭の人に息子がいて、官職に就こうとしていた。
その父に言った。「家の垣根の壊れているところを補修すべきです。悪人が盗みに入ってしまいます」と。
同じ町の人もまた家人に同じ忠告をした。
しかし時が経っても修復しなかったので、悪人が盗みに入ってしまった。
すると家人は、息子を知恵者だと褒め称え、同じ忠告をした町の人を盗人ではないかと疑った。

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