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変わる

ごく自然に、当たり前に、何の気なしに。
私達は変化している。

気になるあの子は髪を切っていたし、近所の田んぼがいつの間にか誰かの家になっていたり、私に向けられていたあなたの優しい眼差しは他の誰かを見つめていたりする。逆も然り。

変化は私たちのずっとそばにあって、そんなに大したことではないのだな。変わるということは、そのままであることを受け入れることなのだ。

変わることが怖いという気持ちや変わりたいという気持ちのどちらも、自分が変化していること、変化するということがそのままであることに気づいていない。『こう変わりたいから今やっているこれを辞めて、あれをしよう。』というのも一つの変わるということであるけれど、ここで大事なのはこう変わりたいというような大枠はあっても、理想的で固定化されたそれはそもそも存在しないということに気づくことで、そして、今やっているこれに問題がある、間違っていると思わないこと。それも含めて、私であると受け入れることが変わるということ。

ここでいうそのままを受け入れるとは、自分はこうであると概念的に固定されたイメージを、自分の事実であると受け入れることではない。私達は常に変わり続けているということ、それこそがそのままであるということを観察し、気づくことである。

あなたも私も変わる。変わり続けている。
私が変化することを受け入れるということは、あなたが変化することも受け入れるということだ。全てを理解して掴んだ気になっても、次の瞬間には形を変えてするりと手から離れていってしまう。あなたのものにも、私のものにもならない。とどめておこうと箱に閉じ込めて鍵をかけても、蓋を開ければふわふわと舞って消えてしまう。そんな不確かで曖昧で完全に理解することができないものが私であり、あなたである。

だからこそ、そのままを受け入れるということは、変わり続けているそれを、とどめておかないままに関心を持って、理解し合うことを求めなくても尊重し、寄り添うということ、愛するということ。

変わる。変わっていく。今この瞬間も。








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