愛に曖昧に故意に恋して
私のこと好き?愛してる?
恋は曖昧を嫌って、はっきりくっきりさせたがる。求めた答えが得られないとわかると、わざとらしく私は機嫌が悪いですよと示してみたり、イラついて尖った心をぶつけて、跳ね返って自分に刺さったその痛みの強さを愛の深さだなんて勘違いして、わざとらしく痛がって、優しく撫でてもらいたがった。
愛は曖昧だなんて認めたくなくて、確かなものと言葉を求めた。あなたのほんとうは私のためにあるんだし、私のほんとうはあなたのためにあるものだよ。そうでしょ?の、はてなマークに執着と期待を込めて、手を握って引っ張って、キスをした。
あなたのこと好き。愛してる。
ずっと前から愛は曖昧だと気づいていた。信じるのはあなたじゃなくて、自分自身だということも。私のために生きてよなんて言えないから、せめてあなたが息を吸う理由のひとつになりたい。
そばにいてなんて言えなくて、ただそばにいられたらそれでいい。それが嬉しい。
思い通りにならない苦しみも痛みも、愛を図るための物差しではなくて、愛そのものであって、暖かく柔らかくて曖昧な、愛の中に包まれているものである。熱に浮かされ、忘れてしまっても、あなたといたい、痛いこの気持ちの跡だけは、はっきりくっきりと残っている。
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