橋本 勘

橋本 勘

最近の記事

余呉小中学校5年生森林学習

余呉小中学校5年生の森林学習「森林とわたしたちのくらし」に呼んでいただきました。 実際に現場を知る人にお話を聞こうという趣旨で、事前にいただいた学習内容には ・日本や余呉の山の現状(天然林、人工林など) ・林業で働く人について(間伐や下草刈りなど) ・森林を守る取り組みについて(ナショナルトラスト運動など) とあり、あまりに広範囲でましてや私は林業職でもないので、どう進めようか頭を悩ませ「人工林×天然林×ダンス」を作りました。 まず人工林で代表的なスギとヒノキを写

    • 本の小さなコミュニティ

      ながはまコミュニティカレッジでの「2022年に読んだ本を紹介しあう会」が終了しました。 参加者6名で本を持ち寄って語らいました。 本を媒介に偶然のメンバーで、たった40分の小さなコミュニティの創造が今回の試みの隠れたテーマでした カレッジよりもコミュニティに主眼を置いた今回の取り組み。何人来るのかどんな人が来るのかわからないながらも、終わってみればこのメンバーだからこその内容になりました。 歴史、小説、異世界転生、SF、料理エッセイ、学習参考書というバラバラのジャンル

      • 流木と右翼と左翼

        成安造形大学の授業の合評にオンラインから参加。1年生と2年生5つの発表を聞かせていただきました。1年生の2人の発表を聞くのは初めてで水口の大池寺との日本庭園についてでした。 2年生の2班は10月に森や湖岸を案内させてもらい、途中経過も見ていたので、さらなる展開を興味深く拝見しました。 2班とも湖岸にたどりついた流木を用いた造形物についての発表でした。ひとつは鳥や魚をつくって山に返すもの、もうひとつは木をつくって本のなる木として図書館(里)におくというアイデアです。 聞き

        • 哲学カフェnagahama 自己肯定感

          哲学カフェnagahamaに参加。テーマは「自己肯定感」 投票を経て決まった問いは「自己肯定感はいつから言われだしたのだろう」というもの。 思い起こせば昔はこんなに「自己肯定感」とは言われなかった。自己肯定力と言われていたものが途中から自己肯定感に変わったという証言もあり、「力」と「感」の違いについて考える。 「力」は比べることを求められ、「感」は自らの中に認めるものではないか。 比べることを求められる世界から自らを認める世界への転換点に象徴的な歌があったことを思い出

        余呉小中学校5年生森林学習

          「「美食地質学」入門~和食と日本列島の素敵な関係」を読んで

          山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会の森だより1月号に書いた書評です。 巽 好幸著「「美食地質学」入門~和食と日本列島の素敵な関係 (光文社新書 1230)」 光文社 946円(税込) https://amzn.to/3HHZJxZ  院生時代に集中講義で著者の授業を受けたことがある。細かな内容は忘れてしまったが、プレートの沈み込みに伴うマグマの挙動から地殻変動を論じるその鮮烈な論理展開に驚いた記憶がある。そこからかなり経って「情熱大陸」に出演されたのには驚いたが、番組では

          「「美食地質学」入門~和食と日本列島の素敵な関係」を読んで

          11年ぶりのやまのこ研修

          2022年7月20日野洲の林業普及センターでの「やまのこ」専任指導員・地域サポーター研修会に参加。 この研修は8月の先生向けの研修の事前準備の位置付けでもあり、先生向けのプログラムも考えることになっています。 私は久々の参加で調べてみると前回参加したのはなんと11年前の2011年でした。当時書いていたブログを漁るとその様子が残っていました。先生向けに自分がおこなったプログラムは今見ても大変興味深く、たとえばインタビュー法やダイアログインザダークのようなことや、野田秀樹のワ

          11年ぶりのやまのこ研修

          モリカケ問題を森で考える

          奥びわ湖・山門水源の森に地元の永原小学校6年生が自然学習に訪れました。今日で4回目の訪問です。学習の最後には森でこんなことをすると面白いんじゃないか、つまり、森×○○を考える時間を作りました。これをモリカケ問題と呼んでいます。 昨年学校へ私が訪問して、授業でモリカケ問題については考えてもらったのですが、今回は実際に森での学びを体験してあとなので、また違った答えが出てくるんじゃないかと思いやってみました。2~3人のグループになってもらい約10分間考えて、出てきた案すべてを発表

          モリカケ問題を森で考える

          感じるオープンダイアローグ 森だより書評 2021.11月号

          長浜で哲学カフェを開催している仲間がいる。哲学カフェとは飲み物を片手に進行役のもと暮らしや社会に関するテーマについて参加者同士で対話を行う営みである。私も何度か参加したことがある。ある時のテーマは「多様性」だった。 哲学カフェにもいろんなやり方があるようだが、ここのスタイルは最初にテーマについて考えたいトピックを参加者がそれぞれ挙げ、その中から多数決で決めるというものだ。その時に決まったのは「多様性を認めないという多様性は認められるか」だった。 多様性を認めないという他者

          感じるオープンダイアローグ 森だより書評 2021.11月号

          「寝ながら学べる構造主義」読書会に参加して

          内田樹の「寝ながら学べる構造主義」についてのさくら里BookCafe読書会に参加しました。読書会といってもオンラインで21時スタート。ご飯を食べた後に、お茶とミカンを頬張りながら炬燵で参加という地方在住にもありがたいものでした。 オンラインの読書会の参加は3回目です。1度目は近所のどっぽ村の松本茂夫さんが主宰されている読書会、2回目は名古屋の猫町倶楽部の読書会で、両方ともカミュの「ペスト」でした。その時のペストについての感想はnoteに書きました。https://note.

          「寝ながら学べる構造主義」読書会に参加して

          地磁気逆転と「チバニアン」

          山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会の森だよりに書いた書評に追記したものです。 奥びわ湖・山門水源の森と同じ西浅井町に集福寺環境保全林という200haもの森があります。バブル期にゴルフ場開発の話が立ち上がったのは山門水源の森と共通していますが、山門がその後、保全にむけて県有林化されたのに対して、集福寺は業者による買収、転売がおこなわれ、乱開発の恐れかから当時の西浅井町が買い戻した歴史があります。 山門と違い整備や管理は特別行われず20年が経過した森です。しかし最近では人と森

          地磁気逆転と「チバニアン」

          2021.3.23 こっとん~cotton~森のスコラ Study with forest 「するとされるの間で森をみつめる。中動態と森」

          こっとん~cotton~さんと一緒に開催している大人向けの森での学びの場「森のスコラStudy with forest」 タイトルのスコラ(schola)はschoolの語源でラテン語で「学校」の意味。同時にギリシャ語では「暇(ひま)」を指し、そこから働かない、暇な人が集まるところという意味もあったそうです。一方でフォレスト(forest)の語源はfor=restつまり「休むための場所」とも言われています。さらにstudyの語源のstudiousには夢中になるという意味があ

          2021.3.23 こっとん~cotton~森のスコラ Study with forest 「するとされるの間で森をみつめる。中動態と森」

          植物の生の哲学 混合の形而上学を読んで

          不登校の子を持つ保護者グループ「cotton~こっとん~」さんと一緒に11/20に「森のスコラStudy with forest」という学びの機会を設けました。今回は大地に触れる喜びと学びがテーマで地層見学のほか堆積実験や地質図を通して地面の下がどうなっているのかについて自然に触れ学びを深めました。内容は小学6年生の地層学習で行ってきたものを基にしたものです。学習の中で水を入れたメスシリンダーに砂利を落として堆積の様子を観察します。れきと砂と泥が水中を落ちていく動作を興味深く

          植物の生の哲学 混合の形而上学を読んで

          聴しあう自然

          山門水源の森で永原小学校6年生の3回目の自然学習。1時間40分の授業でした。 今回は「どんな保全作業があるのか」がテーマ。あらかじめ調べ学習で考えてきた保全作業について発表してもらい、それに応えて「山門水源の森はどうやって保全されているのか」についてお話ししました。 実は保全作業の内容はあまりにも多岐にわたるので簡単に説明はできません。なにせ会員用のスケジュールにはほぼ毎日びっしりと書かれているほどです。 そこで毎月2回(第1・3土曜)の保全作業の日の作業内容を月ごとに

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          私はどこまで私なのか

          森だより10月号に書いた書評です。  地元6年生の学習で森に出掛けて保全作業をする前に「森を守ってなんになる」というお話をしました。  最初の導入では「私はどこまで私なのか」を考えることにしました。例としてウンコは自分か他人かを聞いたところ、どっちかわからないという返事が多数でした。子どもたちから逆に爪はどうだろうかという問いかけもあり一緒に考えてみました。それまでまぎれもなく自分の一部だったものが、そうでなくなる感覚は誰しも経験しているものの、それについて考える機会はあ

          私はどこまで私なのか

          ドーナツ経済学が世界を救う 人類と地球のためのパラダイムシフト

           かつて理科の授業でならった考え方に生態系ピラミッドというのものがありました。食物連鎖と生物数を組み合わせたもので、生態系を構成する生き物の種数や個体数が底辺ほど多く、頂点に近づくほど少なくなるというものです。一番底辺には土壌のなかの菌類や土壌動物などが生息しており、頂点には肉食動物が君臨しています。肉食動物を支えるにはそれだけ豊かな生態系が必要であるという説明に使われたりしますが、この図を見たとき、なるほどと納得したと同時に、じゃあ人間はどこにいるんだろうかという疑問があり

          ドーナツ経済学が世界を救う 人類と地球のためのパラダイムシフト

          社会的共通資本

          7/19に経済学者・宇沢弘文が提唱した社会的共通資本をテーマにしたフォーラムが瀬戸内の直島で開催されました。ただし新型コロナウイルス感染拡大の影響からオンラインでの開催となり家から視聴することができました。  社会的共通資本は自然環境(山、森林、川…)、社会的インストラクチャー(道路、橋、鉄道…)、制度資本(教育、医療、金融、司法、文化…)の3つからなり、経済学で自然を資本として考えようとしたのは宇沢弘文が初めてと言われているそうです。その考えは新型コロナウイルス感染症をきっ

          社会的共通資本