「自分の好きなこと」だけが自分の係

「恐竜ガールと情熱博士と」という本を読んだ(子供向けの本です)。リンクはkindle版(電子書籍)。


話の内容は、福井県立恐竜博物館ができるまでの実話を、子供でも楽しめるようにマンガなども交えながら書かれている。

主人公は、恐竜博物館をつくることに奔走した、東洋一(あずまよういち)さん。

実話をもとに書かれたお話なのだけど、私は、この話で「子供にかかわる大人のありかた」について、少し考えた。


自分の好きなことを見せてあげる「係」

この作品の中で、「情熱博士」と呼ばれている東洋一さんは、小学校5年生の時、塾の先生に誘われて「化石発掘」に初めて参加して、そこで本物の化石に出会い、地質学の世界に入っていた。

その塾の先生は、大学で地質学を勉強していて、自分の調査に子供たちも連れて行って発掘調査や化石を見せてあげようと思ったようだ。


これを読んで、私は思った。

「自分の好きなこと」が自分の係なんだな

子どもを視野の広い人間に育てようとして、色々なところへ連れていくのもいいのかもしれない。だけど、子供の心に火をつけるのは「本気でやっている人」だけなのではないか。


「係」=楽しさを教える人

それならばどの子供が相手であれ、例えば、自分は「化石の楽しさをを教える係」というスタンスで、興味があってもなくても一度、その世界を見せてあげる。

もし、まったく興味を示さなかったら、「この子の興味は化石はではなかったか」と思い、深追いしない

東さんは、塾の先生が「化石の楽しさをを教える係」であり、見事にその世界の楽しさを受け取り、自分で地質学を勉強していった。



ちなみに、この本の中で「恐竜ガール」という名で呼ばれているの松田亜規(まつだあき)さんは、お父さんが化石採集を趣味としていたため、ドライブがてら、山や海岸で化石採集をするというのが家族の恒例行事になっていた。その時に見つけた恐竜の歯の化石が、この物語の重要な部分になってくる。

しかし、亜規さんは恐竜の歯を発見するという偉業を成し遂げたにもかかわらず、地質学や恐竜の世界には入っていかない。

亜規さんにとってのは父親は、「化石の楽しさをを教える係」だったのだが、残念ながら彼女の興味はそこにはなかったようだ。


自分が何かの「係」を担えるほど好きなことがなかったら

もし、自分に特にのめりこめるほどの趣味がない、つまり「何の係も担えそうもない」と思う人は、可能なら子供がいろんな「係」の人に出会えるように計らってあげるといいのではないか。

子供がちょっとでも興味を持ったことに対して、イベントを探して連れて行ってあげるとか。

だけど、あんまり心配しなくても、子供たちは学校でもいろいろなことと出会ってくる。習い事にも通う。この本の東少年だって、塾の先生から化石につながっているんだし。

子供たちにはきっとたくさんの「係」がいて、その子に何か楽しい世界を教えてくれるはずだ、なんて、無責任なことを考えた。


自分の好きなことをやっていけば、きっといい

だから自分は、やりたいことをどんどんやって、いつか誰かにその楽しさを伝えられるようになればいいなあ、くらいのスタンスで行けばいいのかな、と思う。

たとえ自分の子供に拒否されたとしても、いつか誰かの「係」になれるかもしれないしね。

それに、「何かに夢中になっている楽しそうな大人」をたくさん見てきた子供は、きっと、何かに夢中になる幸せな大人になると思うのだ。



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