【特別連載 第0回】小児の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)・感染対策・ワクチン篇
監 修:笠井正志(兵庫県立こども病院 感染症内科 部長)
著 者:伊藤健太(あいち小児保健医療総合センター 総合診療科 医長)
・本記事は書籍『小児感染症のトリセツREMAKE』(監修:笠井正志,著:伊藤健太)の補訂版として公開します。小児感染症全般についてさらに深く理解したい諸氏は,本編とあわせてご参照ください
・本補訂版は感染症のなかでもとりわけ流動性の高い内容を扱っています。今後の状況の変化やエビデンスの蓄積によって内容に変更が生じる可能性があり,それに伴い修正・加筆が行われる場合があります。
・本記事は「小児の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」の後篇です。前篇「診断・治療篇」はコチラです
・本連載は毎週金曜日に更新予定です
-------------------------------------------------------
【第0回 小児COVID-19の流行阻止を考える】
前篇では小児COVID-19の疫学・臨床・治療について,ある程度のエビデンスを参照しながら,言いたいことを思いのままに書きなぐらせていただいた。
さて,そんなパンチドランカーのみなさまには大変申し訳ないが,ここからが本丸である。
『小児は成人に比べ少なく軽症』
他の感染症にはあまりにない,この特徴のおかげで,COVID-19流行開始からこの1年半,小児感染症専門家の仕事の多くは感染対策であった。
私のみならず,多くの仲間たちが病院の感染対策に従事し,そして時には地域の感染対策などに提言してきている。
第5波から小児の感染者が急増してきていることも相まって,成人のワクチン接種が進む中,日本において接種対象者ではない小児の感染対策に対する注目度は以前に増してさらに高まってきた。そして,
『あんた,小児感染症の専門家なんだから,なんか秘策あるんでしょうね……。』
そんな眼差しを勝手にプレッシャーに感じ鬱々としているのが,今の小児感染症専門家じゃないだろうか……。
みなさんのご期待に沿えるような,小児のCOVID-19が流行阻止に,カッティングエッジかつブリリアントでマーベラスな,DXで,SDGsにも配慮した,ワンアンドオンリーな方法は……
「ないです。」
すみません,ふざけてしまって。
もうすでに医療者も教育関係,保育関係,それから一般のみなさんも精一杯COVID-19と戦ってきていると思います。そんな中,一筋の光明となる何かにすがりたくなる気持ちはわかりますが,現実はそこそこ厳しい。
でも,だからこそ,今あるエビデンスをしっかりまとめて,小児のCOVID-19流行阻止にどのようなことをすべきか? ということを真面目に考えてみたい。
それで,その内容を書き始めたら,COVID-19の情報はどんどん刷新されるし,オミクロン株とか小児のワクチンとか議論すべき内容がどんどん広がって深まっていって,頭がパンクしてしまった。
いろいろ考えた挙句,テーマを絞って少しずつ小出しにした方が形にしやすいんじゃないか? と思って編集の中立さんや監修の笠井先生に泣きつき,後篇の『小児におけるCOVID-19の感染対策・ワクチン篇』は連載形式にすることとなった。
どれくらいの更新になるかは現状不明ですが,着実に進めていく所存であるため,どうぞご理解いただきたい。
・・・
著者紹介
監 修 笠井正志(かさい・まさし)
兵庫県立こども病院 感染症内科 部長
著 者 伊藤健太(いとう・けんた)
あいち小児保健医療総合センター 総合診療科 医長
-------------------------------------------------------
【 書誌情報 】
・監 修:笠井 正志 著 者:伊藤 健太
・定 価 :5,940円(5,400円+税)
・B6変判・552頁
・ISBN 978-4-307-17073-4
・発行日:2019年4年24日
・発行所:金原出版
・取扱い書店はこちら