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草笛双伍 捕り物控え一

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時は江戸。火付け盗賊改め方、鬼平こと長谷川平蔵のもと、2本の長大な十手を手に、元<風魔忍者>の岡っ引き、草笛双伍が活躍する、勧善懲悪痛快アクション時代小説です。
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#勧善懲悪

草笛双伍 捕り物控え一 仇討ち1

草笛双伍 捕り物控え一 仇討ち1

刻は申七つ(現代で言う午前4時ごろ)

江戸城の東、お玉ヶ池の通りに、

鮮やかな着物を身に着けた、30前の年頃の気品ある女が立っていた。

その傍には、やはり気品のある着物を着た、おかっぱ頭の

年の頃は5つほどの娘がいる。

二人は商いをしているらしき店の影に隠れている。

お玉ヶ池の通りを一人の浪人が通りかかった。

30前の頃の女が、その浪人に声をかけた。

「おぬし、長江鏡介とお見受け申

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草笛双伍 捕り物控え一 仇討ち2

草笛双伍 捕り物控え一 仇討ち2

「仇討ち?」

八丁堀の与力同心の官舎。上座には長谷川平蔵も鎮座している。

その入り口の土間に、双伍は片膝を着いて座っている。

双伍の言葉に驚いたのは、鬼の平蔵だった。

「どのような事情なのか話してみよ」

双伍はこれまでの話を語った。

だいたいの事情を察すると、それまで黙っていた、

佐々木音蔵同心は冷静な口調で語った。

「そのお華殿には気の毒だが、<仇討ち>は幕府が認めた

 天下の

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草笛双伍 捕り物控え一 仇討ち3

草笛双伍 捕り物控え一 仇討ち3

それから数日が経った。

しかし、八丁堀の与力同心、岡っ引きたちの懸命な

聞き込みにもかかわらず、長江鏡介はおろか、

上条組の賭場さえ見つからなかった。

お紺は一時、与力同心の官舎で預かることになった。

与力同心の中で、妻子を持つ者は

お紺の面倒を喜んでやった。

だが、いずれこの幼な子も奉公人として、

どこかの家に引き取られることになるだろう―――。

その日の『あじさい屋』は、夕暮

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草笛双伍 捕り物控え一 仇討ち4

草笛双伍 捕り物控え一 仇討ち4

八丁堀の与力同心の官舎の土間に、久平と双伍の姿があった。

「お藤殿が、行方知れずだとッ?!」

知らせを聞いて、最初に血色ばんだのは、沢村誠真だった。

「へい、昨日の夕暮れに出て行ったきり・・・」

久平は先日の夕刻、一人の侍に茶をかけたこと、

そしてその侍が店を出て、

直後にお藤が慌てて出て行った事などを告げた。

その場にいる、火付け盗賊改めの20余名の与力同心の間で、

何か感ずるも

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草笛双伍 捕り物控え一 仇討ち5

草笛双伍 捕り物控え一 仇討ち5

双伍は縛られたままのお藤をかばうように、

両の十手を構えた。草笛は鳴り続けている。

その双伍を用心棒の侍、やくざ者が、扇状に取り囲んだ。

上条組の頭目と思しき男が、ずいと前に出てきた。

小太りの初老の男だ。人相は絵に描いたような悪人相だ。

「この岡っ引きの草笛を早く止めろ。

 同心に場所がばれる。さっさと片付けいッ!」

頭目の声を合図に、浪人は太刀、やくざ者は匕首あいくちを手にし、

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草笛双伍 捕り物控え一 鬼平暗殺1

草笛双伍 捕り物控え一 鬼平暗殺1

「30人ものならず者を相手にするとは、

 あなたは無茶されるお人だ」

苦笑いしながら言ったのは玄田元禄だ。

玄田元禄の営む養護院の奥座敷に、双伍は寝かされていた。

体のあちこちに、包帯が巻かれている。

「しばらくはここで、安静にしていなくちゃ

 いけませんよ。無理に動けば傷口が開く」

玄田元禄はそう言うと、治療部屋に戻っていった。

双伍は無言のまま、天井を見つめていた。

こんな大

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草笛双伍 捕り物控え一 鬼平暗殺2

草笛双伍 捕り物控え一 鬼平暗殺2

双伍はほとんど休息もとらず、

3日かかって、幻也の拉致されている場所を突き止めた。

そこは江戸城からほぼ真北にある、

三ノ輪からさらに奥にある、一軒の廃屋だった。

その廃屋には50名以上に及ぶ、盗賊、<風魔>の忍びが潜んでいた。

とても、自分ひとりで救出できる数ではない。

どうやら、かつての同胞の<風魔>の忍びたちは、

盗賊に雇われているようだった。

盗賊たちにとって、火付盗賊改方

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草笛双伍 捕り物控え一 鬼平暗殺3

草笛双伍 捕り物控え一 鬼平暗殺3

清水門外の役宅が見えてきた。天空には三日月が昇っている。

そのわずかな月光の中、双伍は地に降りた。

なぜなら、清水門外の役宅に通じる道は、民家からは遠く離れている。

双伍は物音も立てず、闇に溶け込んで走った。

清水門外の役宅の壁は、10尺を優に超えていた。

だが、<風魔>の双伍にとって、なんら傷害ではなかった。

壁を蹴るように、駆け上がる。そのまま敷地内に着地した。

そこは屋敷という

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草笛双伍 捕り物控え一 鬼平暗殺4

草笛双伍 捕り物控え一 鬼平暗殺4

「さっさと 斬れ」

双伍は返事の変わりに、そう答えた。

しかし沈黙が流れるだけだ。

双伍は顔を上げると、驚いたことに

長谷川平蔵は刀を鞘に収め、布団の上にあぐらをかいている。

「久栄、行灯に灯りを点してくれ」

のんびりした口調で言う。

奥の部屋から久栄が出てきて、行灯を点した。

ほんのりと暖かい灯りが座敷を照らした。

「忍びが名を名乗れないことぐらい知っている。

 その上であえ

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草笛双伍 捕り物控え一 鬼平暗殺5

草笛双伍 捕り物控え一 鬼平暗殺5

長谷川平蔵は八丁堀の官舎に常駐している

与力同心はもとより、非番の者も緊急招集して、

三ノ輪の廃屋へと向かった。総勢20余名。

同行する双伍を見て、怪訝な顔をしている者も

いたが、長谷川平蔵は、「ただの新入りだ」とだけ

答えた。

一刻ほどしてたどり着いた三の輪の廃屋は、

今にも崩れそうな様相だった。柱は曲がり、屋根は歪んでいる。

長谷川平蔵以下、部下たちは一気に屋敷になだれ込んだ。

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