見出し画像

カサンドラカウンセラーのMonologue4 注意!ウィンターブルー


発達障害とグレーゾーン、そしてそのご家族やパートナーが陥る「カサンドラ症候群」のカウンセリングをして30年、オフィスレアリーゼ神田裕子です。

【カウンセリングの予約・講演依頼等】
神田裕子に直接メッセージしたい場合は
こちらへどうぞ!
ykanda18425@gmail.com

★カウンセリング定額制(サブスク)の10月の新規募集は1名様のみです。

いつも読んでくださってありがとうございます。

私の住む札幌も、月1,2回滞在する東京も、すっかり秋!黒タイツを履いて歩くようになりました。同じ冷気でも、札幌は「(空気が)冷たい」、東京は「(風が)寒い」という違いを感じます。

さて、今日のテーマは‥これからの季節に起きやすい「ウィンターブルー」です。

秋から冬にかけて、何となく鬱々する気分を「季節性情動障害」「季節性感情障害」と呼びます。または、冬季うつ病「ウィンターブルー」とも言います。ほら、朝早く起きると、外は真っ暗だし‥日が沈むのも早いし‥となると気分が滅入りますよね。

アメリカ精神医学会が出版している精神疾患の診断基準・診断分類(DSM-5)にも、季節型の反復性のうつ病として掲載されています。1984年にアメリカの精神科医のノーマン・ローゼンタールにより季節性感情障害、「冬季うつ病」として初めて報告されました。

画像2

『季節性うつ病』 (1992)
ノーマン・E. ローゼンタール(著)、太田 龍朗(翻訳)
講談社現代新書

症状はいくつかありますが、例えば‥熱中していた趣味に対して急激に興味を失い、疲労感やだるさがつのります。そして気分的にはイライラ感や自己否定感、無力感、罪悪感に苛まれる‥と、かなりつらい日々が続きます。

一般的なうつ病(大うつ病性障害)に関しては、日本では15人に1人(女性12人に1人・男性29人に1人)が一生にかかる割合と言われています。ウィンターブルーは若干傾向が異なっていて、女性や若年者に比較的多い特徴があります。人口の約2.1%がその傾向にあるという調査結果があります。さらに、うつ病に罹患している人の1~2割はウィンターブルーにかかるとも言われます。

うつ病とウィンターブルーは症状は似ていますが、食欲と睡眠欲求が強くなる点で大きく違います。ウィンターブルーになると、いつまでも寝ていたいと感じますし、過食傾向が強くなって体重の増加がみられます。

次のグラフは、愛知県豊橋市にある豊橋ハートセンターのホームページからお借りした資料です。

画像1

日照量の不足(注※ ここで言う不足とは目から取り込まれる光量を指しています)により、必須アミノ酸のトリプトファンから生成される神経伝達物質「セロトニン」の合成速度が落ちると、セロトニン神経機能が低下してウィンターブルーを発症しやすくなります。

セロトニンは、別名「しあわせホルモン」と呼ばれている脳内ホルモンです。「ノルアドレナリン(神経を興奮させる役割)」や「ドーパミン(快感を増幅させる役割)」と並んで、人の感情や精神面、睡眠などに影響を与える三大神経伝達物質の1つです。

脳は緊張やストレスを感じるとセロトニンを多く分泌して、ノルアドレナリンやドーパミンの働きを抑制しようとします。そうして自律神経のバランスを整えているのです。ですから、例えば‥会社の同僚とトラブルがあると、うちに帰ってから映画や読書で気分転換をしたり、入浴や体操などによって心身をリラックスさせるとセロトニンが増え、ノルアドレナリンの値が減少することになります。

そして、もう一つ!大切なホルモンにメラトニンがあります。メラトニンは、脳内の松果体において生合成されるホルモンです。網膜から入った外界の光刺激は、体内時計(生物時計・視交叉上核)を経て松果体に達します。そのため、明るい光はメラトニンの分泌を抑制し、日中(朝7時頃から)はメラトニンの分泌は低く、夜間(夜22時頃から)に分泌量は増加します。私たちを心地よい眠りへ導くホルモンと言えるでしょう。また、体温や血圧を下げる作用もあると言われています。

夜は早めに就寝してぐっすり深く眠り、朝に起きるとすぐにカーテンを開けて採光を調整したり、部屋の灯り(人工光)をつけたり!することが、ウィンターブルーの予防と回復には必要ということになります。

画像4

さきほどのセロトニンを増やすためには、必須アミノ酸のトリプトファンが重要です。トリプトファンは体内で生成されることはないため、食べ物からの摂取を心がけましょう。トリプトファンが不足すると‥不眠症や睡眠の質の低下を引き起こす原因となります。また、トリプトファンは、糖質、たんぱく質、脂質を代謝・分解するうえで必要なビタミンの合成も行いますから身体にとって必要な栄養素です。トリプトファンは、バナナ、ごま、カボチャ、牛乳やチーズなどの乳製品、豆腐・豆乳などの大豆製品などに多く含まれています。ちょっとカロリーが高いものばかりに感じます(-_-;)
トリプトファンを効率よく吸収するには、糖分も必要とされるため、甘いものや炭水化物を多量に食べたくなる傾向にあります。過食になりやすいという背景はそこにあるのでしょう。何事もバランスが大切ということです。

他にもいくつかの留意点があります。規則正しい生活や運動はウィンターブルーを予防・調整します。体内時計の狂いが原因とも言われますので、私は、とにかく歩くようにしています。以前はパンプスばかり履いていましたが、最近ではスニーカーを履くことが多くなりました。生活の中で別途ウォーキング時間を確保するのは難しいので、電車や地下鉄の利用時に何駅か手前で降りて歩く、買い物は少し遠くの店を選ぶ、など工夫をしています。

セロトニンを増やす新しい方法として、最近は「涙活」もよいとされます。涙活というのは、あえて積極的に泣くことをします。例えばとても悲しい映画を観たり、音楽を聴いたりすることです。玉ネギを切ると悲しくもないのに涙が出ることすら、ストレス値を下げるのに役立つとも言われています。

あ、体内時計というのは、脳内の視床下部の視交叉上核に存在します。私たちの身体には、1日24時間の周期でリズムを刻むシステムが備わっています。意識はしていなくても、日中は心身を活動状態に、夜間は休息状態に切り替わっているのです。そのため、夜になると自然に「眠い~(=_=)」となるのですね。

でも、人間の体内時計周期は24時間よりも若干長いため、体内時計には外界の24時間周期の明暗周期に、一致させるシステム(同調機構)があります。このシステムは、地球の公転による日長時間の季節変化や、時差地域への急速な移動によってもうまく機能しないことがあります。その一つが、時差ボケのような症状であるウィンターブルーです。規則正しい生活が大切なのはご理解いただけるでしょう。健康な生活は、質の良い睡眠と栄養と運動からっ!


画像4

画像5






サポートをありがとうございます!これからも新しい情報を書き続けます。よろしくお願いいたします^^