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カサンドラカウンセラーのMonologue9 企業のパーパスとカサンドラのシンクロ

発達障害とグレーゾーン、そしてそのご家族やパートナーが陥る「カサンドラ症候群」のカウンセリングをして30年、オフィスレアリーゼ神田裕子です。

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産業カウンセラーとして企業の相談を承っていると、最近よく聞く言葉があります。「パーパス」です。英語のpurposeは「目的、意図」という意味ですが、「パーパス・ドリブン・ブランディング」や「パーパス・ドリブン・マーケティング」という言葉として使われています。

ここでの「パーパス」は、企業や組織の「存在理由」「存在意義」のことです。それぞれの会社が何のために事業を行い、商品の開発や販売をするのか、を考えることを意味しています。社会において、”うちの”会社って、何のために存在しているのでしょう。そこを研究しながら、経営戦略やブランディングの世界を構築しているのです。

ちなみに、ドリブンとはdriveの過去分詞形「driven」から来ています。直訳すると「〜に駆り立てられる」「〜に突き動かされた」という意味です。そこで、企業活動においては「〜を起点にした」「〜を元にした」という意味合いで使われ、経営戦略を考える際に、データドリブン(データから戦略を考えていくこと)や、カスタマードリブン(顧客の声に耳を傾けながら事業の展開に活用すること)として使っています。

パーパスが用いられる背景として次のことが考えられます。

① 新型コロナウイルス感染症のパンデミックが、世界中に大きなインパクトを与えたことです。頭では「取捨選択しなくてはいけない」とわかっていても、手をつけずにいたことに着手しなければならない状況になったことです。また、価値観が大きく変化したことで、商品開発からマーケティングまであらゆる見直しを迫られました。そもそも”うちの”会社は社会に必要なのか?を改めて考えることで、自分たちのあるべき姿が見えてきて、やるべき事業の計画や見通しがたつのです。
② 社会学でも分類されるミレニアル世代(現在の20代~40歳)が消費・マーケットの中心になることが挙げられます。ミレニアル世代は、生まれた時からパソコンやスマホに慣れていて、ITリテラシーが高い人々です。2025年には、全世界の労働人口の75%を占めるようになると言われています。情報収集が上手で、デジタルネイティブな彼らには、従来のマーケティング手法は通じません。さらに、モノには執着せずコト(体験)に消費する傾向や、社会的活動やボランティア活動に興味・関心を示します。「社会的意義」に対する意識が非常に高いため、そうした活動をする存在価値のある企業で働きたいと望むのです。
③ パーパスは、多様化する価値観や働き方を尊重するいっぽうで、どうかするとバラバラになりがちな社員を一つに統率する手段として、効果的です。だって、会社という組織は、同じ方向性を見て仕事をする必要がありますものね。その場合、パーパスが行動の軸となります。以前、リッツカールトンホテルが「クレド」と呼ばれる行動方針を書いたカードを、従業員全員に持たせ、それぞれに決裁のチャンスを与えたように。クレドによって、従業員は統一されたルールのもと、自己判断をしながらも一体となって仕事ができるようにしてあるのです。

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ここまでは、産業界のお話でした。私は、カサンドラ症候群に陥っている人たちが、家庭やカップルにおける「パーパス」を話し合う機会が必要だと考えています。

つまり、二人の関係性における私の「存在意義は何なのか?」です。もしくは、二人という一つの組織が向かう方向性はどこにあるのか?です。ASDの人からすると、とても難しいテーマでしょう。哲学的に心の内側に入っていくからです。語ることを避けるASDは多いと思います。だって、具体的ではないから。でも、感情的になるのではなければ、もしかすると乗ってくれるかもしれません。

あるカサンドラさんの事例です。

彼が自分と目を合わせない、食事の時にはスマホゲームをしながら食べるから、一緒にいても存在価値がないという気持ちになりました。どんな主張をしても、相手の価値観に沿わなければ却下されますし、否定され続けると「自分は間違っている」と思わずにいられません。長い間そうされているうちに、自己肯定感は低くなっていきました。

カウンセリングに来られた初めての回で、私は「あなたの判断は間違っていない、あなたの考えは素晴らしい」と言いました。それぞれに持っている価値観に、正しい・正しくないなんてありません。あなたは少し”洗脳”されているようですね、と申し上げました。そのことがきっかけとなり、カサンドラさんは元気になっていきます。自分はこのままでよいのだ、と思えると、人は生きるエネルギーを得るのでしょう。

そして、ペアカウンセリング時に彼女はパートナーに質問しました。

「私は、あなたにとってどのような存在ですか?」

するとパートナーから驚いた答えが!

「よい夫婦になれると思っている」と。

いつものように、内面的な話題は沈黙してスルーされて終わり、と考えていた彼女には意外だったようです。

さらに、では夫婦ってなんだろう?と次の質問が浮かびます。それには「わからない」と返ってきました。でも、私は今までの経緯を知っているので、よくぞ少なくとも「いい夫婦になる」と答えることができた!と心から拍手をしました。だって、パートナーの思いが妻にあることを私は知っていたからです。表現する能力に特性があって、うまく言えないのです。

”ASDは感情がないから人を好きにならない”と、定型発達の人は考えがちです。でもそうではありません。大事だと、好きだと思っているのです。でも、さまざまな特性がじゃまをして、思ってもみないことを言って反感を買ったり、一般的な愛情表現ができない場合も多いのです。そこを理解しておかないと、パーパスがないから彼にとって自分はいなくてもよい存在なのだ、と思ってしまうかもしれません。二人だけだと、素直に言えないASDも、カウンセリングの場では表現してくださることが多いので、私はパーパスを尋ねることにしています。

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