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理想のマーダーミステリー劇

私事ではございますが、むしろいつも私事ではございますが、先日、マーダーミステリー劇『Love Letter for You』の再演5公演が終了いたしました。

初演に続いて大変楽しい舞台だったんですが、今回、前回よりも会場がコンパクトになり(今回の会場が狭かったというより、前回の会場がめっちゃ広かったって感じです)一番後ろの席からでもお客様の反応をダイレクトに受け取ることができました。

お客様にめっちゃ笑って貰えているんですよね。結構どの回も。

本望というか、これをやりたかったと思っていたので、かなり嬉しかったです。軽率に泣きそうになりましたが、グッと我慢の3日間でした。

マーダーミステリーは「所詮コメディ」という持論

マーダーミステリーはストーリー性のあるゲームで、そこには感動や感傷もあるかと思いますが、キャラクターシナリオは用意されているものの、いかんせん、台本があるわけではなくその展開はまちまちです。

盤外から感動的な動画を差し込んだり、案内役のスタッフがエモーショナルなフックを提示したりはできますが、コンテンツの根幹を成すゲーム性やプレイヤーの自由度を担保するほど、エモーショナルな部分は担保できなくなる(矛盾が生まれる)ジレンマを孕むコンテンツとなります。

加えて、プレイヤーは必ずしも演技や台詞回しに長けているわけでもなく、たとえ、演技に長けていたとしても、シナリオの読解力や感受性もまちまち。そこに、推理というまた違う頭を使うわけですから、ただでさえ「まちまち」なプレイヤーたちの紡ぐストーリーには、以前も書きましたが「シリアスな笑い」が生まれ、結果的に「コメディ」になってしまうのです。

故に私は、エモーショナルなものを加えたりもしますが、プレイヤーの中に心情や自らのプレイングとのアンマッチが起きないようにエモーショナルな部分は主とせず、マーダーミステリーをあくまでコメディとして捉え、それを主として組み立てることで、議論の活性化を狙うわけです。

観せるなら「わかりやすい楽しさ」が必要

『Love Letter for You』にて、村井さんや高崎さんに脚本・演出をやっていただいて本当に良かったなと思うのは、彼らはハナからマーダーミステリー劇をコメディで挑もうとしてくれていたことです。

私の意図を汲み取っていただいたのか、プロとしてシナリオからマーダーミステリーのコメディ性を感じ取ったのかは分かりませんが、挙がって来た初稿からコメディ作品となっていました。

私もいくつか、他のマーダーミステリーの舞台やプレイ動画などを拝見しましたが、舞台に至っては「演者に丸投げ」、プレイ動画については「ただゲームをしているだけ」という印象のものが多いと感じていました。

村井さんと高崎さんは、ちゃんとプロローグの部分を舞台劇として作ってくれて、ゲームの部分を損なわない範囲で、作品全体の流れも考えてくれました。

演者の皆さんは、当日リハーサルで導入部分の最低限の立ち回りと台詞を共有し、他はマーダーミステリーですからアドリブで対応します。最後に手紙を読むシーンなどもリハーサルで説明がされますが、詳しい話は全くしないので、演者はほぼ何も知らずに舞台に臨みます。

そこを動かすのは2人のゲームマスターです。ゲームマスター2人は、プレイヤーとなる演者の分まで台詞と立ち回りをかなりの量覚えて、ゲーム部分以外の場のすべてを回していきます。ゲームマスターのやりとりは、まさにコメディ。この演出で「マーダーミステリーはコメディである」という認識を観客に植え付けることに成功しているようにも感じました。凄い。

そして、これは企画当初からのコンセプトですが、最後にはコメディだけでは終わらないちょっとしたサプライズ&エモーショナル、そして、これは勝手に私が挿入した(私が一番やりたかった)「驚き」で幕は閉じて行きます。

お客様全てに楽しんでいただけているかは分かりませんが、演出としては全てが上手く行っていて、ものすごく綺麗なラインを描いていると思います。

私にとって、これは「理想のマーダーミステリー劇」になっていると思うのですが、いかがでしょうか?

すべてが伏線

余談ですが、最近「霊媒探偵 城塚翡翠」というドラマにハマっていまして。

ドラマの前半(medium)では、第一話から「すべてが伏線」というキャッチフレーズが出ていましたが、まさに『Love Letter for You』も「すべてが伏線」です。

というか、私のマーダーミステリーは恐らく、すべてが「すべてが伏線」になっているかと思います。推理させるってそういうことじゃないのかなって。

すべてが伏線の『Love Letter for You』
再演のアーカイブも12/2より配信が開始いたしますので、ぜひ、ご覧いただければ嬉しいです。

よろしくッス!

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