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【連載エッセイ】神様に会いにいく

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古事記の神様の物語をひもときながら、京都の神社をめぐるエッセイです。※2016年から約1年間ウェブマガジンKosmagで連載していたエッセイの再掲載です。
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#小説家日常

神様に会いにいく vol.5 神様オールスター(日向大神宮②)

神様に会いにいく vol.5 神様オールスター(日向大神宮②)

vol.4からずいぶん更新が間が開いてしまいました。この原稿は過去にKossmagというメディアで連載していたものの再録なのですが、なんとこのvol.5だけ原稿がどこかにいってしまって見つからなかったのでした。しかし、写真だけは残っている。もう一度書くのが大変なので往生際悪くあれこれ探していたのですが、ようやく諦めました。書きます。ここさえ乗り切れば、あとは原稿があるのでサクサク更新できるはず!

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神様に会いにいく vol.6 ツキヨミノミコト(月読神社)

神様に会いにいく vol.6 ツキヨミノミコト(月読神社)

なんとvol.6も原稿がなくなっていたので、写真を見ながら思い出し書きをしようと思います。次に訪れたのはここ! 京都の西にある松尾大社。

祀られている大山咋神(おおやまぐいのかみ)はスサノオの孫ということで様々な霊験あらたかな神社で特にお酒関係で有名ではありますが、今回の目的は松尾大社ではなく…

神社より団子…(※この連載はすべて自撮りです)

ではなく…

松尾大社から少し離れた摂社「月読神

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神様に会いにいく vol.7 イザナミノミコト(熊野神社)

神様に会いにいく vol.7 イザナミノミコト(熊野神社)

前回までの連載で、アマテラス・ツキヨミノミコト・スサノオの三姉弟に会えたので、次は彼らの母であるイザナミノミコトに会いたくなった。

日本神話の中で、イザナミほど壮絶な人生、いや神生を歩んだ神はいない。イザナミはイザナギと夫婦になって多くの神々を産んだが、火の神を産んだときに陰部に火傷を負って苦しんで死んでしまった。

そのとき、イザナミは苦しみのあまり尿や便や吐瀉物を漏らすのだけど、なんと、その

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神様に会いにいく vol.8 神さま=仏さま?(新熊野神社)

神様に会いにいく vol.8 神さま=仏さま?(新熊野神社)

イザナミノミコトに会いにいこうと思い、調べてわかったもうひとつの神社が「新熊野神社」。新と書いて「いま」と読みます。熊野神社のニューバージョン? と一瞬思ったのですが、そうではなく、熊野に34回も参詣するほど熱心な熊野信仰者である後白河法皇が自分のお寺を守る鎮守社として創建し、紀州の熊野に対して「新」熊野神社と名付けたそうです。

はい、さらっといろいろややこしいことを書きましたが、おいおい少しず

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神様に会いにいく vol.9 火の神 カクヅチノミコト(愛宕神社)

神様に会いにいく vol.9 火の神 カクヅチノミコト(愛宕神社)

イザナミノミコトは数々の悲劇にみまわれながらも自分らしさをつらぬいたが、「らしさ」を発揮することもなく死んでしまった神様がいる。火の神カクヅチノミコトだ。

vol.5でも説明したように、イザナミはこのカクヅチを生んだせいで火傷をしてしまい、それが元で弱って苦しんで死んでしまう。悲嘆にくれたイザナギはカクヅチを切り殺してしまう。カクヅチは、母を殺し、父に殺されてしまうのである。

火は人間にとって

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神様に会いにいく vol.10 水の神 タカオカミ神(貴船神社)

神様に会いにいく vol.10 水の神 タカオカミ神(貴船神社)

突然ですが、電車に乗ります。

この叡山電車はその名の示すとおり、京都の北東にある比叡山方面に向かう電車。
途中までは街中を走るけれど、だんだん山の中に入っていく。約30分後、「貴船口駅」で降りたらそこは川のせせらぎと緑に包まれる別世界。
ちょっとした小旅行気分になれるのです。

毎日たくさんの観光客が京都にやってくる。京都という町は、きっと、少し特別なことが起こりそうな、ちょっとだけ自分が変われ

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神様に会いにいく Vol.11 イワナガヒメ(貴船神社)

神様に会いにいく Vol.11 イワナガヒメ(貴船神社)

というわけで、前回の続きです。本殿をあとにして奥宮へ向かいます。

貴船は夏は川床料理、冬は牡丹鍋が楽しめる有名な料亭街でもあります。が、目もくれず奥宮を目指すわたくし。

いつかここで川床料理食べたいなあ…と考えていたら急激にお腹が空きました。

腹が減っては取材はできぬ。貴船には料亭だけでなく、お蕎麦屋さんやカフェもあります。二階の窓から川を眺めながら食べるお蕎麦は格別。でんべさん。

さて、

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神様に会いにいく Vol.12 オオヤマツミ神(梅宮大社)

神様に会いにいく Vol.12 オオヤマツミ神(梅宮大社)

※この記事は2016年12月に書いたものです。

突然ですが、わたくし、香港旅行に行ってきました。

香港の人々は、見た目は日本人とそんなに違わないけれど、言葉や文化や食生活がいろいろ違う。でも、どこの国にも神様がいて、大切に祀ってお願い事をしたりするのは一緒だなと思った。

香港の寺院では長いお線香を大量に焚いてお供えしていた。
原色なのに悪趣味ではない、不思議な配色。日本の神社とよく似た狛犬が

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神様に会いにいく vol.13 ヒコホホデミ尊(火尊天満宮)

神様に会いにいく vol.13 ヒコホホデミ尊(火尊天満宮)

※この記事は2016年12月に書いたものです。

本日の主役は、ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの息子「彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)」です。

vol.11で紹介したこの夫婦は後に天皇の系譜につながっていくためエピソードもなかなか豊富です。

ニニギと結婚したコノハナサクヤヒメは子を宿すのですが、一夜でみごもったため、「本当に俺の子か? 他の神の子じゃないのか」とニニギに疑われてしまいま

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神様に会いにいく Vol.14アメノオシホミミ尊(許波多神社:木幡)

神様に会いにいく Vol.14アメノオシホミミ尊(許波多神社:木幡)

※この記事は2016年12月に書いたものです。

前回はニニギの息子、海彦山彦のエピソードを紹介しましたが、話を少し遡り、今回はニニギの父・アメノオシホミミが主役です。

というのも、ニニギ尊がアマテラス様の孫ということはわかったけれど、ニニギ尊のエピソードを知れば知るほど親の顔が見てみたいという気持ちになりまして、調べたら、天之忍穂耳(アメノオシホミミ)尊という神様がお父さんでした。

つまり、

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神様に会いにいく Vol.15 神様に会いにいってわかったこと

神様に会いにいく Vol.15 神様に会いにいってわかったこと

※この記事は2016年12月末に書かれたものです。

早いもので、2016年最後の連載になりました。

連載が始まったのが2016年9月6日。そこから4カ月も経っていないのに、ずいぶん遠くまで旅をしたという感じがする。何年も海外旅行に行ってあちこちの諸国をめぐって帰ってきたような気分なのです。

実際に、12社の神社を回り、それ以上の神様に会ってきたわけだから、訪れた場所は結構多い。

いろんな発

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神様に会いにいく vol.16 アメノオシホミミ尊ふたたび(許波多神社:五ヶ庄)

神様に会いにいく vol.16 アメノオシホミミ尊ふたたび(許波多神社:五ヶ庄)

※この記事は2017年1月に書いたもの…を再現しようと試みたものです。

ま、またしても原稿消失してしまっていました。vol.16のファイルにvol.17の記事を上書きしていたみたいでね…。はあ。というわけで、写真だけは残っているので記憶をたどりながら2020年のわたしがvol.16の再現を試みます。

vol.14でアマテラスの息子神アメノオシホミミに会いに許波多神社を訪れましたが、実は同じ名前

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神様に会いにいく Vol.17 スサノオ命の娘神たち(宗像神社)

神様に会いにいく Vol.17 スサノオ命の娘神たち(宗像神社)

※この記事は2017年1月に書かれたものです。

vol.14とvol.16では、アマテラスとスサノオの姉弟対決で生まれたアメノオシホミミを紹介しました。このとき、アマテラスのほうには息子神が五柱、スサノオには娘神三柱が誕生したわけですが、今回はスサノオの娘神たちに会いにいってきます。

スサノオの娘神たちは、

多紀理毘売命(タキリビメのみこと)
市寸島比売命(イチキシマヒメのみこと)
多岐都比

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神様に会いにいく Vol.18 ウガヤフキアエズ尊と三柱鳥居(木嶋坐天照御魂神社)

神様に会いにいく Vol.18 ウガヤフキアエズ尊と三柱鳥居(木嶋坐天照御魂神社)

※この原稿は2017年1月に書いたものです。

どうもー、寒竹です。

いやいや、毎日毎日寒いですね。
(※自撮り写真がいつも同じパターンになるので模索中です)

今回は粉雪が散らついている中、こちらの神社にやってきました。

木嶋坐天照御魂神社。このしまに、ます、あまてるみたま、じんじゃ、と読みます。通称は木嶋神社。蚕の社(かいこのやしろ)とも呼ばれています。

どうせ顔しか写らないし、と思って

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