寒竹泉美

京都在住の小説家です。医学博士(京都大学)です。理系ライターもやっています。 お仕事や活動履歴などはHPにあります。 https://kanchikuizumi.amebaownd.com/

寒竹泉美

京都在住の小説家です。医学博士(京都大学)です。理系ライターもやっています。 お仕事や活動履歴などはHPにあります。 https://kanchikuizumi.amebaownd.com/

マガジン

  • 毎日小説家でいつづけるための執筆してなくても日記

    小説家なのにライター仕事ばかりに追われている。それでも小説家でいるためにどうすればいいんだろう。仕事をしながら小説を書いている人に読んでほしい日記。

  • 短い小説いろいろ

    公開OKの短い小説をいろいろ集めました。また発掘したら随時アップします。

  • 小説の書き方の教科書のようなもの

    小説を書いてみたいけれど、どうしたらいいかわからないという人のためのヒントになれば幸いです。有料マガジンにしようかなと思ったけれど、たくさんの人に読んでもらいたいので無料にしておきます。 もし興味が湧いたら、わたしの作品の方も読んでくれたら嬉しいです。

  • 【連載小説】ちょうどよいふたり

    日本リフレクソロジスト認定機構会報誌「Holos」で連載中の連作短編小説です。1年に3話更新されます。作中の人物も4カ月ごとに成長していきます。

  • 毎日小説家でいつづけるための執筆日記

    毎日小説を書けなくても、毎日小説について考えたり取り組んだりすることはできるんじゃないか。まずはそこから始めようと思いました。執筆や思考の記録です。

最近の記事

  • 固定された記事

2023年の仕事と創作を記録したよ!

振り返り記録をつけるの大変なんだけど、自分の励みになるのでやっておく。今年もたくさん書いたし、いろいろな人とお仕事しました。本当にありがとうございます。書くことを仕事にできて、本当に幸せ。 今回の日記は、去年から継続の仕事は「◆」、2023年新規の仕事は「★」にしてみました。新しいお仕事が13件。継続が15件。半々でちょうどよいバランスかも。新規も継続もどちらも有難いです。お世話になりました。 書籍★『思い出せない脳』澤田誠・著(講談社現代新書)  著者ではなくブックラ

    • 短歌教室体験をして、小説・エッセイにしかできないことは何か、考えた。

      日曜日。ご縁があって友人の歌人・高田ほのかさんのオンライン短歌教室に体験参加した。短歌は鑑賞するのは好きで、自分が詠んでみるのも好きなんだけど、下手の横好きというか、なんかもう上手くいかない。 わたしの好きな短歌は驚きがあったり化学反応があったり情景が詰まっていたりするのに、わたしが詠むと小説やエッセイから31文字抜き出したような薄さ。短歌としては、すかすかだ。そして説明臭い。飛躍しない。異質なものが出会う発見がない。 まあそんなわけで、ある意味、短歌コンプレックスなのだ

      • 【短編】ブルード・パラサイト

         二十三年ぶりに松野雪子を見かけたのが、安いファミリーレストランなんかでなければ、絶対、話しかけたりなんかしなかったと思う。別に高校のときも仲良くなかったし、向こうは覚えていないだろうし、そもそも高校生のときから十キロは太ったし老けたし、不審者と間違えられてもおかしくない。なのに、わたしは、ひさしぶり、とか。なつかしいね、とか。覚えてる、とか。なんか適当なことを言いながら、あ、ごめんわたし、高校で同じクラスだった木村裕美、今は結婚して小島裕美なんだけどね、と、一人で座っている

        • 物語の終わり方

          小説講座をすると、毎回出てくる質問に「物語の終わりはどうすればいいんですか?」というものがある。いつ終わらせるのか、どうやって終わらせるのか、終わり方はどうすればいいのか。そう聞かれるとわたしは毎回一応真面目に考えてはみるのだけど、口から出てくる言葉は「よくわかりません」になる。わたしも毎回、どうやって終わらせればいいんだろうと思いながら、途方に暮れているからだ。 しかし、毎回聞かれるわけだし、曲がりなりにもわたしはたくさんの物語の終わりを書いてきたわけだし、もうちょっと真

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        2023年の仕事と創作を記録したよ!

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        • 毎日小説家でいつづけるための執筆してなくても日記
          11本
        • 短い小説いろいろ
          11本
        • 小説の書き方の教科書のようなもの
          14本
        • 【連載小説】ちょうどよいふたり
          36本
        • 毎日小説家でいつづけるための執筆日記
          58本
        • 考えていること
          112本

        記事

          第36話(最終話) 父の足と天国|2024年9月

           父の足に触れたのは、何年振りだろうと果穂は思った。硬くて乾いた大きな足だった。ほんのりぬくもりがあって、木の肌のようだ。しかし枯れ木ではない。水を吸い上げている生きた木だ。  リフレクソロジーのセラピストとして何人もの足に触れてきたのに、血を分けたこの世でたったひとりの父の足については、これまできちんと見たことはなかった。  これは、生前葬の一貫だ。「本当に死ぬときは、入院したり介護をされたりするのだから、リアリティを高めるために、果穂に介護ならぬリフレをしてもらうべき

          第36話(最終話) 父の足と天国|2024年9月

          なぜ、noteを書けないのか。

          前回の日記は5/21だった。なんと3か月以上もnote日記を書いていない。その代わり、SNSでは盛んにつぶやいていたし、スレッズに作った着物のことだけ呟くアカウントは毎日何度も投稿している。 原因のひとつは着物にはまったことで。いつもなら気分転換にnoteでも書こうかなという時間がすべて、着物をいろいろ組み合わせて着てみたり、片付けたり、小物を作ったりという時間に変わっている。 そして小説を書くためにちょっとだけ仕事を減らした分、デスクに張り付いていない時間が増えている。

          なぜ、noteを書けないのか。

          第35話 終わりと始まり|2024年5月

           幸彦の左の薬指には指輪が光っている。指輪をつける習慣なんて今までなかったから最初のうちは慣れなかった幸彦だったが、今はもうつけていることを忘れるくらいだ。結季と籍を入れて一緒に暮らし始めてから四か月が経ったけれど、もう四か月かという気もするし、まだ四か月かという気もする。何だか中途半端な気分だった。  それなのに、いまだにいろいろな人に「おめでとうございます」と言われて、こそばゆい。室田の撮った幸彦たちのウェディングフォトが写真の賞を獲ってしまったものだから、会社の人たちだ

          第35話 終わりと始まり|2024年5月

          わたしには似合わないからという言い訳を封じると、その先にある「好き」と「やりたい」が見えてくる

          一時期、パーソナルカラー診断にはまって、YouTubeを見たりネットの記事を読んだりして、自分に似合う色を探したことがある。その結果、どうやらわたしは「サマータイプ」なのではないか、と自己診断した(※自己診断では間違うこともあるらしいので、要注意)。 サマータイプってのは、やさしめ、くすみ系、スモーキーな色が似合う人。要は、あじさいのような色ですよ。で、サマータイプは、パキっとした原色系が似合わないらしい。赤、金、黒、白とか。あと、くすんでないピンクとか。 わたしはそうい

          わたしには似合わないからという言い訳を封じると、その先にある「好き」と「やりたい」が見えてくる

          10年後の自分をビジュアル化してみると、良さそうな気がする

          いろんな人の「将来」を聞くのが好きだ。誰かに会うと、今後どうするの?と聞いてばかりいる気がする。人の将来ヴィジョンを聞くと、自分の想像力が広がっていく。ヴィジョンは誇大妄想とか実現できそうにない夢とかでもいいし、今の延長線上のものでもいい。目の前にいる人の違う可能性が立ち現れてくるのが、とても面白い。 ライター仲間として知り合って友達になった堀香織さんが、6月に、京都の川端仁王門に日本酒サロン「粋」をオープンする。たったひとりで。東京でライター・編集者として長らく働いてきて

          10年後の自分をビジュアル化してみると、良さそうな気がする

          ほどほどに真面目な人にだけ効く、創造性を高める裏技

          タイトルがわたしにぴったりと思って読んだ。2013年の本。Amazonでは新品価格が高騰しているが、定価は1200円。薄い本だ。スタンフォード教授って書いてあるけど、別に研究成果とかではなく、スタンフォードの教授でも締切守れず先延ばしするんだ~という意味では心が軽くなる本ではあった。 前からうすうす気が付いていた。最も億劫なやりたくないことがあると、2番目、3番目、4番目の優先順位の億劫なことがどんどん片付いていく。ブックライティングの原稿は軌道に乗るまでが大仕事なので気が

          ほどほどに真面目な人にだけ効く、創造性を高める裏技

          小説家でいられる場所を作ってみた

          4月1日。毎年嘘をつくべきか、スルーすべきか、ちょっと悩んで落ち着かない。そして、結局、毎年、何もしない。そろそろ昭和の遺物として滅びてもよいのではないか、エイプリルフール。 朝からオンライン取材をし、音源をAI文字起こしにかけながら、金曜日に取材した音源の聞き直し、AI文字起こしされたテキスト原稿に小見出しを入れていく。 行き詰ったので、ジムに行く。自転車をこぎながら、原稿を構成する。スポーツバックを担いで、ジムに向かって歩いている過程で頭が整理されたのか、道筋が見えて

          小説家でいられる場所を作ってみた

          第34話 未来とぜんざい |2024年1月

           本当に心の底から「わかる」ことなんて、しょっちゅうあるわけではない。心の底からわかるというのは、人から聞いたり本を読んだりして知っていることとは全然違う。外からインプットされるのではなくて、自分の内から突然湧き出してくる。それが既にどこかで何度も聞いた知識だったとしても、内側から湧き出たとたんに、全く新しい、この世に初めて生まれ出たものとなる。それは悟りを開くという感覚に近いのかもしれない。そんなふうに何かをわかったとき、人は興奮して、同時に深い喜びを感じるのだろう。 …

          第34話 未来とぜんざい |2024年1月

          自分の森で小鳥を見つける――表現したいものがないと落ち込む前に、やるべきこと

          異文化を運んでくるのは、いつも友人だ。ひとりでは興味を持てないことでも、友人が好きなものやはまっているものなら興味が湧く。友人の好きなものなら、わたしも好きになれそうな気もするし、とりあえず好きになれるかどうか一度は試してみようかという気にもなる。 本も、音楽も、カメラも、ライフスタイルも、考え方も、食べ物も、遊びも、ファッションも、わたしが気に入っているほとんどのものは、誰から影響を受けたのか、全部説明できる。誰からの影響も受けずに自らやりたくてやり始めたのは、小説を書く

          自分の森で小鳥を見つける――表現したいものがないと落ち込む前に、やるべきこと

          そろそろ人生という締切が迫ってきたから哲学する

          最近、哲学が面白い。哲学を学ぶと、どうしたら自分にとってより良い人生を生きられるかを考える手がかりを見つけられる。一度しかない人生だから、人生が終わる前に解きたい。そして人生が終わる前に、それを実現したい。そう考えると、哲学は超自分ごとの大問題じゃないか。 なぜ今頃になって「より良い人生」みたいなことがわたしの中で問題になっているかというと、これまで信じていた説が次々崩れてなくなってしまったからだ。 もともと世間で言われる一般的な幸せ仮説には抗ってきた方だ。たとえば、「結

          そろそろ人生という締切が迫ってきたから哲学する

          毎日小説を読んだら変化したこと

          2024年になってから、毎日小説を読んでいる。小説家なんだから当たり前じゃないかって思うかもしれないけれど、恥ずかしながら、今までは全然できていなかった。ライター仕事の資料として読む本に追われて、小説から遠ざかっていた。 まとまった時間ができたときに落ち着いて読もう、と思うのをやめて、細切れでもいいから、読んだところを忘れてもいいから、少しでもいいから読む、ということを始めたら毎日読めるようになった。スマホアプリで漫画を読む時間とか、SNSをボーっと眺める時間とか、ネット動

          毎日小説を読んだら変化したこと

          少しずつ自分のための時間を増やしていく

          1冊本を書き上げるような大きな原稿は、動き出すまでがとても重たい。一度書き始められると、ごろごろとその重さに従って動いていくのだけど、いったんストップすると、また動かなくなる。 ここ最近ずっとブックライティングの仕事を順番にやっていて、2月に入ってからはそのために全部時間をとっていたのだけど、少しずついろいろな仕事が割り込んできて、なかなか書き出すことができなかった。ようやく1日中執筆だけできる日が数日取れて、進んだ。でもまた出張仕事が入って、止まった。どうにかこうにか、昨

          少しずつ自分のための時間を増やしていく