第33話 有言実行とわがまま
シャンデリアの光る広い会場には丸いテーブルがいくつも配置され、その周囲に人が座っている。それが何だか湖に浮かぶボートのようだと思いながら、果穂はステーキ肉をほおばり、赤ワインを一口飲んだ。そして、同乗者たちの顔をちらりと見る。視界に入るのは知らない顔ばかりで、遭難したような気分だ。隣には幸彦と結季がいて、彼らだけが唯一の知り合いだったが、自分たちの結婚式を控えたふたりは、招待客というより探検隊といった感じで、披露宴の様子を観察している。そして、何かの演出が行われるたびに、こ