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辛い時どうやって生き抜く?


この文章の概要:自然に心を向けることは、実は社会性を育む根底。人の声や文章、音楽や詩にも私は救われた。人類が脈々と受け継いできた知恵と知識はこの世界の宝。
〈記録する事は人類の知恵に貢献できると信じています。生々しいですが、人生は生々しいものなので、きれいに書いたら記録とは言えません〉

目次
・恋愛 vs 結婚
・自然の偉大な力
・美しいを受容できる瞬間が必ず来る
・北西憲二医師
・彼のお父さん
・ADK台湾の佐久間さん
・伊勢達郎氏
・鴎外の『舞姫』
・恋愛と仕事は別の世界線ではない


こんな香港でそれでも希望を持ちたいと、薄氷を踏む思いでなんとか生活していたけれど、同時にこれからの日本での生き方について良い解決法が彼と探れず、半年前に別れてしまった。コロナで三年近く会っておらず最悪のオンライン離別だった。私は結婚に負けたという敗北感と、それが原因で彼の愛情を失ってしまった悲しみに暮れた。私にとって「個人の愛情が制度や世俗の常識に負ける」事は究極の悲しみだった。こういうことに拘った自分そのものを否定したくなってしまうほどで、ひたすら彼の愛を取り戻したかった。

毎晩バスに乗りながら泣いた。友人とたくさん話しても、どんなに刺激的で楽しい事をやっても、その後心底落ち込んでしまい心に楽しい事を受け入れる隙間がなかった。

日々辛さが増すのでこれから自分はどうなってしまうのか、この爆弾を抱えながら生きるのはあまりにも過酷すぎる。もうどこにもいたくなかった。彼と過ごした全ての場所、東京、横浜、静岡、長崎、香港、イタリア、大好きな場所は全て辛い場所に変わってしまった。お互いの家族とも仲良くしていたので、彼の両親も含めて全ての家族を失った酷い感覚に襲われた。幸せなこども時代の思い出すらトラウマになりそうだった。

せめて、毎日綺麗な村の空や山を見たり、たまに島に住む友人を訪ねて海を見て、自分を癒してあげようと頑張った。最近はひたすら読書をしたり英語の音楽を聴いて香港や日本ではない他の場所の暮らしに思いを馳せていた。



……ここ一週間くらい、ふと、水が流れてくる様に心がそのきれいな風景を受け止め始めた事に気がついた。空っぽな心にどんどん美しいと感じる感情が満ちてきた。
この間夜に旺角に行って、涼茶鋪に座って久しぶりに街の明かりを見た。その時「香港きれい、大好き!」と心の底から思ったのだ。ここ数年の香港、悲しみの方がたくさんで、香港きれい大好き!だなんて、もう長い事感じなかったのに。



👆これがこの半年で私の身に起こった大きな変化。もちろんここに至るにはたくさんのきつい道があり渦中で自分はどうやって生きてていけばいいのか苦悩していた。
その中で私の悩みに答えてくれた複数の言葉はとても実践的で凄みがあった。

○東洋思想やマインドフルネスを重視したカウンセリグをしている北西憲二精神科医
「あなたの性格を考えると、こんな辛い事はもう二度と起こらない、これを乗り越えたら本当に強く、芯の強い人間になれる。今は何をやっても辛いだけだろうから、とにかく彼を心の底から恨み抜きなさい」
と、彼のいる前で言ってくれた。そうよ、こんな辛い事二回もあってたまるか。でも、この言葉を聞いて自分がどん底だと客観視できたのは本当に良かった。私が昔からずっと知りたかった人の一生のスケール感がわかったからだ。

○彼のお父さん
「辛い時はその辛さから逃げてはダメです。あなたは変わる必要はありません。だだ辛さに立ち向かってください。めんどうな仕事を後回しにするのと同じで、辛さは常に追いかけてきます」

○ADK台湾CEOの佐久間さん
「辛い事を経験してそれを乗り越えたら確実に次のステージに上がれます。自信を持って頑張って!」

○徳島の自然スクールトエック代表の伊勢達郎氏(こちら伊勢さんの文章を読んだ)
「ひとりでいることができて、はじめて人は2人でいる(協調する)ことがでいるといえる。ひとりでいることを温かく見守られる共感の中でこそ、真の協調性も育まれるのだ。」
「現代社会はただ在ること(Being)を認めず、すること(Doing)を強迫し続けるのだ。それはゆったりと「今」という瞬間を味わう豊かさの本質を奪う。
みんなといてもひとりぼっちでさみしい自分から、ひとりでいても皆と共にいる安心感へ。走りつづけることから立ち止まり、今を感じるゆとりを。」

○静岡の友人がなぜ鴎外が『舞姫』を世に出したかったのかを話してくれた。
「自分を最悪な男に設定し、愛する人と一緒になる事を許さなかった社会への怒りを当時の日本人に強制的に見せつけた。今私達が読んでも胸糞悪すぎ文学の金字塔だけど、それは今だに鴎外の呪いと狙いが効いているということ」
人は社会と離れては生きていけない、残酷なことも多いけどこれが現実。しかし何よりもこれまで日本人の殆どを不快にさせてきた『舞姫』の巧みな仕掛けには感動した。これが文学の力…。 


自分の事を人に伝えるのは体力がいるけれど、心を許せる人達に相談できたことで、この半年いろんな人の悲しみにも気づくようになった。これまでの私が知らなかった「暗い世界」にようこそ!だった。

人生は複雑で、生きれば生きるほどややこしくなる。これは絶対に避けて通る事ができない。でも私はその事をもう知ったから、これからはもう少しうまく生きていける気がする。伊勢達郎さんの言う通り、相手に心の依存をせず、本当の意味で自立して生きることができていればなんとかなると思う。金銭的に独立してお金で依存しなければ基本的には大丈夫でしょと思っていた私は甘かった。人の心は理性では処理できない複雑な化学反応を起こす。

また、恋愛と仕事はとても繋がりが強く、この二つを別の世界線で考えると必ず破綻する。仕事や自分のやりたい事に注力する体と、彼と一緒に家族を作って暮らす体の二つあればいいのにと不毛な妄想もした。でも人一人の人生は一つしかなく有限なのだ。


今、とても気が楽になってたくさん楽しい事をしようと思える様になった。もちろんトラウマは簡単に消えてはいかないけれど、それでもかなり良くなったんじゃないかな!

諦めずにここに来ることができた事を褒めたい。よく頑張った自分。よし、彼氏つくるぞ。(えー!)

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