コルドン・ブルー 4月の料理会
父の営む日本料理屋の常連さん主催で
料理を振る舞わせてもらう会も、早くも4回目。
昨年夏に初回スタートし、それから私が日本にいる間は
コンスタントに開催させてもらっている。
今こんな状況下の中で、
もちろんしっかり感染対策はしつつ、
「新しい美味しい」
をお届けできたらいいな、
少しでも心と身体の栄養と活力になったらいいな、
という気持ちで作らせていただいていて、
まだまだ修行の身だけれど、素敵な機会をいただけて
本当にありがたい。
開催時期が毎度違ったこの1年間、
旬を考えながらのメニュー作りは
大変ながら、わくわく楽しかった。
休み返上でのこの料理会、
最初の1~2回は父とコラボ料理も出していたが、
いつしか父はサッと引いて、
当日のアシスタントに徹してくれた。
(「昼間ゴルフ行くから!」という理由が始まり)
私一人でやってみろという、
挑戦をくれたのだと思う。
普段の仕事をこなしながら、家のことをやりながらの
メニュー考案から試作、そして当日を迎えるまでの間は
正直なかなかの重労働だ。
朝仕事前に試作、
昼の休憩時間に試作と試食、
夜に試作と試食
と、
全てを平行して、仕事に支障が無いレベルで
でも、力と想いを込めて、
決して妥協はせず(できず)
作り上げた料理は、毎回愛着の湧くものとなる。
舌の肥えまくった常連さん方だから、
毎回当日お出しする時はド緊張で。
素直な感想を言ってくださるし、
逆にそんな方たちから
「おいしい!」のお言葉をいただけたときは
思わず胸をなでおろすと共にガッツポーズしたくなる。
4月も初旬。
今回は春の恵みをたっぷり詰め込んだ
創作コースとなりました。
≪AMUSE 口取り≫
蛍烏賊のタブレ
今が旬の蛍烏賊は
身がぷりっぷりの富山県産のものを使用。
フランスでは馴染みのあるクスクを使ったサラダ、
“タブレ” に合わせ、
鰹出汁や米酢を使って和仏融合な一品に。
≪Entrée 前菜≫
鰹のたたき ガーリック柚子ソース
筍の味噌漬け
鴨軍かん
うどのレムラード
しらすのコンフィブルスケッタ
山菜の天ぷら
前菜は6種盛り合わせて
旬をたっぷり感じられる一皿に。
父がたたきにしてくれた初鰹は、
にんにくにオリーブオイル、柚子を効かせた特製ソースで。
初めての感覚!と喜んでいただけた一品。
筍は味噌床に漬け込んでグリルで香ばしく焼いたもの。
ほんのり味噌が香って、
木の芽の香りもまた春を感じられる。
燻製にした合鴨をマスタードや出汁醤油などで和え、
酢飯に乗せて軍かん風。
レムラードはフランスの家庭料理で、
根セロリをマスタードマヨネーズで和えたサラダ。
根セロリの独特な清爽感とほろ苦さと灰汁強さを
今が旬のウドで代用し、小柱も入れたサラダに。
大好評。フランスらしさも味わえる一品。
しらすはじっくりコンフィにし、
カリっと焼いたバゲットに乗せた
まさにお酒のアテ。
レシピを聞かれるほど、気に入っていただけた。
ふきのとうとタラの芽は今まさに時期。
これらの天ぷらは、プロ(父)にお任せ。
≪SOUPE スープ≫
新にんじんのポタージュ 燻香カプチーノ仕立て
甘い新にんじんをポタージュに。
鶏の骨から出汁を取り、味付けは塩のみ。
添加物は一切ゼロの体に優しいスープ。
その柔らかな甘みは、
「かぼちゃスープみたい!」
と言われるほど、癖のない味。
燻製の香りをじっくり移したミルクを
ほわっと泡立ててカプチーノ仕立てにした
私もお気に入りのスープ。
≪POISSONS 魚料理≫
鰆のアクアパッツァ 春の香り
脂の乗った鰆と身が大きくなってきたあさり。
素材がおいしいから
シンプル調理の方が絶対おいしい。
本来の旨味を生かしつつ、
隠し味に日本の三大魚醤、石川県のいしるを使用。
スープまでおいしいと好評だった一皿。
≪VIANDES 肉料理≫
コルドンブルー 爽やかバジルソース
春豆のエチュベ
フランス定番料理、コルドンブルー。
フランス語で直訳すると、「青いリボン」という意味のこの言葉は、
「腕のいい料理人」と慣用的な表現にも使われるらしい。
コルドンブルー。
素敵な響きだなぁ。
本来は仔牛でハムとチーズを挟んで揚げたものだけど
そこをヘルシーな鶏むね肉で。
事前に白ワインでマリネしたむね肉は
しっとりやわらか。
揚げ焼きで仕上げにバターをひとかけ入れてアロゼるすことで
風味豊かでコク深い味に仕上げ、
バジルを効かせたさっぱりソースでいただきます。
“エチュベ”は、蒸し煮。
素材を生かして味は塩のみだけど、
今が美味しい春の豆たちはほくほくで
はじけんばかりに水みずしく、
塩だけで十分美味しい。
≪DESSERT デザート≫
いちごのクレープ
〆のデザートは今が美味しい苺を使用。
フランスではおやつでよく食べられるクレープ。
生地もしっとりと、かつ歯切れのいい配合を工夫し、
そこに自家製カスタードクリームを巻き込んでみた。
さっと煮た苺はフレッシュさも持ち合わせながら、
少し火を通すことで生き生きとした苺の芳醇な香りがぐんと増して
クレープにぴったりのソースに大変身。
ちゃんとお口に合うだろうか…
という心配は、お客さんを目の前にお作りする限りいつも隣り合わせにある。
もちろん好みはあるのだけど、
でもやっぱり
自分が美味しいと思って胸を張ってお出ししたいし
それはきっと料理を通じてお客さんに伝わると思う。
「次いつフランス行っていつ帰ってくるの?」
「じゃあその帰ってきた次の月にしようか!」
とあっという間に次回の予定が決まる。
気に入っていただけたのかな、
と、嬉しくなる。
一旦フランス生活を挟んでからの、次回の料理会となりそうだ。
フランスは絶賛ロックダウン中だけれど、
きっとその中でも得るものや勉強できることは
たっくさんあるんだろう。
また私なりに吸収したフランスのエッセンスを
次回の料理会を通してお客さんにお伝えできたらいいな。
楽しみ。
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