念願の牛田智大さんのピアノリサイタル
今日、別府市にあるアルゲリッチハウスのサロンで、ピアニスト牛田智大さんのピアノリサイタルがあったので行ってきました。
小さい頃から天才と呼ばれていたそうですが、その存在を知ったのは、中国のピアニストのランランの動画を漁ってた時でした。
こちらです。
10歳の小さな男の子が華麗にピアノを弾く姿にびっくりしました。
「どうだ!」っていう嫌みを感じる演奏ではなく、純粋さが滲み出るような演奏が素敵です。
それと同時に、ランランが「こういうふうに」と少し弾いた時の音のなめらかさにもびっくりしました。
牛田くんもランランもすごいなぁと。
次に牛田くんの演奏を聴いたのが、昨年、ポーランドで行われたショパン国際コンクールでした。
残念ながら3次予選には進めませんでしたが、彼が弾く舟歌がすごく好きなんです。
16:23から舟歌が始まります。
曲を深くイメージしながら弾いてるようで、物語を紡ぐような牛田くんの演奏に引き込まれました。
演奏者の感情ではなく、作曲者の感情を表現している感じがしました。
「ああ、いつか、その感情を肌で感じてみたい」
そう思いました。
そして、今日、願いが叶った、というわけです。
客席数150席という小さなサロンでの演奏でした。
牛田くんの繊細な音とスタインウェイピアノの相性が非常に良かったと思います。
本当に美しい音を出します。
1音たりとも、美しくない音がないのです。
どの音にも、ちゃんと意味があって、役割があって、それを表現するのがピアノなんだなぁと思い知り、気づきを得ることができました。
2曲目のシューマンのソナタ、非常に素晴らしかったです。
曲の物語を紡ぐのが、牛田くんは誰よりも秀逸だと思います。
場面展開が見えると言いますか、オペラを鑑賞しているようでした。
場面場面での舞台美術、歌手やオーケストラの演奏が見えてくるのです。
ある人物の人生を演じる歌い手さんの情感あふれる声
それを引き出す指揮者と支えるオーケストラ
劇を魅力的にする舞台美術
全てを作り上げる演出家
そして作品力
「究極の芸術」と言われるオペラの上演を、たった1人で、1本のピアノで、表現している感じです。
牛田くんの素晴らしさだと思いました。
最後のブラームスのソナタも、映画を見ながらオーケストラの音楽を聴いているようで、非常に臨場感があって、とても良かったです。
どの曲も自分色に染めてしまう音楽家の方もいらっしゃいますが、牛田くんは、自分色には染めず、作曲者色、作品色に染めてくれます。
そこが、牛田くんの音楽性に好感が持てるところだなと思いました。
いつか、ショパンの「舟歌」を生で聴きたいです。
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