わが子を世界一幸せな大人に育てたい方のための育児書
「デンマークの親は子どもを褒めない」
-世界一幸せな国が実践する『折れない』子どもの育て方-
デンマークの教育に関する本を探していたら、良書と出会った。
素晴らしい子育ての本だと思った。
本書によればデンマークには独特の子育て哲学が存在するのだという。
デンマーク流の子育てのヒントに「PARENT」の6つのキーワードを掲げている。
PーPlay(遊ぶ)
A-Authenticity(ありのままを見る)
RーReframing(視点を変える)
E-Empathy(共感力)
NーNo Ultimatums(叩かない)
T-Togetherness and Hugge(仲間と心地よくつながる)
これは、デンマークの親が40年以上にわたって効果を実証済みのメソッドなのだそう。
著者は「子育てこそがデンマークが幸福な国に選出され続ける主たる理由だ」と信じ、1つずつ解説している。
幸せな子どもが幸せな大人に育ち、幸せな子どもを育て、そしてその子どもが・・・・と、続いていく。
素敵なメソッドだと思う。
デンマークの幸せの秘訣は?
子育ての基盤となるデンマーク的な思想と子育てスタイルが「レジリエンス(折れない心)を持つ情緒が安定した幸せな子ども」という素晴らしい結果を生み出している。
わが子と孫に何かを贈るとしたら、幸せで安定感があって折れない心を持った大人になる手助けをすること以上に素晴らしいプレゼントがあるだろうか?
本当にそうだなと思った。
子どもを教育するにあたって「自由遊びと共感力とソーシャルスキル」を重視するー勉学一辺倒にしないーという考え方は、他国の多くの親から支持を得た
わたしも賛成したい。
勉学一辺倒の子どもには育てたくない。
もちろん勉学は大事。
だけど遊びも真剣にする。
遊びはしばしば、真剣な勉強の息抜きという扱いを受けるが、子どもにとって遊びは真剣な勉強である。(フレッド・ロジャーズ)
☆Play(遊ぶ)
「プレイ(Play)」は、バイオリンの演奏やサッカーの試合でもなければ、親同士が約束して子どもを一緒に遊ばせることでもない。この場合の「プレイ」とは、ひとりまたは複数で、子どもたちの裁量で、好きなだけ自由に遊ぶこと、つまり自由遊びのことだ。
「自由遊び」は十分していると思う。
でも、息子が幼児の今だからできるが、ここに小学校の勉強や宿題が入ったら「好きなだけ自由に遊ばせる」ことができるのだろうか。
この日本で。
親はしばしば、この「自由遊び」を認めることへの罪悪感にさいなまれる。子どもに何かを教えたり、スポーツさせたり、小さな脳に何らかのインプットをほどこすのが「良い親」だ、という思い込みがあるからだ。自由遊びは貴重な学習時間を無駄にするだけ・・・本当にそうなのだろうか?
確かに。
日本には「良い親」であるための「思い込み」が多くあると思う。
「固定概念」というか「初期設定」を変える必要がこれからあるかもしれない。
「自由遊びする子どもは、不安を軽減するスキルを習得する。」
つまり自由遊びをすることで、「逆境から立ち直る力=レジリエンス」が学べるのだ。さらに言うと、レジリエンスは、大人になってからの成功を予測する最重要ファクターのひとつであると証明済みだ。デンマークでは子どもにレジリエンスを学ばせ、人生を生き抜くための強固な心の羅針盤を育てることを望む。レジリエンスは、ストレスを避けるのではなく、ストレスを手なずけて操るすべを学ぶことで育まれるのだ。
なぜ「自由遊び」が重要なのか、これを読んで納得した。
わが子をたっぷり遊ばせないことで、子どものストレス制御の能力を奪ってしまってはいないだろうか?
☆Authenticity(ありのままを見る)
この章は、重要なことがたくさんありすぎて、まとめられない。
羅列していく。
デンマーク人にとって、「ありのままを見る」はじめの一歩は、自分自身の感情を理解すること。親が子どもに、良い感情であれ悪い感情であれ、自分の正直な気持ちを受け入れ、自分の価値観に沿って行動することを教えれば、子どもは人生に訪れる難題や荒波に呑みこまれずにすむ。
子どもは、自分自身が正しいと感じる気持ちに沿って行動することを学ぶ。そして、自分の限界を察知する術を学び、それ以上はできない自分も尊重できるようになる。心の羅針盤、つまり、「ありのままの自分の価値観に基づいた自尊心」は人生を導く最強の力であり、外からのプレッシャーに対処する強大な抵抗力となるのだ。
個人の成長や発達を尊重して子どもの希望に耳を傾ける代わりに、自分や他人の夢を子どもに押しつけるのもまた、落とし穴だ。プレッシャーのかけすぎや褒めすぎは、子どもに、内的な満足よりも外的な認知が得られる選択を取らせる可能性をはらんでいる。
そしてこれが子どもの人生の「初期設定」になってしまう。外面的な目標を自分の基準にすると、幸せを感じるために外部の力が必要になる。それでは、他人の基準で見た成功は得られても、心の充実や幸福を実感できるとは限らない。
デンマークの親は、自分の子どもを過剰に褒めないようにしている。子どもを天才気分にさせるかわりに、スキルを習得しようと意欲を持たせ、堅実な基礎を与えて、足場を固めて成長する手助けをする。これが強い心とレジリエンスを育むのだ。
子どもに多くの習い事をさせるといったことは、自分をだますという落とし穴にはまった結果かもしれない。
☆Reframing(視点を変える)
これはネガティブ人間のわたしにとっては難解なことの1つ。
デンマーク人は、どんなネガティブなこともポジティブな面を見つける能力が優れているのだそう。
「フレームを替える=リフレーミング」すれば、幸福度が確実に変わる。これこそがデンマークで何世紀にもわたっておこなわれていること。デンマークの親は、このかけがえのないスキルを幼いうちにわが子に教える。リフレーミングが上手なことが、折れない心の基礎になる。
デンマーク人は、他人の悪い面ではなく良い面に焦点を当てることを選ぶ。ひとつの批判にとらわれるよりも、全体像に意識を向けるよう自分の期待をシフトさせ、思い込みを穏やかなほうへと調整する。
自分が使う言葉は途方もない影響力を持っている。
親の「決めつけ」や「レッテル」の影響力って大きい。
子どもの「人格」を決定してしまう。
大人になってからもそれに縛られながら生きていく。
だから言葉は重要。
子育てだけでなく、人間関係においても、気をつけないといけないこと。
言葉は「フレーム(額縁)」であり、この額縁が物の見方や自己像や世界観を決める。子どもの頃に貼られた「レッテル」や与えられた「筋書き」の多くは、大人になってからも付きまとう。だから大人になってからの自己像は、子どもの頃に与えられた「レッテル」に由来するものが多い。ほとんどの人は、無意識のうちに貼られたレッテルを基準にしながら一生を送ることになる。このレッテルを自分から切り離すことで、親も子も、変化という新しい道が目の前に開けてくる。
☆Empathy(共感力)
エンパシーとは、他人の気持ちに感情移入できる力、共感力のこと。その人の感情を理解するだけではなく、気持ちに寄り添うこと。言うなれば、その人の立場になって一緒に一マイルの距離を歩くこと。
わかるようでわからない。
子育てにおいては、具体的にどのようなことなのだろうか。
デンマーク流の共感力の教育の大きな柱は、批判しないこと。デンマークの親は、自分の子どもやその友人や家族に厳しすぎる批判をしない。自分にも他人にも寛容であることが最優先なのだ。共感力が強く、他人を見下すことなく、自分の弱さをさらけ出せ、ありのままを認め合う家庭を築く。これが、子どもを他者への批判が少ない大人へと成長させる助けになる。この「他者」には親も含まれていることを覚えておこう。
はあ。
批判、ついついしちゃうね。
子どもの前でね。
よその子とか、夫のこととか、ね。
これはわたしの反省するべき点。
否定的な言葉を使ったり、他人のことを悪く言うのはやめる努力をしよう。
それは全部自分に跳ね返ってくるね。
デンマークの親が、わが子の前でよその子を悪く言うことはほとんどない。その代わりに、よその子の行動を理解する努力をし、不愉快な行動を取った理由として考えられることを話し「不愉快な行動は状況に影響を受けただけ」という見方を子どもにうながす。意地悪・自分勝手・嫌な子といったレッテル貼りをしない。否定的なレッテルを貼りつけるのではなく、共感力を使った解釈に光を当てるのだ。
☆No Ultimatums(叩かない)
デンマークの親は甘くも弱くもない。カッとなってただちに権力を押しつけたり体罰に走ったりする代わりに、揺るぎない態度で寛容に対応する。
この「揺るぎない態度で寛容」というのが重要だと思う。
西洋人は特に、公共の場での子どもの態度には厳しくしつけをしていると感じる。
でも怒鳴り散らしているわけでも、恐怖心を与えているわけでもない。
冷静に諭している印象。
ときどき、日本で、おさるの学校か!のような、レストランなどで騒ぐ子どもを放置している場面をよく見かける。
日本人の親はあまり毅然とした態度を子どもに取らないことが多いようだ。
デンマーク人は子どもに親への敬意を求めるが、子どもに対しても敬意を払う。受け取るためには与えるという、双方向なのだ。恐怖心で相手を支配することの問題点は、敬意が育たないこと。恐怖による支配は恐怖心を育む。子どもに毅然と接するのと恐怖を与えることは、大きく異なる。恐怖を与えると、子どもは何かを禁じられた本当の理由を理解しないまま、怒鳴られ痛い目に遭うことを避けるほうに意識を向ける。それでは自意識の核が育たない。
友人の家や実家、レストランや店内でも、自分の価値観に沿った行動を。ありのままに公正に、自分の信念に従おう。
☆Togetherness and Hugge(仲間と心地よくつながる)
デンマーク流の暮らし方は「ヒュゲ(hygge)」つまり「共に居心地よく過ごす」こと。他の人と一緒に居心地のいい雰囲気を楽しむという意味。デンマーク人にとって、仲間と温かく楽しい経験をすることが究極のゴール。
一緒に過ごす居心地のいい時間に価値を置いているので、ポジティブにふるまい、口論は避け、愛する人たちと集うひとときの時間をもうけることが、幸福をつれてくるのだそう。
他者とのつながりを感じることが、人生に意義と目的を与える。だからデンマーク人はヒュゲに高い価値を置く。個人も重んじるが、他者との関わりやサポートがなければ、人としての真の幸福は得られない、という考え方。
「共に集う・ヒュゲ」の概念には多くの意味が含まれるが、本質的には、全体の利益のために自分を脇によけるということだ。自分の問題は玄関に置いて出かけ、個人的な欲求や欲望を犠牲にすることで、グループの集いをより楽しいものにする。大人のドラマやネガティブな話題や不和は、子どもにとっても楽しくない。子どもが大好きなのは、一緒に居心地よく過ごすこと。
実際、どのような集まりなのかはなんとなくしか想像できないが、その大人の集まりに子どもも入れるというのは素敵な考えだなと思う。
子どもたちは、他の人の長所と弱点を見つけることを教えられ、いかに他人を助けるかを、表面的ではなく掘り下げて考えるようになる。デンマークでは、優等生たちに謙遜をうながし、共感力と他者への思いやりを育ませる。自分のことしか考えない人は「ヒュゲ」ではない。
「I(私)」を「We(私たち)」に替えると、「Illness(病気)」が「Wellness(健康)」になる
デンマークの子育てを知ると、デンマークに行ってみたくなる。
実際そこで生活して、その考え方を目の当たりにしてみたい。
デンマークの人たちと話をしてみたい。
学校を見てみたい。
でも、ここ、日本にいても、できることはあるはずだから、少しずつ取り入れていこうと思う。
まずは親のわたしがパワフルな変化とパワフルな子育てに踏み出す最初の一歩を。
それでは、またお会いしましょう。
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