思い出し泣きするくらい心揺さぶられたピアノ ~祈り~

涙が出るほど素晴らしい演奏を聞くと、その時の演奏が心に蘇って、また心が揺れて涙が出る。

そんな思い出し泣きがあるんですね。

ずっと思い出し泣きが止まらない。

心がずーっと揺れています。


今日、ピアニスト渡邊智道さんのソロリサイタルに行きました。

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リストの「ラ・カンパネラ」で、泣ける「ラ・カンパネラ」を聞いたのは初めてでした。

超絶技巧が目立ってテクニックに驚くことが多い曲ですが、智道さん、心で心に訴えかけてきます。

こんなに悲しくなる曲なんですね。

ううぅ。すごい。

感動します。


そして、こちらのアルバムにも収められているドビュッシーの「花火」。

CDも今までの演奏も、どちらかと言うと、華やかさがあり、お祭りなど楽しい時に見る「花火」でした。

ところが、今日の演奏は、誰かを見送る「葬送」のような寂しげな儚げな「花火」のような気がしました。

頭に浮かんだのはなぜか「彼岸花」

演奏者や鑑賞者の心情によって、音って大きく変わるんだなぁと思いました。

音楽は耳で聞くのではなく、心で聞くものだと、改めて感じました。


そして、ショパンの「夜想曲第13番」。

昨年のショパンコンクールで散々聞きましたが、こんなに心揺さぶられたのは、智道さんだけです。

すごい切ない。

なんだか、コロナのこととか、ロシアとウクライナの戦争のこととか、ポーランドやチェコにおける今の状況とか。

もう、いろんなモノが重なって、涙こらえるの大変でした。

この曲の後半、智道さんの演奏から、怒りのようなモノも感じとりました。

いつも淡々と弾いてらっしゃる姿と違い、感情を爆発させて弾いてる姿はおそらく初めて。

でも、分かります。

共感します。

すごいですね。

言葉のない音楽なのに、感情が伝わります。


全体的に、「悲しみ」「怒り」「嘆き」「安寧」、そんな雰囲気の演奏会でした。

アンコールの前に、マイクを持っておしゃべりしてくれました。

1ヶ月前にプログラムを決めたそうです。

でも本当にこの1ヶ月で情勢が変わりました。

智道さん自身の心情と共に、急遽プログラムを変更したそうです。

(左)変更前 (右)変更後

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それを聞いて納得しました。

戦争に対する嘆きや悲しみ、平和を願う気持ちが込められていたのだと思います。


第二次世界大戦中、戦禍にあったイギリスで、芸術の場を奪われていた最中、ある演奏家が密かにある曲を弾き続けたそうです。

身分も貧富も関係なく、多くのイギリス市民を勇気づけたという伝説が残っている話をした後、弾いてくれました。

J.S.バッハ「主よ人の望みの喜びよ」

「祈り」のこもった心からの演奏に、感無量。。。


こんなに素晴らしい演奏家に出会えたことに感謝します。


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