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【最も印象に残っている転職面接】リクルートの面接で聞かれたこと〈転職体験記②〉

*写真はリクルート営業時代の私。若い。

これまでに3回転職しましたが、そのうち最も印象に残っている面接は、2社めのリクルートの面接。当時まだ社会人3年めだったこともあり、一番イヤで、一番本質的な面接でした。

リクルートという会社名を聞いてなにかしらの印象を抱く方、その印象まんまのエピソードをお届けします。特に何も印象がない方には「リクルートってそういう会社なんだ」と知ってもらえるようなエピソードになるかも。

印象に残る転職面接は少ない

3回転職したのでたくさん面接を受けたような気もするけれど、意外と印象に残っている面接って少ない。覚えているのは新卒パナソニックの最終面接、これから書くリクルートの最終面接、そしてソニーの面接くらいかもしれません。

3社めのサイバーエージェントは、なに聞かれたのかは全く覚えていないのだけど、一次面接の人事の女性がド金髪で、二次の最終面接がスキンヘッドにサングラスの男性だった。期待を裏切らないCAネタを提供してくれたなという記憶がある。笑

リクルートの面接

「質問は1つです。あなた、なんのために働きますか?」

さて本題。リクルートの面接所要時間1時間で聞かれた質問はこれ1つ。実はリクルートの面接だと王道中の王道質問ということは後から知る。

最初に「質問は1つです。」って言ってくる時点で強めな感じ。

通された部屋で先に自分が座って待っていて、勢いよく入ってきた面接官のおじさん(のちに社長になった人でした)は「ベンチャー企業の社長」と言われてテンプレでイメージされるような見た目の、こってりオラオラ系タイプだった。(リクルート自体はもはやベンチャーじゃないけど)

(誰か分かってしまったR時代の同僚のみなさんはスルーしてください笑)

すごい怖そうな人が入ってきて、1対1で、しかも質問は1つで、

「あなた、なんのために働きますか?」

と聞かれた私は面食らっていた。

ていうかまず自己紹介とかもないの? 一次面接はなごやかに自己紹介させてくれて、普通に質疑応答だったのに、と思っていた。

地獄の1時間1お題

まず面接時間が長い。今も1時間やってるのかは分からないが、リクルートの面接は基本的に長め。(それこそサイバーエージェントは最終面接も20分で、短いなぁと思ったことを覚えている。)

「質問は1つです。あなた、なんのために働きますか?」

「え…なんのために働くか? なんのために働いてるんだろう私…??」

そんなん私が知りたいわ、と心の中で言っていた。当時の私は答えを持ち合わせていなかった。

生きていくためにはお金が必要だし、お金のためには働く必要があるけど…とかそういう根本話じゃないんだよねきっと?

どうしよう、分からんそんな壮大なこと聞かれても。

と思いながらも黙ってるわけにもいかないので、「パナソニックでこれこれこういうことをしてきまして…」と必死になにか話そうとしたが、

「いや、なんのために働くのか?ってのが質問なんだけど」

と、真顔で容赦なく議題に引き戻されることを2~3回繰り返した。

質問の答えになってないな~ってことはこっちも心の中では分かってるよぉぉ、分かってはいるんだ、あああ~よよよ~

自分で自分の答えが分からないお題だったので、最終的にどうなったかというと、煮詰まった。

「・・・。」

おそらく時間にして2分くらいは沈黙になった気がする。密室で2人しかいない面接において2分の沈黙って地獄かと思うくらい長い。

「なんのために働くのかっていう質問に関しては、今の私には分かりません。

ちょっとキレ気味にそう言ったのを覚えている。

「だけど、パナソニックで家に関わる仕事をして、自分が毎日引いてる図面が本物のキッチンになって誰かのところに届いていて、ショウルームで家を買う人を目の当たりにしたらみんな真剣に選んでいて、毎日人が帰っていく場所である家っていいなと思って、住宅に関わることが好きになった。」

「だからもっとバリバリ働きたいと思って営業職がやりたいって思った。」

結局答えになってないんだけど、そんな想いを上乗せて喋った。取り繕うことをせずにまっすぐに喋った感覚はあった。

そうしたら、

「ふーーん、まあ全体的にふわふわしてるんだけどね。」

と、「ふわふわしている」とフィードバックされたので、(面と向かって初対面の他人にあなたふわふわしてるねって言われることってなかなかないよね)

「あ、こりゃ落ちたな。がーん」て思ったのだけど、次の瞬間に面接官は人事担当者に電話をかけ、「面接終わったけど入社の手続きとかは今日はいいの?」と言った。

「あれ?受かったってこと??なんなん。

その時の私はただただ「??」な感じだった。

「なんのために働くのか」を入ってからも聞かれる会社

そんなしんどい面接を振り返ってみる。その場で与えられたお題に対して、面接という場で煮詰まるくらい考えて、真剣に答えようとする姿勢そのものは良かったように思う。

若さゆえの素直さのある受け答えをしていて、たぶん今の私だったら逆に答えられない内容。

結局、正解のない問いを投げかけている時点で正解なんて求めていない

受け答えを通して人柄を確認しているわけだった。

リクルートが大切にする「当事者意識」

リクルートの採用系ページや世に出ている企業理念の記事などを読むと必ずと言っていいほど触れられている「当事者意識」や「起業家精神」。社内でも繰り返し伝えられていてとても浸透している文化である。

なににおいても他人事ではない、自分が当事者であるという意識の強さが相手をも動かしていく営業スタイル。それこそがリクルートの強みであり、簡単に習得出来ないからこそ稀有でとても重要な要素。

なので、リクルートの営業は単に広告枠を売るつもりでいるとその100倍くらい熱苦しい。

誰のなんのためになぜやるのか?どうしたら今ある課題を解決できるのか?てかそれほんとにやりたいって思ってんの?なんで?

毎日そんな調子。喋るの嫌んなるくらい質問してくるから。真面目な子ほど沼る。

それらが引いては、「あなた、なんのために働くんですか?」という質問に凝縮されていたわけである。

自分が何がしたいか分からない人に、他者は動かされないという前提。

なので、むしろ面接の質問はちょっとしたティザーで、入社した後の方がうんざりするくらいそういったことを問われた。

何をしても、それはなぜ?なぜ?なぜ?

why?で掘り下げた答えを更にwhy?で掘り下げていく。

そういった作業ができることを「構造的に物事を捉える力」というんだよ、と教えられたのが懐かしい。その思考回路はいまだにずっと役に立っていて、私の強みのひとつにもなったと思う。

ま、なぜなのかが納得いかないとやらない人間にもなったんだけど。笑

諸手を挙げてリクルートが大好きかというとそういうわけではないが(盲目的に組織を好きになるということがそもそもない)、考え方が好きだなと思うポイントが多くある会社。

思考停止したつまんないサラリーマンにならずに済んだのはリクルートのおかげだと激しく思っている。自分の足で走り回ったし、頭をこれ以上回らないくらい回転させてくれた。人生であの時代が一番物事を考えた。

20代で営業のあれこれを叩き込んでくれたことも含めて、リクルートを通ってなかったら今の自分はないと思う場所。

なので、ガッツリ働くビジネスパーソンになりたいなら、20代でリクルートを通ることは個人的にはとってもオススメ。ちなみに30超えてから行く場所ではないし、ずっといる場所でもない。

まとめ

面接からリクルートの特性まで話は膨らんだけど、要は「自分がある」ことがとても大切だと思う。たとえ面接でも、受かろうとしないこと

正確に言うと、受かろうとしてもOKだけど、正解を探してもっともらしい答えを言って取り繕わないこと

正解はないし、もっともらしい取り繕われた答えなんて面接官は聞きたくない。そして面接官も面接のプロなのでそれは見抜く。

聞きたいのはその人だけが持っているオウンストーリー。その価値に気づくことはとても重要に感じる。

それが話せたなら、あとは企業とのマッチング。合う合わないの話になる。一番最悪なのはオウンストーリーを話せずにマッチングするか否かの検討の土台にすら上がらないこと。

私も、ついつい取り繕ってしまってオウンストーリーが話せなかった面接は失敗してきた。

あの人なんだった?状態である。それだけは避けたい。

まず自分がどんな人間かを正しくプレゼンしないと、マッチするのかしないのかすら判断がつかないので。面接でこそ自分らしさを存分に発揮して楽しむのが吉。


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