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京都の和菓子は「耳で食べる」

今日は京都府立図書館が主催していた図書館活用講座「京菓子をデザインしてみよう」に参加してきました。

講師は御所の近くにある「有斐斎弘道館」の 太田達 氏
宮中菓子や茶席菓子として発展した京菓子の歴史を学び、講師による京菓子づくりの実演を見学するという内容で、後半は源氏物語がテーマの京菓子をデザインするというもの。

当日は京菓子の概論だけでなく、菓子と神事から見る民俗学の話から、ご自身が取り組まれたちょっと風変わりなお茶会や創作菓子の紹介まで、おしゃべりの上手な先生で、宗教と菓子の話などは笑いが絶えない話しっぷり。以前は大学で講義もされていたとか、授業受けてみたかったな〜と思わされる濃い講義でした。

おまけに目の前で菓子作りを実演まで……おそるべしエンターテナーっぷり笑

茶席はあらゆる要素を魅せ、想像を掻き立て、楽しませることを目的としたものだけれど、その一部としての菓子の役割について先生が語っていたことがとても印象的だったので備忘録的に記しておきます。

「京菓子は耳で食べる遊び」

さて、「京菓子は名前が一番重要」なんだそうです。

京菓子はテーマにしたそのものを抽象化して形にすることを基本とするので、色や形から大方想像することはできるかもしれないけれど、一見それがなんなのかがわかりにくい形で表現するのだとか。

「京都の菓子は耳で食べさせる。お菓子の名前は間接的な名づけで想像の世界を刺激することで菓子の世界を表現する」と太田先生。

例えば、五月の時期なので単純に季節の花だから燕子花のお菓子を、という訳ではなく、燕子花の色形をしたお菓子を軸にし、「かきつばた」と名付けることで、お客様には「伊勢物語」の「唐衣 着つつなれにし つましあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ」の歌を連想させる演出をするのだとか。

そんな京菓子の名前をつける時には、コピー力を試されるだけでなく、文化や国文学にある程度精通していないとコピーが作れない、やっぱりかなり教養との戦いな世界なのだなと思いました。

この写真は、すっかり京菓子の面白さにハマってしまった私が帰りに京都高島屋のデパ地下の京菓子コーナーに寄って買った<千本玉壽軒>の「天の川」。葛と黒こしあんで表現された夜空と宇宙な感じにきゅんとしてしまいました。

お皿は沖縄の陶芸作家・金城有美子さん作の瑠璃色のプレート。半年前沖縄へうつわの視察へ行った時にゲットして買ってきたもの。白や黒だと味気ない一方で、シンプルな形でありつつも、同じ個性的な青の色がお菓子の透明感ある美しさを引き立ててくれそうなので合わせてみました。
これから少し京菓子が気になりそう。

太田先生が主催している和菓子の講座が面白そうだったので、お時間合う方は是非。

やっぱり美しいものはいいなぁ。美しいって素晴らしい。美しいものが大好きです。

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