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名古屋の旅

 いつもお読みいただき、ありがたうございます。玉川可奈子です。

 某月某日のよく晴れた日、愛知県の名古屋に行きました。今回は、鉄道の乗り潰しでもなければ、温泉巡りでもありません。歌枕も尋ねてゐません。いつもと異なつた日帰り旅です。

ずらし旅

 JR東海の子会社であるJR東海ツアーズといふ旅行会社には、「ぷらっとこだま」など東海道新幹線を安く使へる商品がいくつもありますが、その中でも「ずらし旅」なるプランを今回は利用しました。
 これは、日帰りで往復にのぞみが利用できるもので、大阪や京都、名古屋に行くのに大変便利なものです。時間や場所、移動手段など、旅の定番を「ずらし」て楽しむといふ面白いものです。もちろん、普通にきつぷを買ふよりも安くなります。

 東京駅のJR東海ツアーズに行き、ぷらっとこだまを購入しようとしたところ、受付の方から「ずらし旅」を教へていただきました。ぷらっとこだまで往復するよりも二百円安く、かつのぞみを利用できるのは大きいです。受付の方に感謝です。
 ずらし旅、ぷらっとこだまについては以下をご参照ください。

名古屋へ

のぞみ209号

 ストレスと見えない負担で、うつ気味な日々。そして、そのストレス解消方法は浪費とサウナ…。サウナに入りたくなくなつた時は黄信号または赤信号です。気分転換が必要だと感じてゐました。
 そこで、お出かけです。

 早朝の東京駅。乗るのはのぞみ209号です。定刻に、列車は東京駅を出発しました。私が乗つた六号車の車内はそれなりの乗車率です。おほむね九割程度でせうか。隣には、お爺さんが座つてゐます。iPadで読書をしてゐました。私も同じです。上念司氏の本を読んでゐました。

 東京駅のホームの売店で、味噌かつおむすびを買ひました。これは完全に衝動買ひです。何故、衝動買ひをしたか。パッケージの快速ムーンライトながら号のヘッドマークに魅かれました。これは私が大学生時代の373系を使用してゐた時のものです。
 名古屋駅まではムーンライトながらが定期運用してゐた当時、そればかり乗つてゐました。会社から出張で新幹線代を貰つても、ながらを利用してゐました。ながらが臨時列車化してからは、高速バスに代はりました。ドリーム号や新東名スーパーライナーを使ふやうになりました。それが今や、新幹線になるとは…。

朝ご飯?

 定刻に名古屋駅に着きました。改札を通ると、前回異常事態に比べたらはるかに空いてゐますが、それなりに混雑してゐました。ぴよりんショップの前は、開店前から行列ができてゐます。ぴよりんは、名古屋コーチンを使つたスイーツです。まだ食べてません…。これも食べてみたいものです。

小倉トースト

CAFFEE AVANTI

 今日は名古屋飯デーです。もちろん、チートデー確定です。
 まづは、COFFEE AVANTIで小倉トーストといただきます。甘くて、バターがよく効いてゐて美味しい!

 「食つてみな、飛ぶぞ」

といふ表現がぴつたりです。一見すると、青森の味噌カレー牛乳ラーメンよろしくゲテモノ感がありますが、迷はず食へよ、食へばわかるさ。

 コーヒーはカフェ・ヴェネチアをいただきました。生クリームがたつぷりと乗つてゐて、見た目からして美味しさうです。深煎りでコクがあり美味しいです。少量のブランデーを入れてゐるやうで、少し酔ひました。十八世紀から飲まれてゐる伝統的なコーヒーださうです。

小倉トースト

 都内は曇つてゐましたが、名古屋はよく晴れてゐて暑いくらゐです。地下鉄とバスのフリーきつぷ「ドニチエコきっぷ」(620円)を購入して、いざたまへ、熱田拝みに。

名古屋港水族館

 といふわけで、今回は熱田神宮を参拝するのですが、その前に名古屋港水族館へ行きました。実は、私は魚も好きなのです。もちろん、食べることだけではなく、見るのも好きです。
 幼少の頃から、魚の図鑑を見るのが好きでしたし、いとこに連れられて、我が家の裏にある金魚の水槽を見に行くのも好きでした。マア、魚にこだはりがあつたといふことでせう。さかなクンさんには勝てませんが、彼と対談できるくらゐの知識はあると自認してゐます。

 さかなクンさんといへば、「好きこそものの上手」なることを実証した人として、私のむらぎもの心からすごいと思ふ人の一人です。彼は、大学で専門的に魚類の研究をしたわけでもないのに、気がついたら多くの人が彼を研究者の一人として評価してゐます。優しくて、見てゐて「ぬくぬく」になる絵も描けます。本当にすごいです。

 私がアカデミズムから距離を置いてゐるのは、研究者の世界は「ムラ社会」で余所者を拒むんです(かつて私が住んでゐた某県某市とよく似てゐます)。妬み嫉みもあります。どんなに黒いものでも権威といはれる人が「白」と言つたら、それ以下の人は「白」といふ世界です。私はそれが嫌でした。それよりも、自分が純粋に「好き」なものを好きなやうにやれば良い。今はさう思ひ、風流の道に生きるやうになりました。

 閑話休題。地下鉄を久屋大通駅で名城線に乗り換へ、さらに乗車すること二十分前後でせうか。名古屋港駅に着きました。地上に出て、しばらく歩くと名古屋港水族館に着きました。天気がよく、いくら寒がりの私でも暑いです。

入場券

 入場券を買ひ、中へ入ると…目の前にイルカが!可愛い!さらに、かつて「山陰の旅 中 〜島根編〜」でも紹介したアクアスで見たシロイルカも!みんな、とても可愛いです!
 水族館の様子については、以下の写真をご覧ください。

イルカくん
イルカくん
シロイルカくん
カブトガニくん
イワシの群れ
トビハゼくん
ウミタナゴくん
カワハギくん
クエくん
オヤビッチャくん
ハコフグくん
サカタザメくん
ノコギリザメくん
イソギンチャクくん
トラザメくん
ホウネンエソくん
チョウチンアンコウくん
イシガキフグくん
ナンヨウハギくん
ブタハナカメくん
ペンギン(人鳥)くん
エサをもらふイルカくん
エサをもらふイルカくん

 シャチのショー(訓練)も見ました。可愛い顔をしてゐますね。そして、すごく頭が良いんですよね、シャチつて。

シャチくん

 海や川に住む魚を見てゐて思ふのは、彼らの住む環境を汚してはいけないといふことです。可能な限り、彼らにとつて優しい環境であつてほしい。海にゴミを捨てるなどもつての他です。

 ところで、古への年魚市潟とは何処にあるのだらうかと思ひを巡らしてゐました。年魚市潟(あゆちがた)とは、愛知の県名の由来になつた地名で、熱田の辺りの入江と考へられてゐるとか。
 高市連黒人が、

 桜田へ 鶴鳴きわたる 年魚市潟 潮干にけらし 鶴鳴きわたる(『万葉集』巻第三・二七一)
 (桜田へ鶴が鳴きわたつて行く。年魚市潟は潮がひいたらしい。鶴が鳴きわたつて行く)

と詠んだ年魚市潟。今を生きる私どもには、何処かわからなくなつてしまひました。

愛知の海

 休日なので、多くの家族連れ、夫婦、カップルの姿が見られました。私は天涯孤独を覚悟してゐますし、一人はとても気楽で良いと思つてゐるのですが、手をつないで(手をつなぐことを、万葉では「携へて」といひます)、仲睦まじくしてゐる人たちを羨ましく思ひました。
 私も大切な方がゐたら、手を携へて水族館や動物園を尋ねてみたい、そのやうに思ふのですが、良いなと思つた方と結ばれることなく不惑を超えてしまひました。恋愛や結婚は、私にとつて叶はぬ夢、想ひはいくら歌に託しても届かぬものです。

熱田神宮

 結局、二時間あまり水族館を楽しみました。
 再び、地下鉄に乗り熱田神宮を目指します。金山駅で乗り換へ、神宮西駅で下車しました。地上に出ると目の前には神域が広がります。しばらく歩いて境内に入ると、陽射しを和らげるやさしい風が吹きました。

 拝殿で神様に対し、「玉体安穏、天壌無窮、神垂祈祷、冥加正直」を祈りました。熱田神宮の創始などについては、以下をご覧ください。

熱田神宮
熱田神宮御祭神
熱田神宮千九百年の歴史
熱田神宮千九百年の歴史
熱田神宮千九百年の歴史
熱田神宮千九百年の歴史
境内案内図

あんかけスパゲティ

 参拝後、地下鉄で名駅に戻りました。お腹が空いてゐたので本日二度目の名古屋飯にします。
 チャオのあんかけスパゲティです!ミラネーズを頼みました。お腹が空いてゐたのか、ペロリと平らげました。すごい美味しい、とは思ひませんでしたが、確かにクセになる感じです。スパゲティ界のラーメン二郎でせうか。

チャオ あんかけスパゲティ
あんかけスパゲティ ミラネーズ

台湾ラーメン

 食後、しばらく大切な用事を済ませてゐました。
 本日、最後の名古屋飯を食べます。名古屋駅の味仙に向かひます。さう、味仙といつたら台湾ラーメンです。店の前にはそれなりの行列ができてゐました。二十分ほど並ぶと、店内に案内されました。
 台湾ラーメンにホワイトホースのハイボールを注文すると、十分ほどできましたきました。一口食べるだけでむせるやうな辛さです。汗もダラダラ出てきます。でも、美味しい。辛くなつた口の中を和らげやうとハイボールを一口。ビヤアアア美味い。

台湾ラーメン

東京へ

 帰りは、のぞみ52号に乗りました。名古屋駅を20時14分の定刻に発車しました。車内は七割から八割程度の乗車でせうか。隣は空席でゆつたり過ごせました。
 定刻の21時51分に東京駅に着きました。酔いは覚め、もう一杯呑みたいところですが、帰つて寝ました。

 なほ、寝る前に次の歌を作りました。

   深海
 わたの底 日の大神の み恵の なきところにも 魚はすみける 可奈子

   人鳥
 氷浮く 海のはたての 水とりは 清きなぎさに うち群れにけり 可奈子

   年魚市潟
 いにしへに たづなきわたる あゆちがた けふ来て見れば 名残だになき 可奈子

   をりにふれて
 剣太刀 身にそふ人に 会はずして 年はふりつつ ものをこそおもへ 可奈子

   熱田神宮
 御社に まつる御つるぎ いや貴と 神の尊の 振りし御つるぎ 可奈子
 さねさし 相模の小野に 振りし御つるぎ うち払ひ 問ひし尊の 俤を見む 可奈子
   右一首旋頭歌

 たまには、かういふ旅も気分転換になつて良いですね。まだまだ食べたい名古屋飯はたくさんありますが、次の旅は恐らく、十一月に山辺の道を歩きます。また「ずらし旅」を利用する予定です。

 最後までお読みいただき、ありがたうございました。

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