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集中できない=散漫力がある / 『読む力』佐々木俊尚著

「集中力が足りない!」という私に「散漫力があるじゃないか!」と言ってくれる、佐々木俊尚さんの本はとても優しい。



普段PCに向かっているとき。
記事を書きながら、調べ物をし、気になる記事や動画を見つけたらそれを見てしまうし、なんならその先までずっとネットの海を漂って、気づいたら1時間経ってたりする。
ひどい。
でもみんなにも心当たりあるでしょう。

仕事でコーチングについて調べていたら、記事内で「例えばこんなサービスがある」と紹介されてコーチングサービスのサイトを見る。
見てるとその社長がなかなか面白そうな人で、その人のTwitterをフォロー。
ツイートを見てると、彼女はBTSにハマっているようだ。
BTSはダイナマイトくらいしか聞いたことないけど、魅力はなんだろう?
そしてBTSのMVを一通りみる。
なるほど、歌も踊りもこれは人気でるのわかるわ・・・
ちょっとメンバーで気になる人いるな・・・検索・・・
公式サイト・・・いや、Wikiの方が詳しいな・・・
そういえば韓国のアイドルって他に何があったっけ・・・・

みたいな感じで、コーチングを調べていたはずなのに、韓国のアイドルの検索をしだす始末である。

驚きの集中力のなさ!いや、
驚きの散漫力の高さ!


しかし佐々木俊尚さんは「あえて集中しよう!」と思うと「集中しよう!」と思ってることで気が散ってしまうから考えない方がいい、と言ってくれている。
目から鱗である。


少し前、記事を書くための編集講座を受けたときのこと。
「家の中にあるもの"以外"を思い出して、書き出してみてください」と、時間制限付きでの課題があった。
このとき私は「家の中にあるもの」に引っ張られすぎて最初は全然出てこなかった。
家の中のものばかり思い浮かんでしまうのだ。
冷静に考えたら、電柱とかゾウとか、世の中には家の中"以外"にあるものがほとんどなのに「家の中」というキーワードが脳を覆ってくる。


「集中力」も同じなんだろう。
「集中しよう!」と思うと、その意識に取り憑かれて、肝心のアイデアや考えが降りてこない。
本当は集中そのものが重要なのではなく、「本を読んで知をアップデートしたい」とか「目の前の執筆を進めたい」だけなのに「集中しよう!」が先に来るとそのことに気を取られてしまう。


そこで佐々木さんは「集中しなくてもタスクがはかどればいい」と言ってくれる。
マルチタスクとはいうけれど、実際にはいろんなことを「同時進行」しているわけではなく、「細切れに移り変わっていっている」だけである。
私は多分それが好きだし、得意だ。

今までは集中力がないから、もうちょっと集中できるようにせねば!と思っていた。
いつもネットの海を泳ぎまわって、サザエを獲ろうとしてたのに、美しい珊瑚の写真を撮り出してしまったり、レアな深海魚を見つけて追いかけたら違う浜まで行っちゃった・・・みたいな生き方をしてきたけど、そんな「散漫力」を生かせるようにしたい。(なるのか)

この本には、そんな散漫力活用法が具体的にいくつも出てくる。
少しずつ自分に合う方法を試しながらタスク整理をして、「集中しなくても本を読んで自分の力にする」とか「集中しなくてもきちんと仕事が進む」ことを意識してみようと思う。

集中できないことの言いわけじゃない、と、思いたい!

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