見出し画像

助産師って何人、どこにいるの?

助産師が日本にどれくらいいるのか、
そして課題といわれる“偏在”とは
どういうことか、わかる範囲でまとめてみたい。

そもそも助産師って、なに?
は、またいつかまとめてみたいと思う。
簡単にいうと、妊婦さん、お産、赤ちゃんを専門に看護ケアできる、看護師である。
そして、とくに治療や、医療的介入がいらないお産であれば、医師との連携のもと、助産師だけでお産をとりあげることができる。

私も看護師の勉強をしなければ、助産師の存在すら知らなかったし、
おそらく多くの人が、妊娠して受診して初めて、助産師さんに会うだろう。

“偏在”について、興味をもったのは
私の旅行先でのひとつの経験から。

1年前、地方の町に旅行に出かけた時、
水晶を売る占い師さんに、道端でつかまり、
今の運勢、前世、運を上げる色、性格、水晶をどう身につけるか、などなど、
「たしかにそうかも...いやでも、水晶は買わないよ?」と疑ぐりながら話を聞いていたとき
「貴方は将来何になりたいの?」ときかれ、
素直に「助産師です」こたえたら、

「助産師さん!?この町に助産師いないの。ぜひこの町に就職して!」

と、占いも運も全く関係ないアドバイスを頂いたことだ。

私は東京で実習させてもらっていたこともあり、助産師が1人もいない、ことが想像できなかった。
病院には?産科のクリニックは?
この町の人は、どこで、どんな風にお産するの?
誰がケアするの?
この占い師さんは、妊娠出産の経験があったのだろうか。

町に1人も助産師がいない、ということがありうる。
そして、助産師の偏在もふくめ、おそらくそれは産科の偏在にもつながっていて、どこでお産するか、ということに悩む人がいる。
問題意識を感じた瞬間だった。

さて、

日本に助産師は、

35,774人

**働いている。(2018年) **

さいたまスーパーアリーナの収容人数は37,000人なので、皆入れてしまうくらいの人数。
早稲田大学の1学年は1万人近くいるそうだから、今在籍する早稲田生よりも少ない。

ちなみに
看護師数は、1,149,397人(2018年)、約30倍
医師数は、319,480人(2016年)、約9倍
産婦人科医は、11,461(2016年)、約3分の1。

では、問題といわれる“偏在”について。
医療界では医師の偏在や、特定の科への偏りなども課題といわれているが、助産師も同じようにいわれている。

助産師が足りない、といわれる理由は大きく2つある。

【1】就業先の偏在
助産師が働いている場所は、
✿︎ 病院 63.5%
✿︎ クリニック 22.2%
✿︎ 助産所 5.6%
✿︎ 市町村 0.9%

と、他、であるといわれる。

一方、実際にお産がされた場所は、
✿︎ 病院 53%
✿︎ クリニック 43パーセント
✿︎ 助産所 1%

だという。(他は自宅など)

生まれる場所は病院とクリニックで、約半々なのに、

助産師が働いている場所は、病院が圧倒的に多く、クリニックに少ない。

**つまり、お産を取り扱っている施設で、助産師がいないという場合もあるのだ。 **

【2】地域の偏在
都道府県ごとの就業人数をみてみると、
東京、大阪、神奈川、といった大都市には、2000人以上の助産師がいる一方、
多くの都道府県で200人から500人が多く、
高知県は、県全体で184人。

**200人ほどの人数が、県全体にまんべんなく働いているとは、到底思えないから
一つの大きな病院や、中心地に偏っている可能性は充分にある。 **

一方、お産の数が減ったことによる産科病棟の閉鎖や、
助産師が人気の病院に多く就職するために、
助産師の資格を持っているにもかかわらず、助産の仕事ではなく、一般の看護業務に携わる
「院内潜在看護師」もいるという。

あるところでは、助産師がおらず、お産のケアを専門とする助産師がいない場でお産がなされている。
おそらく産婦人科医と看護師によって治療とケアがなされているのだろう。
それが問題といいたいわけではない。
ただ、妊産婦さんが経験することが、きっとお産の場所によって、全く異なるということだ。
一方、助産師の資格を持ちながら、病院内で産科に勤めていない人もいる。

私の旅行先での占い師さんとの話をきっかけに興味をもったことで、
まだまだ調べてみたいことはある。
またの機会にまとめてみたい。

参考文献
看護統計資料室 日本看護協会
https://www.nurse.or.jp/home/statistics/index.html
平成28年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/16/dl/gaikyo.pdf
助産師の就業状況と活用について 厚生労働省医政局看護課
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000101822.pdf
産婦人科医師減少に転じる
http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/01/102_161012.pdf

#出産 #分娩 #お産 #生まれる #助産師 #育児 #女性の健康 #偏在 #医療 #妊娠 #看護師

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?